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恋のペネトレート episode 23
ピッィィ!!
巨躯がコートに倒れ、ガーデンにホイッスルの音が響いた
痛みに顔が歪み、その数秒後に観客からため息が漏れる
試合終盤にビッグマンにハックをしかけることはこの世界では当たり前に行われる戦術だ
自分がそのターゲットとされることはこれまでも多く、別に驚きはなかった
足首の痛みとともにゆっくり起き上がり、フリースローラインに向かいながら彼はつぶやく
「Mom、見てるかい」
彼には恩師がい
恋のペネトレート episode 2.7
大事な試合を直前に控え、キングの心は落ち着かなかった
ウォーミングアップをほとんど終えてベンチに座り、ほとんど習慣で眼を瞑った
深くゆっくり呼吸を繰り返すいつもの方法で心を整えようとしたが、右肩の良くない違和感が消えず集中できない
その時なぜか、今シーズン欠場していた時に出会った男性のことを、ふいに思い出した
その男性と出会ったのはリハビリから帰る途中に立ち寄ったとあるカフェ
どこかしら
恋のペネトレート episode 2.5
「残念だったわねぇ、Tomさん」
翌日の仕込みを終え、カウンターへ戻ってきていきなり彼女は言った。
「・・・・・何が。」
アナリティクスの資料を何枚もめくりながら、彼はいつものようにぶっきらぼうに答えた。
「オールスターのコーチ、もうちょっとだったんですってね。」
「・・・・・。」
彼は食後のコーヒーを、もうとうに冷めきっているはずのそれをひと口飲んだ。
「別に。」
ふふふっ、と彼
恋のペネトレート -Tom & Diane-
この物語は、とあるバスケットボールチームの中年ヘッドコーチの物語。
ストイックな指導で知られる彼は、勝負にこだわるあまり選手やフロントとたびたび衝突し、幾度となくコーチの座を追われた歴史がある。
ある時、大都市にありながら望まれた結果を出せないチームからヘッドコーチ就任の声がかかる。
その年チームは彼が浸透させたディフェンスの意識と、若きエースの覚醒により大躍進を遂げる。
優勝こそ叶わなか