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レモネード

「お父さんがもっと早く帰ってきますように」

7月のある日、仕事人間だった父ともっと遊びたくて仕方なかった幼い私は、母に促されるまま短冊にそう書いた。

その願いは、その後少しだけ叶った。

あの頃から父は体調が悪くなり、家にいる時間が少し増え、そして入院した。

白血病、という病気を当時の私はよく分かっていなかったけど、髪の抜けた父を見て大泣きしていたことはよく覚えている。

病勢は一進一退、それでも何とか、また7月を迎えるところまでたどり着いた。

私はその年の短冊に、前の年とほとんど同じ言葉をのせた。

寛解を祈り「もっと早く」の5文字を消して。

それ以来、毎年私は同じ言葉を短冊にのせている。

その時の願いが叶ったお返しに。

3人の生活がずっと続くように 星に願いを掛けて。

今年も、あの川辺の竹に結びに行こう。

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