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「本人確認サービス」活用の可能性 株式会社NTTドコモ様、KDDI株式会社様、ソフトバンク株式会社様【NEXCHAINコーポレートピッチ】

こんにちは、NEXCHAINです。

 NEXCHAINでは会員向けイベントとしてコーポレートピッチや情報共有会を定期的に行っています。
 今回は、株式会社NTTドコモ様、KDDI株式会社様、ソフトバンク株式会社様の3社合同で、「本人確認サービス」*¹の概要や活用事例をご紹介いただき、新たな活用アイデアについてのディスカッションを行いましたので、その内容をかいつまんでお届けいたします。

*1:各社が提供されているサービスの正式名称は下記の通りです。
  株式会社NTTドコモ様:『本人確認アシストAPI』
  KDDI株式会社様:『本人確認支援サービス』
  ソフトバンク株式会社様:『本人確認代行サービス』

 今回ご紹介いただいた「本人確認サービス」はご登壇いただいた3社が同様のサービスを提供しております。3社のいずれかを利用されている方の本人確認であれば、企業が行う本人確認を短時間かつ手軽に、そして確かに行うことができるという大きなメリットがあります。ご登壇頂いた3社からは本サービスのカバレッジの高さを活かし、サービスを拡大していきたいとお話頂いており、NEXCHAINとしても「競争」ではなく「共創」によるビジネス創出を推進していきたいという思いから、今回、合同でイベントを開催頂くことになりました。

ご登壇頂いた各社のご担当者様のプロフィールは下記になります。

<株式会社NTTドコモ様:佐藤 拓実(さとう たくみ)様>
株式会社NTTドコモ スマートライフカンパニー
ウォレットサービス部 ペイメントサービス企画担当
2019年NTTドコモに入社。モバイル回線・ソリューションの法人営業を経て2022年現部署に着任。
多くの企業様の本人確認をより便利に且つセキュアにするため、本人確認サービスの企画と営業を担当。

<KDDI株式会社:中野 結衣(なかの ゆい)様>
KDDI株式会社(2022年入社)
所属:パーソナル事業本部 サービス統括本部 ライフデザインプラットフォーム部 プラットフォームビジネスG
au IDに関するマーケティング・企画領域を担当。

<ソフトバンク株式会社:神島 庸浩(こうしま つねひろ)様>
ソフトバンク株式会社 法人プロダクト&事業戦略本部 新事業ソリューション部 所属
2012年に入社後、コンシューマ向けプロダウト企画を担当
現在はコンシューマ事業アセットを活用した法人プロダクト(本人確認、メッセージ配信、人流統計データ等)企画を担当

今回のコーポレートピッチは3社合同でのご紹介ということで、まず初めに3社を代表してソフトバンク様にサービスの概要についてご説明いただき、その後NTTドコモ様とKDDI様に今回ご紹介の本人確認サービスを活用した事例についてご紹介いただきました。

以下、各社様のピッチの内容のご紹介になります。


本人確認サービスの概要:ソフトバンク様

 本人確認とは「その手続きを行っているのが本人かどうか」を確認する作業で、手法としては、身分証記載の情報と自己申告を行った個人情報を基に本人かどうかを確認する「身元確認」と、ID/パスワード、ユーザーしか知りえない情報や生体情報を基に確認を行う「当人認証」の2つに分けられます。

本人確認は、法規制、あるいは自主規制の場合も含め、多くの業界で必要とされ実施されています。例えば犯収法*²に対応する銀行の口座開設、携帯電話の契約、薬機法*³関連の対応など、様々なケースで本人確認が行われています。

*2:「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の略称、資金洗浄およびテロ資金供与対策のため、金融機関等の取引時確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出の義務などの規制を定める法律。

*3: 「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略称、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律は、日本における医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品に関する運用などを定めた法律。

 一方で本人確認の課題として、厳格な確認を行うと手続きが煩雑化し、お客様の離脱に繋がってしまう、またコストもかかってしまうため、特に法律で方式が厳格に定められていない場合での本人確認はどこまで厳格に行うか、非常に悩まれる内容かと思います。

 しかし昨今のコロナ禍におけるオンラインサービス化の加速により、本人確認の活用の機会は増す一方で、簡単かつ迅速で信頼性の高い認証サービスが求められるようになったこともあり、携帯電話キャリア各社がニーズを満たす本人確認サービスの提供を始めています。

 サービスの特徴としては、携帯電話の契約時に携帯電話不正利用防止法に則ってお客様からお預かりする本人証明情報を活用し、本人確認を実施すること、3キャリア合わせてのカバレッジは国内約85%であり、幅広いお客様に対して本サービスを活用していただけることの2点が挙げられます。

 本サービスを活用することで、これまでオンラインサービスの申込の際にお客様が行っていた身元確認・当人認証の手続き、事業者側で行っていた提供データの確認の手続きを、本人確認サービスによる携帯電話事業者の認証に置き換える事ができます。

 提供できる機能はマッチングとフィルインの2種類があります。マッチングはお客様が入力された情報が、携帯電話契約の際に法律に則って提供頂いた情報と一致しているかを照合して確認し、真偽の判定を返す機能、フィルインは、氏名、生年月日、住所などサービス契約に必要な情報を携帯電話事業者からサービス事業者にお渡しする機能となっています。


サービス活用事例①(フィルインサービス):NTTドコモ様

 ここからはサービスの活用事例についてご紹介させていただきます。ドコモからはフィルインタイプという、キャリアが持つ情報を導入企業様にお渡しするサービスの導入事例を2例ご紹介いたします。
 1点目が地方銀行A社様の事例で、Web上での本人確認が必要な手続きを簡潔にし、オペレーターからお客様に架電する人件費と通信費のコスト削減に貢献したという内容になります。

 元々はなりすましを防ぐために、お客様に個人情報とその他諸情報をWebでご入力頂き、その内容を銀行のオペレーターが確認したうえでお客様に架電をして、本人であることの確認と手続きの意思確認を行うという手続きが行われていました。その流れの関係上、Webサイトでの手続き受付は24時間対応となっていたものの、実際に手続きを進められるのはオペレーターの方が出社されている時間帯に限られてしまうこと、またオペレーターの方の人件費や架電の通信費がかかってしまってしまうという課題がありました。

 この課題を解消するために本人確認サービスを導入、申込者当人であることの確認をキャリアがもつAPIを活用して実施することで、オペレーターの架電手続きを不要にし、手続きの変更作業もほぼリアルタイムで実施する事が可能となりました。また副次的な効果として、登録される電話番号が家の固定電話ではなく携帯電話の番号になるため、日中の連絡がつきやすい電話番号を把握する事ができるという効果も生まれています。

2点目はたばこメーカーB社様の事例で、会員サイトへの登録に対する手間と心理的な障壁を引き下げて登録率を大幅に引き上げたという内容になります。

 B社様は紙たばこのブランディング戦略や電子たばこのメンテナンスのための会員Webサイトを持っていますが、誰でもアクセスできる形ではなく、年齢制限をかけて、20歳以上、かつ喫煙者だと確認できる方のみにアクセスを制限する形で運営をされています。これは業界としての自主規制によるもので、メーカー様としては事業を伸ばすために会員数を増やす事が非常に重要なミッションとなっておりました。

 これまで会員Webサイトにアクセスするためには、個人情報を入力したうえで運転免許証や健康保険証の画像をアップロードし、オペレーターが確認をしたうえで承認し、アカウントを発行するという流れで手続きが行われており、情報入力と身分証の画像アップロードの手間による離脱率、オペレーターの確認作業のコストや時間が課題となっておりました。本人確認サービスを活用することで、個人情報入力や証明書アップロードの手間の削減、オペレーターの作業コストの削減と承認作業のリアルタイム化を実現でき、会員の登録数が大幅に増加しました。

今回の2つの事例でご紹介させて頂いた取り組みの効果を整理したものがこちらのスライドになります。

 上の段が本人確認サービスを使わないフローとなっていて、申込情報を申込者が全て入力を行ったうえで身分証をアップロードし、その情報をオペレーターが確認したうえで承認を行うという流れで、申込者も確認者も手間がかかり、また確認を行うための作業時間も必要で、短くても2時間程度の時間が必要になります。

 一方、下の段が本人確認サービスを活用した流れになります。キャリアが持つアカウント情報、ドコモであればdアカウントにログインし、情報提供に同意をするだけで、承認プロセスが完了するため数分で承認が完了し、申請者・確認者双方の手続きも大幅に削減できます。

 このように、本人確認サービスのフィルイン機能を活用することで、サービス利用者、オペレーター双方の作業の大幅な効率化や、サービス提供時間・対応時間の大幅な改善が可能になります。


サービス活用事例(マッチングサービス):KDDI様

 もう1つのサービス活用事例として、KDDIからはマッチングタイプの本人確認サービスの導入事例をご紹介いたします。
導入されたサービスは地方銀行A社様が提供されている金融機関間送金サービスで、本人確認サービスを活用することで、ユーザー体験を損なうことなく高いセキュリティで本人確認を実現しています。

 最初に、金融機関間送金サービスがどのようなものかをご説明させて頂くと、サービスに加盟されている金融機関間において、利用者は口座番号や携帯電話番号、メールアドレス等の情報を指定することで、手数料無料で手軽に送金することができるサービスです。

 こちらのサービスは特定情報のみで送金可能となるサービスのため、利用にあたっては確実な本人確認が必要になります。そのための認証方法として、金融機関が提供されているアプリ認証はあるものの、本人確認の手段を充実させるため、アプリ認証と同等のセキュリティ水準を満たしている認証方式が求められておりました。

 そのため、本人確認サービスのマッチングタイプを活用し、キャリアが持つ該当利用者情報(電話番号等)と金融機関がもつ該当利用者情報(電話番号等)を照合し、一致すれば本人のご利用と判断してサービス利用が可能になるようサービスを構築しました。結果としてキャリア側の情報と照合することで、精度の高い本人確認が可能となり、また、認証方式を充実させることができました。さらには、銀行の営業時間外の本人確認も可能となりました。

最後に

 コーポレートピッチ実施後、このサービスをどのような形で活用できるか、会員企業間でディスカッションを行いました。一例として、学校教育における試験結果や成績開示の仕組みなど、法律で厳格な規定はないものの本人確認が重要な領域での活用や、企業の内部業務での本人確認のニーズを満たすための拡張ができないかなど、活発な意見交換が行われました。ディスカッションが盛り上がったこともあり、別日に改めて集まり、継続してディスカッションを行う予定も決まりました。

今回紹介した、社外の人と意見を交わすコーポレートピッチや情報共有会の仕組みを活用して新規事業アイデアをブラッシュアップすることができます。

NEXCHAINにご興味のある方は下記よりお問い合わせください。

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