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NYC Fashion 業界で働く - Technical Designer (テクニカル・デザイナー)仕事例を紹介

まだnoteを始めて三週間くらい経った頃に、自分の職業である、Technical Designer (テクニカル・デザイナー)についての記事を書きました。

その時は、文章で簡潔に説明をして、この仕事の持つ、大きな目的の様な事に、重点を置いて書きました。

今日は、具体的に仕事例をイメージでお見せして、少し説明も加えながら、お話しします。多少、前回と重複する箇所もありますが、ご興味あれば、どうぞご覧ください。


woven & knit - 布帛とニット

私は、ニットと毛糸が素材として使われている洋服や、アクセサリー(手袋・帽子・マフラー・ケープなどの小物の事を指します)を専門に扱う、テクニカル・デザイナーです。テクニカル・ニット・デザイナーと、呼ばれたりもします。

これは、洋服自体が何からできているかで、専門分野が、区別される話です。

ニューヨークのファッション業界では、デザインをするデザイナーも、私のような、テクニカル・デザイナーも、婦人服を専門とする場合、この大きな区分け、woven or  knit/sweater - 布帛か、ニット/セーターによって、2つに分かれます。

一般の方にもわかりやすく言うと、伸びる素材はニット、伸縮の効かない素材は、大抵が布帛、という事です。

でも、専門的には、生地の作られ方が全く違うのです。布帛の生地は、いわゆる「機織り機」で、横糸と縦糸が織られて出来上がっています。

そして、ニットの生地は、編まれて出来上がっています。皆さんがよく着ている、T-シャツの生地がそうです。そして、日本でも こういうニットの生地でできた商品は、Cut & Sew - カット・アンド・ソー の名前でも、お馴染みかもしれませんね。

この『織る』と『編む』では、全く違う性質を持った生地が出来上がるのです。

もし、レースや毛糸での手編みや、機械あみをご存知の方は、わかりやすいと思います。



2つの役割

Technical Designer (テクニカル・デザイナー)が、担当する仕事を、洋服がデザインされて、実際に製造販売される、製品となるまでの行程で考えると、大きく二つに分けられます。

1. Development (試作過程)
2. Production (製造過程)



1. Development (試作過程)

デザイナーが、デザインをしてデザイン画を起こした後に、縫製・ニット工場が、サンプルを作れる様に、Spec Sheet (=仕様書)を作ります。
Spec Sheetには、こんな事柄を書き込んでます(もちろん全部、コンピューター処理です) -->寸法、糸の種類、縫い代のしまつ、編み始め・終わりの方法、編み具合の強度、ボタン・ファスナー・スナップなどの付属品の詳細。

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この二つが、development 用のSpec Sheet (=仕様書)です。 使われている、デザイン画は、デザイナーによるスケッチで、このスケッチを見ながら、色々な細かい情報をデザイナーより聞いて、こういう仕様書を作ります。

上の仕様書が、セットになっています。右側の数字が、このデザインを実際に作成するための必要な、全ての寸法です。(単位は全てインチです。)

言葉で書き表すには、少し複雑な寸法や、念を入れて伝えたい事柄は、更にデザイン画を使い、視覚的にわかりやすく説明します。

このクライアント(=ブランド)は、当時(これはもう10年ほど前のプロジェクトです)この様に大変建築的で、左右不平等なデザインが多く、工場の技術者達に、なるべくわかりやすく伝える事を考えていました。

下の2点の仕様書に、それぞれ毛糸のスティッチのサンプルが付いている様に、これは3点とも、細い毛糸で編んでもらうデザインです。

左手のデザインは、あまりにも複雑すぎるので、デザイナーと一緒に、できあがりの編み地に近い生地を使って、前もってdraping (立体裁断)をした、サンプルが一緒に工場に、送られています。



2. Production (製造過程)

この時点では、製造に回るデザインは全て選ばれています。お客さんからの注文が入った、という事です。

工場からのサンプルを、実際のモデルに着せて、デザイナーと一緒に細かくチェックしていきます。Fittingの後に、直して欲しい所、変更したい事、継続してOKな項目などを、Fit Comment (フィット・コメント)として、Spec Sheet (仕様書)に加え、それに基づいて、修正された全ての寸法(Revised Spec)も書き足します。

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Development(試作過程)で、紹介したクライアントとは、また別のクライアント(ブランド)です。どちらも、日本に商品を輸出をしている様に、人気のあるブランドですが、名前は伏せておきます。

表題のイメージにも使ったこのイメージが、fit pics (フィット写真)です。通常、前・横・後をセットにして撮ります。このデザインの様に、腕を上げた時のフィットが、大幅に変わる場合は、フィットモデルにその旨指示を出し、その様にポーズをとってもらいます。

原則的に、フィットモデルの顔は隠します。

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下に、またSpec Sheet (仕様書)が出てきました。黄色く色がついている部分が、fitting を終えて、色々な修正・見直しを全て加味した上での、工場に対する、新たな要求寸法です。

ずらっと、タイプされている文章が全て、このfitting において、提示された修正・見直し箇所・注意点などで、工場に次のサンプルを再度提出するにあたって、知らせたい事柄です。Fit Commnets (フィットコメント) と、呼んでいます。

このクライアントは、写真の撮り方、載せ方、フィットコメントの書き方に至るまで、細かく指示があったので、それに従って仕事をしていました。

正直言って、こんなに長いフィットコメントは、工場にとって, 非常に負担になります。先ず、英語をわかる技術者が理解し、その後又、中国語に訳して書き直すからです。

書かなくても、差し支えのない事まで書いて、読ませるやり方は、個人的には、能率も悪いし、無駄だと思っています。

少々脱線しました。😅

上の写真は、development 用のSpec Sheet (=仕様書)同様に、言葉だけでは不完全と思われる箇所を、よりわかりやすく伝える為のものです。

右前の打ち合わせをもっと出したい、という指示が出たので、紙を使いその修正されるべき形を、見せている。という様に、時間が経っても、その意図は伝わります。

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この過程を何度か繰り返し, 製造へ回すOK のサインが出ると、最後の仕事である、Grading (グレーディング) があります。

これは、fitting を続けてきたサイズを基にして、そのデザインが注文を受けている全てのサイズの寸法を、割り出すことです。

通常は、XS / S /  M / L / XL の5サイズ展開が主ですが、これは、デザインやブランドにより様々です。

そして、このサイズの割り出しに使われる計算様式を、Grading Rule (グレーディング・ルール) と呼んでいます。これも、会社・ブランドにより様々です。

新しいブランドを立ち上げる時は、このGrading Rule (グレーディング・ルール)を、最初からキチンと作っておかないと、後で全てのサイズ・デザインは、製造段階で、メチャクチャなことになります。

言い忘れましたが、Spec Sheet (仕様書)は、Excel を使って作成されています。この、Grading (グレーディング)の作業も、計算式をインプットすることにより、なるべく時間をかけずにできる様に、工夫はされています。簡単な drawing も、Excel で行います。

よっぽどの時は、illustrator や Photoshop 使うこともありますが、殆ど Excel で大丈夫です。


まとめ

こんな説明で、どれだけ理解して頂けたか、わかりません。

日本のファッション業界では、クリエイティブ・デザイナーが兼任するらしい、Technical Designer (テクニカル・デザイナー) について、少しでも多くの人が知ってくれたら嬉しいです。

アメリカ特有の職業なので、私が日本でこの仕事をする事はないのですが・・・。

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