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ロボットが叶えた夢 難病ALSの先生 生徒と卒業式を

体の筋肉が徐々に動かなくなる難病ALSに冒された高校の教頭先生。
一番の願いは教え子たちと一緒に卒業式に出席することですが、あきらめかけていたその夢を助けてくれたのは、小さなロボットでした。
(TBS NEWS23 18年3月7日オンエア)

広島県の北部・三次市。

長岡貴宣(ながおかたかのぶ)さんは、2年前ALSと診断されました。

2016年、御調(みつぎ)高校に教頭として赴任。進路指導に一人一時間以上かけるなど熱心な先生として知られていました。

しかし、病から立つことも困難になり、去年十二月、休職せざるをえなくなりました。

卒業生を送り出してあげたいという思いは絶たれ、長岡教頭先生は、生きる気力を失いかけていました。

教頭先生の自宅から五十キロ離れた御調(みつぎ)高校。

教頭先生と卒業式を。

その思いは、先生から大学受験への助言を受けた3年生も同じです。

教頭先生と3年生たちの願いをかなえたい。そう思った生徒会の2年生は、あるロボットの存在を知り、東京にやってきました。

そのロボットとは、ベンチャー企業の所長・吉藤健太朗さんが開発した、この分身ロボット「オリヒメ」です。

あの小さなロボットに、一体どんな力があるというのでしょうか?

卒業式の九日前、生徒たちが吉藤さんを教頭先生の元に連れて来ました。早速、教頭先生にオリヒメを操作してもらいます。

オリヒメはカメラを内蔵し、映像をタブレットに映し出せます。

6つあるのは動きを指示するボタン。一つを押すと・・・

拍手をするなど動作によって、自分の気持ちを相手に伝えることができます。

ALSは進行すると、舌や喉の筋肉も弱まり話せなくなります。最後まで動かせるのは、「目」だけです。
      
将来何もできなくなると心配する教頭先生に、吉藤さんは、ある装置を試してもらいました。

それは視線を動かすだけで、文字を打つことができ、オリヒメから人工音声を発することができる、意思伝達装置「オリヒメ・アイ」。

いよいよ卒業式の日がやってきました。

教頭先生の分身であるオリヒメは、生徒会が作ったメガネをかけ、タキシードを着て、卒業生に拍手をおくっています。

退場する時、卒業生たちは教頭先生の分身「オリヒメ」の方を振り返り、
頭を下げていきました。

式が終わると、一人の卒業生が駆けて来ました。教頭先生から大学受験への助言を受けた久保田さんです。

●久保田さん
「自分が勉強したい理学療法が学べる大学に行けることになりました」

●長岡貴宣さん
「今ね私もリハビリをずっとしてもらって、ありがたいと思うよ」
「ぜひ立派なリハビリの理士になって下さいよ。期待してますよ」

●長岡さん
「今後のことでやっぱり私自身も心配なことがたくさんありましたけども、(オリヒメは)前向きにさせてもらう、本当に大きな材料だったと思います」