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臓器も骨髄も角膜も血液も~22歳② 奇跡の会長面接~


■22

卒論がんばっていたはずが、うっかり宗教に勧誘されてたり

楽しい大学生活を送っていたはずが、うっかり霊に憑依されたり

いろいろあった大学生活もそろそろ終盤。

あれ?
うっかりみんなと一緒にのんびり生活してたけど、みんなは教職とって先生になる準備してるね。

あ、ここ教育学科教育学専攻だもんね。
私は英語の先生になるつもりでここに来たんだけど、
まさかのなれないってゆーね。
ここでなれるのは、社会科の先生か保健体育の先生とのこと。

入学したらすぐに
「あなたは保体免ですか?社会免ですか?」
チーム分けさせられた時、それはそれはびっくらこいたよね。

え?
英語は?
っつって。

もうそこで先生になることはやめたよね笑
入学初日に。

周りのみんなは教育実習に行ってたよ。

だから、みんな就活しないのよね。
だって先生になるんだもんね。

うっかりわたしもみんなと一緒にのどかに過ごしちゃったよね。
だめじゃん。

じゃぁ、私就活するのか?!
どうやるの?!
とりあえず、初志貫徹で「コピーライター」「CM制作」だな!

え?
どうやったらなれんの???

とりあえず、コピーライター募集ってとこに行ってみるか。

履歴書持って、リクルートスーツ着て
横浜にある広告代理店に飛び込んでみたよね。

「すみませーん。コピーライターになりたいです。」

「いいよ?」

え?
こわ。

そんなんでOKを出す会社は恐ろしい!!
と、おことわり。
向こうもびっくりしたでしょうよ。
いきなり来て、勢いでコピーライターになりたい!
って押せ押せな女子に、いいよって言ったら断られるってゆー。

いかん。
ちゃんとやろう。
ちゃんと、就活というものをやってみよう!

私は中谷彰宏さんの、あの一世を風靡した「メンタツ」こと「面接の達人」を読み漁り、面接に挑んだ。

結果は本の通りにはいかないこともたくさんあった。
「お前はその大学に行ってる時点でもう負け組なんだよ!」
と開口一番罵られたこともある。
今じゃ考えられないよね。

当時はそんなことたくさんあったよ。
毎日毎日ポストを開けると送った履歴書が山のように帰ってきてたよ。
昔はネットでESを送信するのではなく、郵送で送ってたのよね。

私が履歴書を毎日せっせと書いていた場所は2か所。

ひとつめは下北沢にあった洋食屋さん。
そこの店員さんは金髪のショートカットの女の子で、いらっしゃいませを言うでもなく、私が席に着くとにこりともせず、なんなら
「てめぇ何しにきやがった」
って感じでメニューを投げるように渡してくるのよ。

当時、いかに相手(面接官)に好印象を持ってもらうか、そのことばかり気にして毎日を送ってたところに、この塩対応。

「あぁ、この子は人の目なんか気にしてないんだ。
機嫌が悪ければそれを隠そうともしない。
自分に正直に堂々と生きているんだ!
なんてすばらしいんだ!!!!」

もう、感動すら覚えたね。
自分には絶対にできない。
私は彼女に憧れて、毎日のようにメニューを投げつけられに通ったよ。

二つ目はケンタッキー。
とにもかくにもケンタッキーが大好き。
そこでコツコツ履歴書を書いていたら急にひらめいたのよ。

「あ!そうか!ケンタッキーに就職すればいいのか!!」

おもむろに席から立ちあがりレジに向かうと
「すみません!人事の電話番号を教えてください!」
レジのバイトの子びびってたよね。
すぐに店長さんが出てきて
「申し訳ございません、お客様、何かございましたでしょうか?」
と申し訳なさそうに尋ねられたね。

「いえ、人事の電話番号を」

もうお店からしたら恐怖よね。
理由も言わず、ただ人事の電話番号を聞かれるという。

その後、調べたらケンタッキーの本社で働くには、
まずは店舗で店長を経験し、その後本社に行けるチャンスがひょっとしたらあるかも、というようなことがまことしやかに噂され(どこで?)、現場で店長をするとなんだか大好きなケンタッキーが嫌いになってしまうんじゃないかという恐怖から働くことはあきらめました。
真実はまったくわかりませんがね。

そんなこんなであっちこっちから落とされまくる日々。
もうやけくそになって、
こんなみんなと同じ服装なんかやってられっか!
って急に思って、首にスカーフを巻いて面接に行ってみたのよね。
面接会場の新宿の三角ビル(住友ビル)に。

そしたら普通に採用。
え?
どゆこと?

もうその頃には最初に働きたいって思った会社じゃなくて、どこでもいいから採ってくれるところっていう気持ちよね。

その場で内定のお話をいただき、もう天にも昇る気持ち!
最高!!
すぐに心配していた父親に報告。

うれしくてうれしくて、にっこにこのまま新宿の街を歩いていたら、

「ちょっとそこのあなた」

と、呼び止められたよ。
ハットをかぶったスーツ姿の70歳くらいの紳士に。

「あなたはいま ものすごいオーラを放っている
 何かいいことがありましたかな?」

え?
こわ。
だれ?このじーさん。

ってか、これだけうれしそうにしてたらそりゃ
うれしいオーラ放ちまくりだろ

って思ったけど、初めて内定もらったことがあまりにもうれしすぎて、そのおじいさんにご報告♪
だってうれしかったんだもぉ~ん。

するとそのじいさん
なんて言ったと思う?

「あなたが行きたかったところはそこではないはずです。
そこには絶対に行かないでください。」

って私の両手を包み、若干涙ぐみながら目を見て懇願するのよ。

はい?

なぜに??

新手の占い師?

でも特にお金を請求されるわけでもなく、ただただそこには行かないように懇願してくる。

で、

「あなたが行きたかったところはそこではないはずです。
せめて秋までもう一度がんばってみてください。」

とな。

むむむ。

さっき喜びの電話をしたばかりの父親に再度電話。

うなる父親。
ですよね。

「うーん、なんだかそのじいさん気になるなぁ。
よし、今回の話はなかったことにしてもう一度挑戦してみろ!」

ええええ?

まさかの返事だったけど、じゃあやっちゃう?

私は第一希望だった広告代理店に電話。
ここは行けるはずもないと、はじめから説明会も申し込んでなかったのよね。

とりあえず、その会社に電話だけしてみる。

「あぁ、会社説明会ですね。
すべての回、お申し込みは終了しております。」

「ですよね。そうですよね。そうですよね。。。」

と途方に暮れていると

「あ、でも明日最後の説明会があるんですけど、キャンセルが1名出てますよ?どうされますか?急ですがいらっしゃいますか?」

「え?!行きます!行きます行きます!!」

ということで、翌日銀座にあるその会社に向かい、
なんとか説明会に潜り込むことに成功。

あれよあれよと面接に進み、ついに最終面接まで!!
社長面接まで来ましたよ!!
なんということでしょう!!

あのおじいさんに感謝!!

で、ついに社長面接当日、他の子は社長面接を済ませたのだが
私の番になったら、なんだか社内がざわついてますよ?
どうやら社長に緊急案件が入り、私の面接の前に本社がある大阪に帰ることに。
ちーん。

どないしまひょ?

と、そこへ東京に出張(遊び?)に来ていた会長が
「僕がやりまひょうか?」
と、、、

ええ??
会長が?!
面接を?!

と、さらに社内は騒然。

とりあえず、部長、本部長、会長という面接官がそろいましたよ。
部長と本部長の方がなんだか緊張の面持ち。

当の会長は
「面接はなにをすればよろしいのん?」
といたってマイペース。

今ではNGである
「お父さんはなにしてはりますのん?」
という質問からスタート。

「あ、父は〇〇という会社をフランチャイズチェーンで経営しております。」

「なんと!
そうですか、そうですか!
実は昨日は〇〇の会長と芸者であそんどったんですわぁ!
奇遇ですなぁ~
じゃあ、あなた、4月からうちに来ればよろしいですわぁ。
うん、それがいいですわぁ」

というわけで、あっという間に採用。

え?
まじですか?

というわけで、東京本社では新卒採用は私だけ。
きっと社長面接は厳しかったんだろうなぁ。
会長、どうもありがとう!!

そして、なにより
あのおじいさん。

会長が実はあのおじいさんだったのです!!

なんてことはまったくなく、
いったい誰なのか全くもって摩訶不思議な出来事でした。

そして、私がこのあと4月から新入社員で入るこの会社。
ここでのちの旦那様となる人と出会うのであります。

おじいさん!!
ありがとー--!!!!!!!










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