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宇宙論(10)

 中学一年生の時、ギターを始めた。何がきっかけだったのかはよくわからない。僕の実父はプロのギタリストだったけれど、それが関係あったのかは今となっては謎に包まれている。

 ギターを始めるとすぐに曲を作り始めた。その経緯もよくは覚えていないけれど、自然の成り行きのように曲を作り始めた。そうして、中学二年生の時に初めての宅録の音源を作った。『teenage blue』という曲。以下に歌詞を引用する。

 ◎

teenage blue

小さな夕日の前で
君一人 笑わせれない僕で
つまらなく過ぎる毎日で
空一つ見上げれない街で何を歌うの?

変わらない景色は僕に何も教えてくれなくて
街角で奏でるメロディさえ
誰の心にも光を灯せないんだ

夕暮れの坂道 駆け抜けてみても
雨の音 気にして空回りだ
憂鬱ないつかの日差しが僕のこと
睨んでいたって
今から君を探せばいい
oh oh teenage blue

流れた時の中で失くしたものは数知れず
いつでも何かに怯えて
くだらない話題にも大きく笑ってた

暖かい日差しに微笑むような
一瞬の喜びさえも今の僕では
笑顔と呼べる勇気がないんだ

夕暮れの坂道 駆け抜けてみても
君の声 届かなくて
ちっぽけな時間の中で見つけ出せそうな
何かを探している
さよならも笑って言えるように
oh oh teenage blue

懐かしい夢さえしまい込んで
どこかに置いてきたあの日の思い出さえ放り投げて
いつか歌った小さな歌
忘れたふりをして 見ないふりをして

昨日とは違うもの 今日も何かに求めて
歩いていくよ
煤けた感情だって 作り物の笑顔だって
見せてよ 君の表情で
今から君を探すから
さよならも笑って言えるように
oh oh teenage blue
oh oh teenage blue

 ◎

 この曲の録音には、姉と、同級生だった日系ブラジル人の友達が参加している。姉がボーカルで、友達がドラム。今聴いても素敵な音源だなと自分でも思う。各種サブスクリプションで配信している。East Old Castleというバンド名。

 この曲は、中学校の放送部の先輩にいたく気に入られ、給食の時間に幾度となく校内放送で流された。1回の給食で3回流されることもあった。素直に嬉しかったのを覚えている。他人からすればはた迷惑な話だったのかもしれないけれど。

 楽曲を作り出してからの僕は、毎日、気が狂ったように音楽のことを考えていた。学校の板書用のノートには、いたるところに何度何度も、尾崎豊さんの名前を書き記していた。

 中学生の時点で少なくとも100曲は作っていたと思う。その中で厳選したものを宅録して音源化した。

 音楽に触れていると、大変な毎日が心底楽しく感じられた。青い春を存分に堪能していたのだと思う。その時は気づいていなかったけれど。

(2024.4.24)

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