韓国サッカー協会の失態「リスク管理は存在したか」

広報の専門家として、韓国サッカー協会の最近の動向をリスク管理の視点から分析してみたいと思います。

韓国サッカー界を統括する大韓蹴球協会は、近年、数々の問題で世間の批判を浴びています。そのため、最近は特に、協会のトップである鄭夢奎（チョン・モンギュ）会長に対して、「辞任せよ」という声が高まっているのです。

鄭会長は、韓国プロサッカー連盟の会長を歴任し、2013年からは大韓蹴球協会の会長を務めています。彼はまた、K2リーグのチームオーナーとしても知られ、韓国サッカー界に多大な貢献をしてた人物です。現在は、HDC現代産業開発の会長としても活躍しており、実業家としてもその名を馳せています。しかし、協会の運営手腕には疑問符がついており、特に昨年からは組織管理の不備が指摘されています。

問題の一端となったのが、代表チームの監督選任です。最近、成績不振を理由にクリスマン監督が解任されましたが、彼の解任は、戦術不在や管理能力のなさが原因であるとも言われています。また、チームの主将ソン・フンミン選手と次世代スターのイ・ガンイン選手との間に生じた対立も、監督解任の要因になりました。この対立は、最終的にイ選手の謝罪で一応の収束を見ましたが、協会の対応の不手際が批判されています。

　このような一連の出来事は、協会のリスク管理能力のなさを象徴しているように思います。これらの事件は、関係者に金銭的、イメージ的に大きな損害をもたらしました。そして、それは協会や会長の信頼性にも影響を及ぼしたのです。

リスク管理が欠如した協会

現代社会において、SNSの普及は企業や組織の評判に直結する重要な要素となっています。そのため、広報活動におけるモニタリングの役割は、以前にも増して重要性を増しています。私は20年以上にわたり広報の仕事に携わってきましたが、SNSが登場する以前は、新聞やテレビニュースが主なモニタリングの対象でした。しかし、今日ではSNSの監視が不可欠な業務となっています。

このような背景があるため、これらの事態に対する協会の対応不足が気にならざるをえません。特に、クリンスマン氏の監督就任に関する一連の騒動は、多くの反対意見があったにもかかわらず、協会は適切なリスク管理をしていなかったように見えました。監督選任のプロセスにおいて、専門家グループの意見を無視し、独断で決定したとされる鄭会長の行動が疑問視されていたからです。

さらに、ソン選手とイ選手の間のトラブルに対しても、協会は適切な対応を示すことなく、事態を収拾する姿を見せませんでした。協会は事件を認めた後も、選手に対するペナルティや詳細な説明を欠いたまま、事後処理をしなかったのです。結果として、両選手の和解写真とイ選手の公式な謝罪によって、何とか事態は収束しました。

しかし、これらの一連の出来事を通じて、協会が示した態度は、代表チームを管理する主体としての責任を全く果たしていないように見えました。積極的な収拾を見せなかった理由は、広報の視点から見ると、組織内にリスク管理の概念が欠如していたとしか考えられません。このような状況が続けば、協会の信頼性に大きな影響を与え、将来にわたってその評判を損なう可能性があります。代表チームの管理という重要な役割を担う組織として、協会はリスク管理の重要性を再認識し、その体制を改善する必要があるでしょう。

リスク管理の重要性とその実践について

組織におけるリスク管理は、予期せぬ事態に備え、その発生を未然に防ぐための重要な業務です。この業務を適切に行うことで、企業や組織が直面する可能性のある金銭的、評判的な損害を最小限に抑えることが可能です。リスク管理を行わなければ、組織は不測の事態に対して無防備となり、問題が発生した際に迅速かつ効果的に対処できなくなります。

現在、大韓蹴球協会にはこのようなリスク管理の不在が見受けられるため、結果として組織の信頼性が揺らいでいるように思われます。この状況が続けば、鄭会長の辞任は避けられないかもしれません。

では、協会はどのような措置を講じるべきでしょうか。まず、公式見解を発表する窓口を一元化することが求められます。メディアによって引用される「協会関係者」の発言が多すぎるため、情報の混乱を招き、組織のイメージを損なう原因となっています。公式見解は広報部門が一手に担うべきであり、それ以外の部門は許可なくメディアへの発言を控えるべきです。

次に、鄭会長自らが積極的に公の場に出て、組織の責任者としての姿勢を示すことが必要です。裏での努力があっても、それが外部に伝わらなければ意味がありません。これらの対策を実施することで、まず、組織の信頼を回復させることが必要です。組織の信頼性を取り戻すためには、こうした基本的なリスク管理の実践が不可欠なのです。

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