見出し画像

【ねこイベントレポート】猫まつりで犬!? 社会で活躍する犬と人

2月22日

猫が好きな人なら、何の日かパッと気づくかもしれない。
そう、『猫の日』

猫カフェ、たま駅長、ふてにゃんなど猫との距離が昔に比べ身近になった昨今、猫の日が近づくにつれ各地で猫関連のイベントが開催されることが多くなってきた。

今回は猫の日に近い、2月17日に開催された
『ちよだ猫まつり』での
赤坂動物病院院長の柴内晶子獣医師の講演
『ちよだ猫まつりにワンちゃんがやってくる!』
人とともに幸せに暮らす、社会で活躍する犬についてのお話を伺った。


1.ようこそ、ちよだ猫まつり


どすこいみぃちゃん、パンやさん 右のパネルには千代田区の保護猫活動の取り組み

会場に入場すると目の前にはフランスパンを抱えた
お相撲さん風の見事な三毛猫が出迎えてくれた。
タイトルは『どすこいみぃちゃん、パンやさん』町田尚子作 

ちよだ猫まつりはこのイラストも名物の一つで
毎年ユニークな絵が飾られる。

ところで皆さんは、『ちよだ猫まつり』を知っているだろうか。

もしかしたら千代田区民以外ではあまりなじみのないお祭りかもしれない。

私も猫のお世話ボランティア仲間に「今度行ってくるんだ」と話してみたが、誰も知っている人はいなかった。


ちよだ猫まつりは2016年から始まった、ちよだニャンとなる会と千代田区が共同開催している『動物福祉の向上』をコンセプトに

・獣医師による講演
・猫雑貨の販売、飲食店のマルシェ
・猫の譲渡会
・子供向けの獣医師職業体験など

大人から子供、老若男女まで楽しめるお祭りという内容だ。
11時開会であったが、開会前には既に長蛇の列ができていた。

開会直後の様子

今回の講演『猫まつりにワンちゃんがやってくる!』では
前半は人と動物の暮らしの変化と動物が私たちに与えてくれる幸せについて
後半は日本動物病院協会主導の人と動物のふれあい活動(以下CAPP)
活躍している犬たちが登場し、活動内容とその活躍を紹介してくれた。


2.人と動物の暮らしの変化

人と動物のくらしに暮らしについての講演の様子(左:柴内先生、中央:ハンドラーさん)

犬や猫というのは昔はネズミを捕まえたり、狩猟や番犬などの『使役動物』
近代では可愛がられる対象として『ペット』
そして現代では『家族、伴侶動物』というように
その在り方に変化が出てきていると医師は言う。

伴侶動物とは人の側で共に生きる動物のことだ。

皆さんも家族としてペットと暮らしたりした経験がある人は、ふいにすり寄ってくれたり、日向でうとうとのびのび過ごす姿に癒されたこと、幸せを感じたことはあるのではないだろうか。

そしてペットとして人の側で暮らす一方1970年代にある考えが提唱された。

『Human Animal Bond 人と動物の絆』

これは人と動物が共に暮らすことで双方に得られる良い効果の事だ。

伴侶動物は医療、福祉を受け、より長く愛情を注がれ生きる。
人は犬や猫と暮らすことで、高齢者の通院回数が減ったり
小さい時にこどもが動物と触れ合うことで情操教育の発達が促進されることが判明していると柴内医師は言う。

共に暮らすことで双方に良いシナジーが生まれるのはペットのみならず

『One Health ~人も動物も1つの健康1つの福祉1つの医療~』

として畜産動物、野生動物、その生息環境に至るまで配慮することが
地球を守ることにつながるとし、世界各国でも保護活動や動物福祉の向上しつつ、人とより良く暮らせる道が模索されている。

そして今回、その人と動物の絆によって、人の社会で活躍する犬たちが登壇してくれた。


3..社会で活躍する犬たち

ハンドラーさんにやさしく抱きかかえられ登場してくれた犬は
10歳のペコちゃん。人間で換算するとなんと約75歳。

真ん中:ペコちゃんとハンドラーさん

CAPPは大きく3つの活動がある
①動物介在療法➡医療現場で動物を介して行われる補助療法
②動物介在教育➡動物の触れ合い方や知識等を子供達に知ってもらう活動
③動物介在活動➡動物とのふれあいで精神安定などQOLの向上を目指す活動


普段、ペコちゃんたちは小学校に訪問し、子供たちに犬との触れ合い方を教えていたり、介護老人ホーム等で入居者の方たちとふれあい、安らぎを与えたりしている。

ペコちゃんたちは何か特別な訓練を受けているかと言えばそうではない。
ペコちゃんはハンドラーさんの飼い犬であり
ハンドラーさんもペコちゃんたちもボランティアなのだ。


このように社会で活躍する犬は特別な訓練がなくても活躍している。

もちろん①の医療現場で活躍する犬などは訓練を受けたりもしている。
今回の講演でも紹介された『ファシリティドッグ』という存在。
日本でもまた4頭しかいない犬なのだが、小児病棟で、がんや難病と闘う子供たちに寄り添う犬のことだ。

その他にも今回の石川能登の震災でも活躍した災害救助犬や、視覚障碍者の目となる盲導犬をはじめとする補助犬も人の社会で活躍する犬たちだ。

私たちが思っているよりも、犬は人の社会の中で
縁の下からも最前線でも大活躍している。


3.こどもが動物とふれあう大切さ

様々な犬がいる中で今回特にピックアップしたいのは
こどもが動物と触れ合うことの大切さだ。

先日飼い主の家から脱走した四国犬が公園で児童にけがをさせた咬傷事件は記憶に新しいと思う。

今回の事件では児童が公園で犬がいることに驚き、
声を上げ走って逃げてしまったこと
犬の本能を刺激してしまった容認にあたると柴内先生は言う。


犬の本能や習性として
背中を向けて遠くに走るものを追いかける
②近くで大声をあげたりするとびっくりして噛みついてしまう

というのがある。

これは祖先であるオオカミが群れで狩りをするときの習性が現在まで受け継がれていることに由来する。

ボールやフリスビーを投げると犬が追いかけて捕まえ飼い主のもとに戻ってくる遊びがあるが、これも背中を向けて遠くに走るものを追いかける習性を利用したものだ。

そこで今回行われたのが小学校でもよくやっているという
『木になる体験』
文字通り人が木になりきり犬が一人で歩いていても反応しないというもの。


「なぜ木になる必要があるのか?」
「どうして犬は追いかけてくるのか?」
犬の気持ちを子供たちに知ってもらうことが目的だ。

また石になる体験というのもあった。
これが子供たちにウケるというもので
背中や足を柔らかな肉球で踏まれたり、クンクンと匂いを嗅がれたり
子供たちは実にこそばゆく、笑うのを我慢するので精一杯ということだ。


ただそうやって
楽しみながら学ぶこと、知ることが楽しいと思ってもらうこと
子供たちに動物との触れ合い方を知ってもらう上でとても大切だと言う。

日本動物病院協会のCAPPでは犬と子供の読書会
『わん!だふる読書体験』も都内では三鷹市立図書館で
不定期開催されている。

本を読む人が少なることが教育面でも問題視されている現代で、
楽しみながら本を読んでもらうこと、共感力など情操教育を促進させること
を目的とし図書館で犬と一緒に本を読むというもの。

子供とは不思議なもので、犬といると自ら絵本を犬に読み聞かせようとするのだ。小さい子供に妹や弟ができたとき、親が教えてもいないのに、お兄ちゃんおねえちゃんをしようとする、あの行動に似ている。


4.動物とより幸せに共に生きる未来

犬や猫、ペットと暮らすことが浸透してきた現在
その存在は『ペット』という存在から『家族』『伴侶動物』
という存在に変わりつつある。

現在では日本の子供の出生数よりも人と暮らす犬猫の方が数が多い。
動物と人、既に切っても切れない関係にあるのだ。

保護犬猫、殺処分に、咬傷事件という悲しいことがある反面、
ファシリティドッグに、猫カフェなど動物と触れ合う、動物と共生していくことで、癒しをくれたり、人生の伴侶になってくれたり、小児病棟で病気と闘う子供たちをサポートしたり、災害現場で活躍したりと、彼らが私たちにもたらしてくれる恩恵は計り知れず大きい。

犬や猫がより身近になってきたからこそ
一緒に暮らす人もそうでない人も犬や猫を身近に楽しく知ることのできる、ちよだ猫まつりのようなイベントに参加していくことで
社会の在り方や愛犬愛猫と長く幸せに暮らす情報
動物との関わり方を知り、今をより豊かに過ごせるのではないか。

===========================
インスタグラムでは
・猫の飼い方
・ふれあい方
・猫あるある  
・保護猫の可愛い様子など、

猫と楽しく幸せに暮らす情報などを発信しているので覗いてみてね!











この記事が参加している募集

イベントレポ

猫のいるしあわせ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?