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【詩人の読書記録日記ミニ】佐峰存『雲の名前』(思潮社)を読んで―ゆらぐからだとこころで生きること―

こんにちは。長尾早苗です。

やっと! やっと! 座ってものが書けるようになりました涙

このnoteを長年読んでくださっている方や、

わたしの著書を読んで知ってくださっている方もいると思うのですが、

わたしは毎日持病と闘っています。

今日はそれと、ちょっと今日回復するまでにいたったお話し。


安定して生きるため

わたしは12歳のときに、背骨が横に曲がる病気、側弯で手術をしました。

詩人さんの中でもこそっとわたしに、実は……と打ち明けてくださる方もいて、うれしいなあと思っています。

やっぱり背骨の病気だし、神経回路に非常に影響を及ぼすんですね。

思春期のうちに100人に1人はかかる病気なので、

毎年夏休みには小児病棟がにぎわっていました。

今わたしは29歳で検査が終わってしまったので、

あとはもう自力で健康に生きるしかありません。

神経回路と言っても、最近雑誌でもよくとりあげられるようになった

自律神経の失調なので、プチ不調と言われること

ほてり、体温調整の困難、筋肉のこわばり、緊張、不眠……

が毎日続く、

そんな苦しみを抱えながら生きています。

それでもそんなわたしを助けてくれたのは詩でしたし、

物理的には家族の協力、地域のみなさんの協力でした。

今日は地域の方から買った米ぬかと玄米のカイロをあたためて首の後ろに貼り、

今日は深夜まで仕事なので安静にしていました。

自分の中でトリガーがひかれそうになった時

壊れそうになる時なんていくらでもあります。

今日は特にそれが強くて、

スーパーに買い出しに行くときにたまたま交通事故のあとの車を見ただけで

ほかのトラウマみたいな嫌なことをずるずると思い出してしまいました。

感情がジェットコースターみたいだ。

そんなとき、読むようにしているのが

佐峰存さんの『雲の名前』(思潮社)です。

安定の佐峰さん。

しんどくなった時は逃げるのもよいこと

なぜこの詩集を再読し続けているかというと、

わたしや以前記事で紹介した小川三郎さん、佐峰さんと北爪満喜さんたちと組んでいる「現代詩の会」の詩誌『ハルハトラム』で出会ったのがご縁で、

佐峰さんはいつも安定して静かに、素晴らしいお仕事をしているイメージがあるからです。

いつ会っても、いつ読んでも、彼のことばは裏切らない。

そんな気持ちになれます。この詩集もPodcastで紹介するのですが、

基本的に「焔」を持っているのは語り手その人自身で、

「あなた」と呼ばれる人との静かでささやかな日々が、たんたんと描写されているのも魅力の一つです。

しんどくなったらとりあえず「どこか」へ行く。

それが詩集の中だったり、今日は会えませんでしたが

若い友人たちや地域のコミュニティの場所に行くことだったりします。

がんばりつづけなくてもいいこと

佐峰さんも創作者として非常に尊敬しているのですが、

創作者ではない若い友人たちから教えてもらったこともたくさんありました。

佐峰さんは一定のペースで「作り続けること」「自分の仕事をたんたんとすること」を彼の背中で見せてくださっています。頼もしい……。

若い友人からは、「今日の自分がダメでも明日の自分がどうにかしてくれる、明日がダメならきっと明後日の自分がどうにかしてくれる」とか、「SNSで言わなくてもここにくれば大丈夫という場所がある」ということをしみじみ教えてくれて、若さゆえに彼ら彼女たちは詰め込みすぎているところもあるけれど。

「世間」には様々なひとたちが暮らしていて、たくさんの価値観がある

ということをわたしに教えてくれました。

終わりに

ちょっと今日はやばいな

と思ったときに、自分の居場所があると心強いです。

わたしは嫌なことを思い出しそうになると、

離れていってしまった友人たちのことを思い出したり、

ずっと昔に失恋したことを思い出したり、

実家の家族のおじいちゃん犬のことを思い出したりします。

でも、(犬はともかく)離れていってしまった友人とは

今は追いません。

年月が経ったらいつか分かり合える時が来て、

それにタイムリミットはほとんどないこと、

彼ら彼女たちがいなくなる前、わたしがいなくなる前に

手遅れということがないということもあります。

今一番よく話しているのは

大学時代のサークルの友人たちです。

みんながキャリアに追われ、育児に追われる中

みんなががんばっている。

大学時代や新社会人の時はあれほど意見の相違で分かり合えなかったのに。

大人になるってこういうことなんだな

としみじみ思います。

今はそういう友人たちとの時折のおしゃべりや、

若い友人たち、作業仲間、よき相談相手、家族、詩のことを語り合える詩誌の仲間たち。

そういった場所があるからこそ、わたしはまだ元気に生きていける。

そんな気がする。夜なのでした。

もっと本を読みたい~~!!

詩についてもっと勉強したい~~!!

海外文学について学びを深めたいーーー!!

となっています。

わたしの地域ではもう3週間図書館が開かず、読みたい資料も読めずです涙

あともう少しの辛抱。がんばります。

今日の詩です。

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長尾早苗
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