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あぁ、理想のレポート見つけた。未知の沼に引きずり込む天才。三浦しをん『あやつられ文楽鑑賞』

この前まで受講していた京都ライター塾では、毎回講座のあとにレポート記事を書いていた。講師の江角さんからは、「理想の記事を見つけて、真似するとよい」と言われていたけれど、なんだかんだ最後までコレ!というレポート記事に巡り合えていなかった。


しかし、見つけましたよ。
その名も、三浦しをんさんの『あやつられ文楽鑑賞』。

『仏果を得ず』という文楽をテーマにした小説があり、その副読本、という位置づけなのかはわからないが、小説執筆のために三浦しをんさんが取材した、文楽公演の舞台裏の様子が書かれたエッセイのようなもの。

「この本は、文楽観劇のド素人であった私が、いかにしてこのとんでもない芸能にはまっていったかの記録である」

三浦しをん『あやつられ文楽鑑賞』


いわゆるレポート記事とは違うのだけれど、文楽公演の舞台裏のレポートから義太夫さんへのインタビューの様子、演目の解説と実際に見ての感想まで、「文楽とは何ぞや」がまるっとわかる一冊となっている。

三浦しをんさん持ち前の軽快な語り口で、敷居が高そうな文楽がものすごく身近に感じる。

オタクの友達が自分の推しについてアツく語ってくれる、それをそのまま文字にした感じ。

文章にするとどうしても整ってしまうというか、冷静さが入ってしまうものだけれども、読みやすい文章なのにテンションの高さが伝わってくるんです。不思議。本当に、「ねぇねぇ聞いてよ~」って話しかけられている気がする。そして、「えぇーめっちゃ面白そう!」ってなる。


「ド素人であった私」がはまっていく過程を描いているので、基礎知識が全くない読者目線で書いてくれているのがありがたい。何それ?を片っ端から解消してくれて、読者を置いてけぼりにしない。

何より愛を感じる。本当にはまってるんだなぁと思う。だから、私も気になってしまう。沼に足を一歩踏み入れてしまいそうだ。

ということで、4月の文楽公演に行こうと画策中でございます。


小説『仏果を得ず』の記事もよければどうぞ~↓↓
『あやつられ文楽鑑賞』の帯には小説が10倍楽しめると書いてあったけれど、10倍どころじゃない、100倍は楽しめる!これは絶対にセットで読むべき。

#わたしの本棚

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