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砂時計で時を忘れる。

以前実家に帰省した時のこと。

実家に大分古そうな砂時計が置いてあった。
久しぶりに手に取る。

「久しぶりだなぁ砂時計なんて」

そういえば、これ昔からあったっけ。

周りは木製で作られており、中央部分はガラスでできている。

急に砂時計をいじりたくなった私は
透明なガラスの部分に入った砂のさらさらに見惚れながら
何度か上下逆さまにしたりした。
ガラスの部分は中央がくびれており、細い管になっている。
そこから砂が落ちていく姿はなんとも美しい。

砂の量とくびれの傾斜や細さ、そして砂の質で
時間が決まるみたいだ。
これってよく考えるとすごいことだ。
中に入っている砂が落ちていくことで時間を計るなんて
素敵な構造だなぁと改めて惚れ惚れした。

調べてみると、この特徴的なくびれの部分はどうやら
「蜂の腰」
と言われているらしい。
そんなの初めて知った。
蜂の腰ねぇ…。

砂のさらさらした感じになんだかハマってしまい
その後もしばらくじっと眺め続ける。

「これって一定の時間計れるんだっけ?」

砂時計は時計といっても、もちろん現在時刻はわからない。
測定開始から一定の時間を計るためのもの
つまり「タイマー」的なものである。

もう最近なんて砂時計を持っている家は
そんなに多くないのではないだろうか。

そんな砂時計が、私の実家にあったのだ。
まだ残っていた。
それもすごいことだと思うし
その「残っている」というセンスもなんだか嬉しかった。

しばらく眺めていると段々とぼーっとしてきた。
さらさらの砂が落ちていく様子はなんとも美しい。
引き込まれるような魅力がある。

「こんなに砂時計を眺めたことなんてなかったな」

気が付くと、時間が大分経っていた。
なにその時間のワープ。驚いた。
はっきりとは時間はわからないが
とにかく長い時間
私は釘付けだった。

とっても贅沢な時間を過ごしちゃったな。
とても気分がいい。
なんとも言えないこの心の感じ。

またこうして時間を作ってゆっくり見たいものだ。

うーん。しかし。
私はあの懐かしい砂時計に
時間を奪われたのだろうか?
いや違う。
こちらが時間を自ら差し出したのだ。
そしてあの贅沢な時間を手に入れたわけだ。
なるほどね。

素敵な時間に身を投じた私の
お話でした。

まだ砂時計あるかな?


ではまた。



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