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【絵本】「今夜、降るでしょう」

《登場人物》
おふたりさん:ねじりさんと相棒さん。
ねじちゃん:「わたし」のことです。おふたりさんにこう呼ばれています。


「ねじちゃん。今年もあともう少しでクリスマスツリーが降るよ!

「クリスマスツリーが降る??」

おやおやおふたりさん。
さも当然のように言うではありませんか。
あ。でもそういえば
おふたりさんお気に入りのラジオ「こびとの世界」でも
この前そんなことを言っていたっけ。


もともとこびとの世界ではクリスマス前になると
「ツリーがないお家にクリスマスツリーを届ける」
というイベントが行われます。

そしてここ人間の住む世界でも最近では
自宅にクリスマスツリーがないお家が多くなってきているとか。
でもみんな本当はツリーを飾って楽しみたいはず…

そこで、そんな人々のためにも今年から
人間界にもクリスマスツリーを降らせよう!
ということになったそうです。

《クリスマスツリー情報》
・クリスマスツリーが降る日は毎年同じではなくその年ごとに違う。
・届いたクリスマスツリーは12/25を過ぎたらそのうち消えてなくなる。
・心からクリスマスツリーを欲しいと願っている人のもとへ届く。

ここでみんな気になるのが「いつ降るのか?」ですよね。
実はそれを知る唯一の方法がなんと
ラジオ「こびとの世界」なんですって。
しかもそれがまた、毎年その当日に突然
「今夜、降るでしょう」と告知するらしいんですよ!

ですからこの時期こびとの世界ではみんな
ドキドキしながらラジオを聴いているんでしょうね。
もちろんこのふたりもみんなと同じく
毎日ドキドキしながらラジオを楽しみにしておりました。


そしてついに…

「今夜、降るでしょう」

ラジオ「こびとの世界」より

「ねっ、ねじちゃん大変っ!今日だってーー!!

「おっ、とうとうだね!じゃあ今夜はしっかり暖かくしないとね~」

おふたりさんはこの日のために用意していた
お揃いのコートと帽子を身につけ、急いで屋根に上っていきました。

それからふたりは冬の寒い夜空の下
屋根の上で空を見上げながら
今か今かとじぃっと待っておりました。
すると…

「あっ!向こうからクリスマスツリーがやってきたよー!」

夜空に突然一本のクリスマスツリーが現れたと思ったら
次から次へとたくさんのクリスマスツリーたちが
流れ星のようにぴゅーんと降ってきたではありませんか!

それらはまるで流星群のようにキラキラと輝いていました。

「わぁ~!きれいだねぇ!」

これにはおふたりさんも大興奮!!
空に向かって拍手をしながら喜んでいます。
すると今度は急に静かになり、そっと目を閉じました。

ふたりはキラキラと輝くクリスマスツリー群に向かって
心の中でこんなお願い事をしました。

「みんなが平和に暮らせますように」

今夜ふたりが本当にしたかったこと。

それは、クリスマスツリーがみんなのもとへ届くその瞬間に
「みんなの幸せを願うこと」だったのです。

「流れ星に願い事をすると願いがかなう」

もしかするとおふたりさんは
「流れクリスマスツリーに願い事をすると願いがかなうかもしれない」
そう思ったのではないでしょうか。

みんなのことが大好きなふたりはいつだって
みんなのことで頭がいーっぱい!
そんな「おふたりさん」なんです。

それからふたりは
クリスマスツリーが消える最後のその瞬間まで
お願いし続けたのでした。

「ねじちゃん、ただいま~」

流星群のようなクリスマスツリーが降る時間も終わり
お家の中へ戻ってきたおふたりさん。
ずっと外にいたのですっかり体が冷えてしまいました。
そんな夜は温かいココア風呂に入るのが一番!
クリスマスツリーが降った素敵な夜に入るココア風呂は
そりゃあもう格別です。

幸せな心地に包まれたおふたりさん
今夜はなんだかいい夢がみられそうです。

そうそう
おふたりさんのところにもちゃーんと
キラキラのクリスマスツリーが届いてましたよ。
おふたりさん、よかったですね。


それからふたりは
そのキラキラと輝くクリスマスツリーを眺めながら
ゆっくりと眠りについたのでした。


(おしまい)


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