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【絵本】 お星さまの穴

ある夜のことです。

おふたりさんはいつものように夜のお散歩を楽しんでいました。
すると空からキラキラと光るものが地面に落ちるのが見えました。


ふたりが急いでかけよると、そこには
見たこともないものが二つ並んでいました。

「これ何かなぁ?」
「お星さまじゃない?」
「落ちちゃったんだね、かわいそう」
「傷もあるみたい」
「それに真ん中に穴もあいてるよ」
「あ!キラキラの光もどんどん弱ってる」
「どうしようどうしよう」

すると相棒さん。
突然そのお星さまを
すぽっ!


するとどうでしょう。
お星さまのキラキラが少し強くなりました。

それを見ていたねじりさんも同じく
すぽっ!


こっちのお星さまもさっきより少しキラキラが強くなりました。

「生き返った!」
「生き返ったね!」

おふたりさん、まずはほっと一安心。
それからお星さまをやさしく磨きながら
これからどうするべきか、ふたりは一生懸命考えました。

そしてふたりは思います。
もしかするとお星さまはみんなを照らすことで
元気になるのかもしれない、と。

そこでふたりはお星さまに元気になってもらえるよう
お星さまと一緒にみんなのところへ出かけることにしました。

到着したおふたりさん、さっそくみんなに声をかけます。

「お星さまの光をどうぞ~」
「どうぞ〜」

あっちをキラキラ。
こっちをキラキラ。


実はお星さま、みんなを輝かせることが大好き!
それはお星さまの元気の源でもあります。

その夜、お星さまはみんなに会えてとっても幸せでした。
そしてそれは森のみんなにとっても同じようでした。

みんなを照らした後、お星さまとおふたりさんは
お星さまと最初に出会った道に戻ってきました。

「みんなキラキラしてたねぇ」
「よかったねぇ」
「あとは最後の仕上げだね」

そう言うと、ふたりは顔からお星さまを外しました。

すぽっ!
すぽっ!

「やっぱりそうだ。お星さま、もうすっかり元気になったみたい」

お星さまはみんなをキラキラ照らすうちに
どんどん光が強くなってきていました。
お星さまはみんなのお陰で元気を取り戻していたのです。

そしてふたりにはどうやらそれがわかっていたようでした。
なにせお星さまの穴がむぎゅむぎゅと小さくなって
ふたりの顔がどんどん窮屈になってきていましたから。

「あんなに大きかった穴も、もうほとんど見えないね」


顔から外したお星さまの穴はもう元に戻りつつありました。
小さくなっていくその穴を、ふたりは最後まで静かに見守ります。

しばらくすると穴はとうとう完全にふさがり
傷もすっかり治っていました。

ふたりはお星さまが元気になったのを見届けると
今度は空へ向かってお星さまを優しくぽーんと飛ばしました。

宙に浮いたお星さまはそのままゆっくりと
ふわふわ空へ舞い上がっていきます。
そして途中こちらに向かって何度かキラキラと光りました。
恐らくそれは「バイバイ」の合図でした。

おふたりさんもその合図を見て、大きく大きく手を振りました。

「お星さま、きっとまた会いに来てね~!」


お星さまの姿が遠く遠く見えなくなった頃
ふたりはまたいつものように
夜のお散歩に出発したのでした。


おしまい。


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