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チームビルディング① ~品質管理にかけるのと同等の熱意を人間関係に向ける~

 ▶人間関係は利益に直結する◀

 会社での人間関係は利益に直結する。だがそれは軽視されている。会社が義務教育の延長みたいになっている。みんなで手をつないで一緒にゴール!という感覚は会社では必要ない。生産性をあげるため、リーダーはチームビルディングに積極的に関与するべきだ。

 ▶海水魚と淡水魚の比喩◀

 海に住む魚(海水魚)、小川に住む魚(淡水魚)、熱帯魚や深海魚など魚と言ってもそれぞれの種に適切な生育環境は様々だ。海水魚は淡水では生きていけないし、淡水魚は海水では生きていけない。海の魚が海にいること、川の魚が川にいることには理由がある。優劣の問題ではなく、「違い」の問題である。それ以上でもそれ以下でもない。ただしそれは生存に関わる重要な点だ。

 同じように人間にもそれぞれにふさわしい環境というのがある。

 にぎやかな所が好きな人もいるし、静かな所が好きな人もいる。エコノミークラスで満足できる人もいればビジネスクラスを求める人もいる。

 人間は肉体としては強い生き物で知恵もあるから、肉体的に生きていくだけなら環境適応能力は動物よりも高い。なのでけっこう雑に、いっしょくたにみんな同じ仕分けボックスにとりあえず押し込まれるという事がよくある。それを甘受する事は「忍耐」として社会的には美徳とされている部分もある。

 だが少なくとも会社組織では「忍耐」よりも「生産性」の方に意味がある。頑張った努力賞としての給与というのは、今の時代では通じない。

 「価値」(=金銭的な利潤)を生み出そうという事で人間が集まって作り上げたのが「会社」という組織なので、その組織が最大限に効果を生み出すためにはその成員が最大限に効果を発揮してもらわなくてはいけない。一人一人が最大限に能力を発揮できるような職場環境を設計するのがマネージャーやリーダーの仕事だ。

 一般的に職制や部門ごとに職場は確かに区別されているが、それだけではまだ足りない。個人と個人の相性なども含めて考えたうえでのチームビルディングが必要だと思う。チームビルディングを最善のものにするためには職場環境の文字通りの設計が重要になる。

✅ チームビルディング 職場環境の設計 リーダーの仕事

 海水魚と淡水魚を同じ水槽に入れてしまってはどちらとも死んでしまうか、どちらもそれぞれの良さを生かせなくなる。

 職制や部門ごとに職場は区画されているのが一般的だが、それはもっと明確に厳密にした方が良い。

 例えばA部とB部は顔を合わせない方がよい、という事もある。仕事にともなう時間感覚が違うから、高速で走る車と低速で走る車で2車線あった方が交通がスムーズに流れるのと同じように。

 また、部門や職制ごとではなく、個人間同士でも区画整理した方が良い。AさんとBさんはお互いが視界に入らない方がよい、とか。逆にC部とA部は同じ部屋に、BさんとDさんは隣同士の方が、など。組み合わせによって力が累乗的に増える場合もあるし、その逆もある。

 生産性を最大化しようと思ったら、個人同士の好き嫌いや相性というのもシビアに分析する事が必要だ。 

 例えば古い体質の組織の中で新規事業を発足させようとすると、新規事業部は必ず「浮く」。

 古い体質の組織が持つ保守的な空気感は貴重だが、それは新規事業を開発していく際のエネルギーを吸い取ってしまう事もある。

 逆に新規事業の過剰なエネルギーが本体組織の秩序を乱してしまうという事もある。

 良い意味でお互いに刺激を与えあえるのなら良いが、そうでない場合は、オフィスを別別にするとか、作業の動線が重ならないようにするとか、両者の間には物理的な距離も必要だ。

 リーダーは組織内の全部門ごとの仕事内容を把握するのは当然だが、人間関係にも注意を払う必要がある。

 このあたりはサジ加減がかなり微妙だし、神経質な議論にもなりかねないのであまり語られないが、目をそらしてはいけない重要なポイントだ。

 今の時代を生きていこうとする組織としては、商品の品質にこだわるのと同じ熱意で組織内の人間関係にも目を配らなくてはいけない。

✅ 商品の品質にこだわるのと同じくらいの情熱で人間関係にも配慮を

 私に言わせればこれはものすごく重要なポイントなのだが、ここはかなり軽視されているのも現実だと思う。

 部署ごとに人員を振り分けたら、あとは善きにはからえといわんばかりに、投げっぱなしになってはいないか?

人間観察に基づいたチームビルディングが重要

 相性の合わないもの同士を放置しておくと、それは生産性を下げる事になり、それは利益の最大化を妨げることにつながる。

 会社は義務教育の学び舎ではないので、そのあたりも、財務諸表の数字に目を光らせるのと同じ程度にシビアに見つめていくべきだ。

▶リーダーに必要な人間力◀

 リーダー、マネジャーは社内、部門内、あらゆる場面での人間関係や個人個人による微妙な時空間意識の違いを見抜かなくてはいけない。

 (もっとも、それができるのはある程度の規模までの組織の話なので、ここでの話はその程度の規模の組織についてである。大規模になると、そうはいかない。話は別。)

 リーダーは人間個人の感情、感性、空気感というのに繊細な感覚を持たなくてはいけない。

 これは単にやさしさとか配慮とか社員におもねるとか福利厚生とか、そういう問題ではなく「利益」に直結する話だから。

 そのために、リーダーは実務というより、人間力を磨かなくてはいけない。それがリーダーの責務である。

  ~以上、②に続く~

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