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デザイナーになりたかった私の話。

先日プログラムについての話を書きました。でも私エンジニアを離れて久しくて、今はどちらかというとデザイン寄りの仕事をしています。
なのにプログラムの記事の方が捗るんだよなあ、、、と思いながら、なんで私が自分をデザイナーと呼ばないのか向き合ってみることなしました。

映像クリエイターになれない私。


私は今動画制作を生業にしています。たぶん一般的には「映像クリエイター」というくくりに分類されると思うのですが、私はただ「動画師」と名乗っています。それは何故か。毎回作ってるアイキャッチもそうなんですが、私にはオリジナリティというものが皆無だからです。
もちろん動画制作の上で、必要であれば素材も作るし、背景も作るし、3Dモデリングもします。でも1つのシーンを1から作り込むようなことは極力避けます。理由は時間がかかるから。お預かりした素材に対して事前に作った背景やプラグインを組み合わせながら、一貫した世界観を作れるように模索します。もしくはその曲のために作った背景を使いまわせるように尽力します。結果「こういうのにありそうなデザイン」を大量生産するのは得意です。でも「今まで見たことない斬新なデザイン」はひとつも作れません。

デザインの需要はふた通り。

もちろん、オリジナリティ溢れるデザインを作ることができればそれが一番いいです。イラストレーターさんの渾身のアニメーション作品や、まるで実写のようなモデリングを1から作った素晴らしい映像作品。私ももう大好きで、もうドキドキしてワクワクして、細部まで細かいところを何度も再生します。ボカロや歌ってみたを、音楽だけではなく目で楽しむ。世の中には本当に素敵な動画が溢れていて幸せなことです。
ただ、そこまでのクオリティの映像を作り込むにはめちゃくちゃコストがかかります。動画を再生してみるとわかるのですが、1秒って体感で観ると結構長い。滑らかで違和感のない映像を作りたいなら、0.1秒の世界を1つ1つ作り上げなければなりません。3分の動画を作るだけで1080フレームのデザインが必要(分かりやすく説明するためにちょっと数字を極端にしていますが)費用対効果として、オリジナルデザイン料も含めると数十万〜数百万にものぼります。その額を投稿動画(と配信)だけで稼げてる人って活動者の中でも一握りだと思うんです。

私の作る動画は、その1/10くらいのコストで仕上げます。一度作った背景やモデリングはしっかり保存しておいて、配置や色調を変えながら時に使いまわします。フォントもプラグインも良さそうなものはバンバン買うし、素材もイメージに合うものであれば購入を躊躇しません。なので、先程言ったオリジナリティ、という部分で言えばちょっと欠けます。その代わり、他の動画師さんと一線を画すくらいの速さで納品します。安くて早い、クオリティはそこそこ。動画に限らず商業デザインでも、ちょっとした広告に使うアイキャッチや期間限定イベントで使用する素材は、オリジナリティよりもスピード感が求められることが多いです。なので、需要は確実にある。自分の看板になるような長く使いたいデザインはハイクオリティのデザイナーさんに頼み、期間限定で大量生産したいLPなどは私みたいな量産型クリエイターに頼む。悲しいかな、そういう意味でお仕事が途切れたことはないのです。

デザイナーに憧れてプログラマに。

そもそも、私がプログラマになったのは、中学の時にネットサーフィンをしながらこういうおしゃれなサイトを自分も作りたい!と思ったからです。アニメーションをふんだんに使った、おもちゃ箱のようなホームページ。それはアニメではなくFlashだったわけですが、プログラムの基本のキもわからないままAction Scriptのコードをそのままコピペして、動かない、、、と頭を悩ませながら自分のサイトに最適化していって。不格好ながら一応動くものが作れた時の感動は今でも忘れません。楽しくて楽しくて、私はプログラマになりました。
が、よく考えたら私がなりたかったのって実はデザイナーだったんですよね。動くものを作りたい訳じゃなくて、おしゃれでかっこいい(かわいい)サイトを作りたかった訳だから。それに気付いたのは社会人になって、デザイナーさんと一緒に働くようになってからでした。デザイナーさんが捕まらない時に簡単なLPやバナーを自分でデザインすることはありましたが、結局雲泥の差でゴミ箱にポイしたことも数知れず、、、プログラマになったことは後悔してませんが、あの時ちゃんとデザインの勉強に振り切っていれば0から作れるデザイナーになれてたかもな、と思います。

それでも現状には満足している。

プログラマは業界の変化が特に激しい職業なので片手間で流れについていくことはできません(実際それで実装を離れて管理職になっていく人がほとんどなわけだし)私はプログラムの世界を離れて久しいので、今戻ってもすぐには使い道にならないしプログラマを名乗ることもできません。プログラマも名乗れないし、デザイナーにもなれなかった私。

でも、プログラムとデザイン、両方を経験してること自体はかなり大きな武器になります。管理職を目指すことにおいて、自分がその仕事を経験していないと工数管理ができません。その作業にどのくらいの時間がかかるか把握できないと、人員を管理することも補充するかも難しい。私はプログラムもデザインも基本のキくらいは教えてあげることができて、工数管理もできて、プロジェクトマネージメントもできるので、エンジニアからスクラムマスターを経て、プロジェクトマネージャー、そして最終的にプロダクトマネージャーまで上がるのにあまり時間はかかりませんでした。スペシャリストにはなれなかったけど、ゼネラリストになることで、組織での地位は確立することができた。

今はフリーランスですが、動画以外にもwebサイト構築やコードレビューなど、案件に付随して様々なオプションをつけることができます。プログラマとして堂々と仕事を請け負うには心許ないけど、ついでにこんなこともできますよ、と追加で作ってあげることはできる。私が現役時代に使ってた言語はどんどんバージョンが古くなり、現状JSとPHPしかまともに書けないけど今のところ困ってません。そしてあんまり知られてないけど、動画制作にはJSが必要なのでひとつひとつの知識が無駄にはなっていません。

デザイナーにもプログラマにもなれない私。名刺には「動画師」の肩書きしかないけれど、この道を選んだことを後悔していません。結局大半プログラマの話になっちゃったあたり、私はプログラムも大好きなんですよ。お金ももらえないのに毎日アイキャッチ考えるくらい、デザインも好きなんですけどね。

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