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Los pericos bebiendo unas bebidas energéticas
⬛︎プレーオフ昇格組が辿る困難な道
TVアニメ「進撃の巨人」において、第42話「回答」は、その後のストーリーを大きく左右する分岐点になる回だ。この回では、王政への反逆罪を偽装され、王宮で執政官たちの前に引き立てられた調査兵団長エルヴィン・スミスが、駐屯兵団長ドット・ピクシスと共謀して企てたクーデターをすんでのところで成功させる。
クーデターを成功させ、解放されたエルヴィンを、彼の同期である
Der zwei "Sebastians"
⬛︎優秀だった「あなたの甥」
現在はウェブサイトに一本化されているサッカーメディア「フットボリスタ」が、まだ月刊誌を発行していた2019年のことである。その年の9月号の特集は「19−20欧州各国リーグ展望 53人の要注意人物」というものだった。そのシーズンの趨勢を展望するにあたって、組織でなく敢えてキーと目される個人の動向を探ることで、より具体的な考察がなされており、非常に好きな特集であった
「パス回しの目的化」から考えるあれこれ
⬛︎「コンサラボ」における問題提起
Xのタイムラインに、ある北海道コンサドーレ札幌のファンによる興味深い情報が流れてきた。
「コンサラボ」とは、フジテレビの系列局である北海道文化放送が手がける、北海道コンサドーレ札幌(以下「札幌」)に関する情報番組である。道内のローカル局はそれぞれ、自局のニュース番組内に札幌に関する特集コーナーを持っていたり、独自の情報番組を持っていたりするのだが、この
もしもショーン・ダイチが北海道コンサドーレ札幌の監督だったら
◼️4月度の PL月間最優秀監督
少し前の話になるが、エバートンのショーン・ダイチ監督が、4月度のプレミアリーグ月間最優秀監督に選ばれた。
開幕以後、毎月選定されるこの賞は、当然ながら上位クラブの監督に授与されることが多い。シーズン開幕当初、鮮烈な試合内容でリーグを席巻したトッテナム・ホットスパーのアンジェ・ポステコグルーが3回連続で受賞して以降も、ウナイ・エメリ(アストン・ビラ)やユル
女神の砦は鉄火場だった(後編)
⬛︎アタランタの戦術的特徴
試合内容に入る前に、双方の戦術的特徴をざっと示しておこう。
まずアタランタ。前編で述べた通り、彼らの基幹戦術はガスペリーニ監督の就任以降、すっかり旗印となったマンオリエンテッドなプレッシングにある。ただし、「最後尾の数的同数状態」を許容しない点は特徴的だ。ハイプレスの遂行に際して、何らかのギミックが試合ごとにデザインされている。3バックの敵に対しては前線を3名で
女神の砦は鉄火場だった(前編)
⬛︎序
中央駅からダラダラと長く続く坂道を登り20分ほど歩くと、中央駅前によくあるファストフード店や小綺麗な宿が姿を消し、朽ちた建物や荒れたままの草木が目に見えて増えてくる。よく言えば生活感のある、悪く言えば裏ぶれた空気を漂わせる住環境のど真ん中に、10日間ほど続けた欧州3カ国の旅の最終目的地が姿を現した。気が引き締まると同時に、中央駅に程近かった公式グッズショップで買い物をしていないことを思
いくつもの敗をかさねて
「そろそろ、覚悟をするときかな、艦長」。
…追加タイムが5分に達する数秒前に、マティアス・イェーレンベック主審が試合終了を告げるホイッスルを鳴らす。ヴォノヴィア・ルールシュタディオンの虚空に響いたその音によって、自分たちがより厳しい状況に追い込まれたことを知ったヤン・ティールマンが、捨て鉢にボールを蹴り出した。彼の背中が物語るフラストレーションを感じながら、咄嗟に思い出されたのが、「機動戦士
「薬屋」のおおしごと〜ラインの赤黒に刮目せよ
◼️ブンデスリーガ開幕。首位に立つのは…
8月18日に開幕し、3節を消化した23-24シーズンのブンデスリーガ。先期、辛くも最終節で、しかも他力で優勝を勝ち取った絶対王者バイエルン・ミュンヘン(以下「バイエルン」)が、ドイツのクラブとしては異例の金額で、待望の「9番」としてイングランド代表のエースであるハリー・ケインを迎え入れたことによって、盤面上では万全に構築される一方で、先期の後半にネガテ
北海道コンサドーレ札幌のリーグ前半戦を振り返る
■序文:ようやく具現化された新たな「ミシャ式」
2023年のJ1リーグが前半戦の17節を消化した。北海道コンサドーレ札幌は、勝点26を積み上げ、8位で前半戦を終えた。初勝利まで4試合を要したことを踏まえると、この成績は上々だ。あと2勝2分で勝点は34、J1残留の目安となる勝点数に到達する。また、最下位だけがJ2に降格するという今期の特別なレギュレーションと、既に最下位の柏、および同率17位の湘
8 Minuten Traum
■これ以上ない最後の舞台。バイエルン撃破という「タイトル」
VARとの交信を終えたスヴェン・ヤブロンスキ主審の手が長方形を描き、次いでペナルティスポットを指差したとき、ドイツ屈指の熱量を誇るスタジアムは即座に沸騰した。
2番手のキッカーがペナルティスポットに向かう。固唾を飲んで、という使い古された表現が似合いこそすれ、そこにネガティブな重圧はないように見えたところに、現地ででなく、テレビ画
Los pericos abandonados🦜
■残留は風前の灯火。苦しむエスパニョール
北海道コンサドーレ札幌以外に、いくつか定点観測するクラブを持っている。何となく思い立ったので、今回はそれらのひとつであるRCDエスパニョール(スペイン語での正式名称:Real Club Deportivo Espanyol de Barcelona)の話をしてみる。
切っ掛けは、18年の渡西時に彼らの試合を観戦したあと、ふらっと立ち寄ったバルで、構
2023年J1第5節 G大阪2-2札幌 所感
■布陣と試合概略
エンターテインメントとしは評価できる試合だった。アウェイチームが2得点を先取しホームチームが追いつく、という流れそのものもさることながら、過程に確かな戦術面での変化と、それをもたらしたベンチワークがあるからだ。とはいえ、起きていた現象そのものは両陣営の戦術面での未成熟度、あるいは構造的不安定さの裏返しであり、上位陣との力量差を示唆するものでもある。このため「良質」な試合だった
2023年J1第4節 札幌2-0横浜FM 所感
■布陣と試合概略
3試合を勝ち無しで過ごしていたホームチームが、キャンプからの帰還後初のホームゲームで待望の今期初勝利を挙げた。相手のプレイスタイルゆえにこちらの仕事が明確になった。すなわち、順位表上の数字とは異なる次元の要素〜即ち、サッカースタイルの相性が有効に働いた試合だったと思う。ボール保持の局面でなく、非保持の局面にこそ強みを持つチームは数あれど、他ならぬペトロヴィッチ監督のチームがそ
2023年J1第3節 新潟2-2札幌 所感
■布陣と試合概略
開幕からの2節を「負けなし」で迎えたホームチームと、「勝ちなし」で迎えたアウェイチーム。一方がJ1にいるときには他方はJ2に入ることが多く、特に00年台に入ってからは対戦自体がレアだった両陣営だが、札幌が「マンツーマン」を、新潟がそれをかわす低い位置からのパスワークを、というように、戦術的なアイデンティティを表現し合った結果、ボールが前後に行き交うハイテンポな内容の試合を演じ