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小説『ネアンデルタールの朝』第一部

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小説『ネアンデルタールの朝』第一部を掲載しています(全27回)。章ごとにまとめた投稿もあります。
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#心

連載小説『ネアンデルタールの朝』第一部第1章まとめ(①~⑥)

第一部 あの青い空の波の音が聞えるあたりに あの青い空の波の音が聞えるあたりに 何かとんで…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』⑦(第一部第2章‐1)

第2章 1、 民喜は駅前広場から車を出発させた。遮断機が失われた踏切を通り抜け、ロウソク岩…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』⑧(第一部第2章‐2)

2、 民喜はかがみ込んで、雨どいの下にガイガーカウンターを近づけてみた。土壌から5センチほ…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』⑨(第一部第2章‐3)

3、 いわき市の実家に戻ったのは、夕方の5時頃だった。 「ずいぶん早かったわね」 台所から母…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』⑩(第一部第2章‐4)

4、 夜、スマホを見ると、大学の友人の山口凌空(りく)からラインのメッセージが届いていた…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』第一部第2章まとめ(⑦~⑩)

第2章 1、 民喜は駅前広場から車を出発させた。遮断機が失われた踏切を通り抜け、ロウソク岩…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』⑪(第一部第3章‐1)

第3章 1、 「ビール飲むか?」 冷蔵庫から500ミリリットルの缶ビールを2本取り出してきた父は言った。 「うん」 民喜は頷いた。父はすでに飲み始めていたようで、幾分顔が赤い。 この度の帰省で父の民夫(たみお)とは7か月ぶりに顔を合わせたが、少々疲れた顔をしているのが気になった。目の下には微かにくまもできている。父は今年でちょうど50歳であるが、実年齢よりも幾分老けて見えるかもしれない。短髪の髪の毛には白髪が目立ち始めている。 父は缶のふたを開けて民喜のグラスにビールを注い

連載小説『ネアンデルタールの朝』⑫(第一部第3章-2)

2、 ラインの電話の着信音で民喜は目を覚ました。時計を見ると、午前10時を過ぎていた。慌て…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』⑭(第一部第3章-4)

4、 「遅くなって、すまん」 駅前の横断歩道を小走りで走って来た駿は、 「民喜、久しぶり」 …

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』⑮(第一部第3章-5)

5、 駅前の高速バス乗り場に到着する。バスはすでに到着していたが、発車時刻まではまだ10分…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』第一部第3章まとめ(⑪~⑮)

第3章 1、 「ビール飲むか?」 冷蔵庫から500ミリリットルの缶ビールを2本取り出してきた父…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』⑯(第一部第4章-1)

第4章 1、 テレビを消し、シンと静まり返った家の中で、民喜は特にすることもなくソファーに…

鈴木太緒
3年前
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連載小説『ネアンデルタールの朝』⑰(第一部第4章-2)

2、 ソファーに横になりながら、民喜は改めて「**町災害復興計画(第二次)」に記された太…

鈴木太緒
3年前

連載小説『ネアンデルタールの朝』⑱(第一部第4章-3)

3、 仕事から戻ってきた父は、いつものようにまずリビングの仏壇に向かった。手際よくロウソクに火をともし、線香をあげて手を合わせる。父が立ち上がると、線香の香りが漂ってきた。 リビングの仏壇は、民喜たち家族がいわき市に移ってから新しく作られたものだ。仏壇の位牌の手前には、祖父と祖母の写真が飾られている。小さな仏壇ではあるが、台の上にはお菓子や果物、祖父が好きだった日本酒などが絶えることなく供えられている。そして、復興計画が綴られたあのファイルも……。 すでに夕食を終えていた民