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#13人事担当なのに人に関心がなかった私。思い込みを手放し、目指すは「一人一人が未来へ希望を持てる社会」〜岩澤龍さんのケース〜

アート思考、システム思考、認知行動療法など、学術的アプローチで「本当のやりたいこと」「人生を通して追い続けたい問い」を見つけ、深め、広げるためのプログラム「NCS(Narrative Career School)」。NCSを卒業し、自分らしい人生を歩み始めた若者たちが語る過去の私、今の私。https://bit.ly/3wczFSH

岩澤龍です。静岡県出身の社会人4年目です。家を買い取ってリフォームし、再度販売する「再生住宅」というビジネスを行う会社に新卒で入社し、現在は新卒採用の責任者をしています。

NCSに初めて参加したのは、社会人2年目の頃です。まずヘルスケアコースに参加しました。その後続けてNCS(アート思考や認知行動療法などのアプローチを用いて、自分の本当にやりたいことを見つけて行動できるようになるプログラム)と、NCSのコーチング講座にも参加しました。

ヘルスケアコースへの参加で、精神の落ち着きを取り戻した

その頃は生活習慣が大きく乱れている状態でした。運動や自炊はほぼせず、家の中は洗濯物で散らかり、このままではまずいと危機感を持っていました。その頃の私は、仕事に追われて精神的に余裕がなく、それが生活習慣に現れていたのです。

そんな折、以前からFacebookをフォローしていたNCSの設立者である喜多さんのヘルスケアコースの案内が偶然目に留まり、試してみることにしたのです。ヘルスケアコースでは、喜多さんから食や健康に関する知識を学んだほか、1on1(一対一で行う対話のこと)を行いました。また、食事や運動、睡眠など各分野の専門家の方にチャットで質問することもできます。

このようにして、健康に関する知識と1on1でのサポートを得ながら、毎週自分で行動目標を立て、ワンアクションしてみる、ということを繰り返し行います。この一連の行動で、自分の中に自信を積み重ねていくことができました。自分が立てた行動目標を達成することが出来ると、小さな自信が生まれます。そして少しレベルを上げた行動目標を立て、達成していくことで、どんどんと生活習慣が良くなっていく良い連鎖が生まれたのです。
ヘルスケアコースに入って2か月経った頃には、生活習慣が変化し、精神的にも落ち着きが生まれました。運動の習慣が付き、週2〜3回ほど自炊をするようになりました。部屋の洗濯物は綺麗に片付き、朝も決まった時間に起きて余裕を持って過ごせるようになりました。

NCSに参加して:自分の意見を言うことが苦手になっていた自分と母の存在

ヘルスケアコースの次にNCSコースに参加しました。その時の私は、仕事でも課題を抱えていました。例えばミーティングでは、自分の意見が綺麗にまとまっていないと発言できないことがありました。また、学生との面接の際には、自分との面接を介して、自分の会社を魅力的に感じてくれていないのではないかという不安感がありました。そのような状況の改善のためには、生活習慣だけではなく、自分の内面にも向き合う必要があることに気が付き、NCSを受けることにしました。

NCSを受けていく中で、印象深かったワークがあります。そのワークは、現状と過去の出来事とのつながりを見つけ、自分の思い込みや本当の願いに気が付き、行動力を上げていくことを目的としています。

このワークで気づいた自分の思いは2つあります。まず、「能力を認められたい」という思いです。以前は、この思いが強いがゆえに、自分の能力を評価してもらえるかわからない場を避けて行動していました。

そのため、ミーティングで発言が出来ないことや、企画する際に完璧さを追い求めてしまい、ぎりぎりになるまで人に相談出来ないことがありました。学生にプレゼンをする際にも、自分の説明が伝わっているかを不安に思っていたので、彼らからは頼りなく見えていたのではないかと思います。「能力を認められたい」という思いが、今自分の目の前にある現実の捉え方に関わっていて、時に悪影響を及ぼしていたのです。

そこで、まず「能力を認められたい」という思いがあることと、意見を言うことにハードルがあることを、上司に素直に話してみました。そして、完璧な答えではなくても、些細な意見でも言うよう心掛けました。それを積み重ねていったところ、最終的にミーティングで上司への反対意見を言うこともできるようになりました。上司からは「発想が広がって、既存の枠組みの外から考えられるようになったから仕事を任せやすくなった」と褒められました。学生からも「岩澤さんって良い意味で自信がありますよね」と嬉しい言葉をもらいました。

そしてもうひとつの思いは、「本当は人とつながりたい」ということです。その頃は、人事の仕事をしているにも関わらず、他人に興味を持ち切れずに、あえて人から離れて一匹狼を演じている自分に対して、もやもやした思いを抱えていました。

「本当は人とつながりたい」という思いに気が付いてからは、辛いときに辛いと言ってみるなど、自分の感じた感情を言葉にしてみることを心掛けました。それを続けていくと、次第に自分から人に話しかけ易くなりました。

このような、人とのつながりを作ること、自分を表現することが苦手になってしまったきっかけとなったのが、母の存在です。

母はいつも私に愛のある声かけや行動をしてくれました。そんな母のことが私は大好きでした。一方で、彼女は「人に嘘をつかない」「謙虚であること」「最後まで努力をする」などの価値観を強く持っていました。

しかし、それらの価値観が「人は皆こうあるべき」という絶対的な正義となっていて、その基準に当てはまっていない人を見ると、感情的に攻撃を始めることがありました。私は、そのような母の正義を振りかざすところが嫌いでした。

それは、私の中で「感情を表現したら、人が離れていくかもしれない」「絶対的な正義を振りかざすと、人から嫌われるかもしれない」という思い込みを作っていきました。だから、些細な意見を言うのもハードルが高く感じて、いつもどちらのポジションも取らず、中立的な立場でいようとしていたのです。

でも、ワークをしたことで、自分が悪循環に陥っていることに気が付きました。それは「自分は本当は人とのつながりを求めているのだけれども、人から嫌われたくないから、つながりを作りにいかない。しかしそのことによって、孤独感を感じ、自分の自信も無くなっていっている」というサイクルでした。

それからは、まずは周りの人に対して、自分の感情や自分が今いる状況を素直に伝えてみることから一歩踏み出してみました。そうしたら、「この人は、自分の感情や価値観、状況を知ってくれているんだ。だから、もう少し伝えても受け入れてくれるかもしれない」と思えるようになり、ミーティングでも発言がしやすくなりました。そして発言してみたら、上司からも「自分の意見を強く言えるようになったね」との言葉をもらえて、更に発言がしやすくなるという、好循環が出来上がりました。

人と話すのが楽しいという感覚が、戻ってきた

ミーティングでうまく発言できるようになったことで、思い出した原体験があります。それは兄との思い出です。兄とはすごく仲が良く、毎日一緒にお風呂に入り、宇宙の話や生き物の話をしたり、クイズを出し合ったりしていました。その時間はすごく楽しくて、心地良いものとして、私の記憶に残っています。

私は実は、人と話すことや議論をすることが、すごく好きだったんですね。ミーティングでうまく発言出来たことで、私が当時感じていた、失敗を恐れることなく人との会話を純粋に楽しむ感覚が、自分の中にもう一度戻ってきたのです。それからというもの、人と話すことや探求することを、心の底から楽しめるようになりました。

その後、仕事の質は更に向上しました。まず、これまで取り組んだ経験がないことや、出来るかどうかわからないことにも、人に相談や質問をしながら、すんなりと取り組めるようになりました。

また、学生との面接でも相手に踏み込めるようになりました。今までは、自分の会社への志望度を訊くことすら、学生から嫌われるかもしれないと躊躇していました。しかし、相手のためだと思って訊くことが出来るようになり、その結果、学生から良い評価をもらえるようになりました。
学生と個別に対話し、その体験を学生が評価をする採用イベントでは、以前は評価が10人中9位だったこともありましたが、最近では、上位2、3割の順位に安定的に入ることができるようになりました。

自分だけに矢印を向けるのではなく、相手に矢印を向けることで、もう少し深掘りして考えた方が良い点を伝えるなど、効果的なフィートバックが出来るようになりました。

コーチング講座で、学生の話を立体的に捉えられるように

その後、人事としての力を付けたいと思い、NCS受講後は、NCSのコーチング講座にも参加しました。それまでは我流で面談を行っていたのですが、きちんと理論に基づいた面談をしたいと考えました。

この講座を受講して感じたことは、自分の内面のみならず、相手の話も立体的に捉えることができるようになったことです。例えば、面接で学生と話している際に、相手の言ったことをそのままに理解するのではなく、相手の就活の軸を聞いたとしたら、そこから相手の過去の経験や、その経験から生まれたメンタルモデル(人間が無自覚に持っている、人間や世界に対する思い込みのこと)などが自然とイメージされます。このような面談が出来るようになってからは、学生から「岩澤さんが人事の中で一番寄り添ってくれた」「親身になって話を聞いてくれた」という声をもらえることが多くなりました。

このように前向きに仕事に取組み、成果を着々と積み重ねていたら、新卒採用の責任者としての役割を任せてもらうことが出来ました。自分の出来ていないところを前向きに受け入れてポジティブに進んでいく姿勢が、周りに対して勇気を与えているとして、評価されたのです。

更に、私がコーチングを学んでいると知った職場の先輩から声を掛けられ、職場にコーチングルームを作ることになりました。今は、1年目や2年目の社員に向けてコーチングをしています。ゆくゆくは、自分の会社のマネージャークラスの人達全員にコーチングの学びを広めたいと思っています。私の会社は、社員の成長意欲が高いのですが、だからこそ、周りと比べてしまってしんどくなる人も多いと感じています。そんなときに、コーチングの技術を使って人の話を聞いて整理することができるリーダーが多くいれば、部下の成長は大きく加速すると思うのです。

今後やってみたいこととしては、まずは組織の評価制度の設計に関わることです。また、一貫性を持った研修作りにも取り組んでいきたいです。例えば、研修の内容それぞれに関連性を持たせ、個々人が成長していく旅のような形で、研修を考えるのです。そして、長期的には人事部長クラスになり、人と組織の可能性をさらに伸ばしていくのが目標ですね。

最終的には、社内だけでなく、自分の内なる思いに蓋をして、孤独感を抱えている人達が、自分の思いを表現できるようになってほしい。そしてその人達が仲間を作って、未来への期待感を持てるような、そんな社会を作りたいと思っています。

NCSやコーチング講座への参加を迷っている人へ。少しだけでも、やってみて欲しい。

私の実感として、自分の悩みやモヤモヤを我流で考え続けても、それらの解決は難しいと思います。そのため、何かしらのフレームワークや理論に基づいたワークをすれば、よりスムーズに解決することができるはずです。もしこのような心理学に基づいたプログラムをあやしく感じたり、縁が遠いものと感じている人がいたら、お試しでやってみて欲しいです。1ヶ月ほどの短い期間だけでも試してみることで、自分の大きな変化を感じることができるはずです。

また、コーチング講座は、コーチングの原理原則を学ぶことができるだけでなく、自分自身も癒すことができるという、珍しい講座だと思っています。「コーチとしてどう生きていくのか」「どのような自分でありたいのか」など、自分の人生の道についても考えることができる講座なのです。そのため、自分の生きる方向性を見つけたい人や、自分は何のために生きたら良いのだろうと悩んでいる人にとっても、すごく良い影響を与えてくれます。

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インタビュアー:伊佐間梨華
ライター:山本陽奈子
編集:溝川みか

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