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んこらの草子

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現代の傑作文学
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んこらの草子 第六段 きもいもの

んこらの草子 第六段 きもいもの

きもいもの。ベタベタした感情の発露。底のしれた思惑。頭を撫でてもらおうとするもの。大きな声で泣き叫んで同情を誘うさま、そんなものを見せられた私のたいそう居心地悪い思いをどうしてくれるのよ。いとわろし。

薄ぺっらい綺麗事。本当の思いのこもってない励まし。改善を促さない慰め。弱者の傷の舐め合い。あなたたちだけならいいんだけど、それを見た小さな子供にまで腐った根性が染み付いちゃうの。教育上良くないわ。

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んこらの草子 第五段 くだらないもの

んこらの草子 第五段 くだらないもの

くだらないもの。馬鹿。地産地消。アホが聞かせる話。便秘。ドブス。

義務教育で先生の口から出たおよそほとんどの言葉。決して紙の本になることのない素人の小説。ポエム。下手な歌い手しか歌ってくれないポップにはならないポップソング。家庭内でしかなされない会話。中途半端に上手いダンス。

夢を持つ青年。夢を持たない少年。夢を語る大人。夢を見れなくなった不眠症の患者。夢を目標にしない人が抱く夢。女の願望。子

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んこらの草子 第四段 鼻くそコグミ

んこらの草子 第四段 鼻くそコグミ

鼻くそを食う少年が起こした奇跡。事実は小説より奇なり。復活したキリスト。

私が持ってる鉄板の爆笑ネタの中でも最強格のネタなんだけど、そんなにハードルを上げて大丈夫なのって思われそうだけど、大丈夫。彼の起こした奇跡は本当の奇跡だから、天井はおろか宇宙の果てまでも突き抜けてる。さあ、おもうぞんぶん笑う準備をしてちょうだい。

ある晴れの日の夕暮れどき、おやつを食べていたら、不細工な顔をした気色の悪い

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んこらの草子 第三段 鼻くそを食うもの

んこらの草子 第三段 鼻くそを食うもの

ある時、鼻を穿ってる不細工な少年を見つけたの。見た目も気持ち悪かったし、やってるさまも気持ち悪いから「人前で鼻をほじるな」って注意しようとしたら、注意が終わる前にパクッと食っちゃってたの。鼻くそを。ためらいなしに。

隣に座っていた少女ったら

「ええー😨」

ってものすごい形容し難い表情で、ちょっと笑っちゃった。写真撮っとけばよかったって後悔してる。惜しかったわ。そんな少女の驚きもなんのその、

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んこらの草子 第二段 たどりつかぬもの

んこらの草子 第二段 たどりつかぬもの

たどりつかぬもの。真理。アキレスと亀。理想の自分。宇宙の果て。アホへの不満。忠告。思いやり。重い槍。

世界平和を謳う理想主義者の戯言ほど趣深いものはない。ありとあらゆるレトリックを装飾して、中身のなさを補おうとするの。現在と世界平和の間になにがどうあるのかさっぱりわからないし、わかろうともせずに語り尽くすさまに、言いようのない溝を感じる。

マリアナ海峡の底。間抜けな人間の間を埋めようとしない態

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んこらの草子 第一段 みぐるしきもの

んこらの草子 第一段 みぐるしきもの

みぐるしきもの。不細工。ダサいもの。自己評価が過大なもの。自分が見えてないもの。

ながながと面白くもない自己紹介。読む側の気遣いがない自己陶酔した長文。ひたすらにデータや数字を貼り付けた無味乾燥な文章。引用だらけで自分の意見が最後の一行にしかない論文。たいそう見苦しいのに気づかないさま。書いただけで満足することがもう最悪なの。

知らない人がいっぱいいる公共の場で、大きな声で自分の子を怒鳴る父親

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