【史】ふたたび通信の話/IT全史を読む(20)
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この記事は、Podcast「にゃおのリテラシーを考えるラジオ」の2022年8月27日配信の書き起こしです。
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にゃおのリテラシーを考えるラジオ
読書と編集の千葉直樹です。
このチャンネルでは、読書と IT 時代の読み書き、そろばんを中心に様々な話をしています。
今回のタイトルは、
再び通信の話/IT全史を読む(20)
パソコンはスタンドアローンだった
前回までパソコンが生まれてきた背景やその発展について話しました。
ただ、この時点ではパソコンはまだ 1 台 1 台が独立して単独で動くものでした。
今では考えられませんが、パソコン自体には通信機能がありませんでした。
というか、通信と言ったら電話が先端を行くイメージで、それとパソコンが結びつくのは随分後になります。
電信のネットワークをモデルにする
電話よりもちょっと前の技術として電信というものがありましたね。
これは文字を送るものでした。
僕がかろうじて経験している時期は、電話がまだどの家にでもあるという段階ではなく、電話がない家への郵便よりも早い通信手段としては電報というものがありました。
電話局で電信を受け取ってプリントし、そこから先は人が送り届けるシステムです。
当時は電話があったら電報はいらなくなると思っていました。
実際に電信を使った電報というシステムは事実上なくなっていくのですが、 IT の世界ではちょっと違う流れができてきました。
冷戦の影響を受けて開発を開始
1961 年にアメリカで謎の事件が起きます。
ユタ州の砂漠にある電話局が爆発したのです。
これが原因で一般の電話回線だけでなく、軍用の回線も止まってしまったのです。
当時は東西冷戦が核兵器を中心に熾烈になっていた頃です。
アメリカ国防総省は衝撃を受け、核戦争が発生した時でも通信が可能なシステムの研究を始めたんです。
その基本的なアイデアは、通信経路をたくさん作る分散ネットワークでした。
要するに経路の途中が切れても他の経路で補完できるようにするのです。
もうひとつのアイデアは、情報をひとまとめに連続して送るのではなく、小分けにして送るというものです。
これらを組み合わせると、経路の分散と情報の分散ができ、ネットワークの一部が切れてしまっても情報を伝えられる可能性が高くなります。
このアイデアは当時の電信ネットワークの特徴から考えられたものです。
電信の運用の特徴
電信ネットワークは各地にある電信局同士が通信内容をバケツリレー方式で送るようになっていました。
バケツリレーを行うのは各電信局の通信士でしたが、ある電信局間で通信障害があった時には、よりより目的地に近くなる別の電信局に情報を送り、障害のある通信経路を迂回して最終的に目的地に伝わるように運営されていたのです。
もちろん、この方法は人が介在している分遅くなります。
これを機械化することによって、障害に強くて高速の通信システムが作れると考えられたのです。
情報を小分けにする部分。
それを中継して次の中継先に送る部分。
そして、小分けで届いた情報を元の情報に組み立て直す部分。
これらにはコンピューター技術を使うことが考えられました。
現代のインターネットでは、通信路のいたるところにルーターというものがあります。
このルーターでは昔の電信ネットワークで通信士が行っていた作業を、機械がやっているものです。
ARPANETの始まり
このようなこのようなアイデアを実装していったのが、ARPA(アメリカ国防総省高等研究計画局)です。
作られたネットワークはARPANETと呼ばれました。
国防総省の部局が温度を取ってはいるものの、実際のネットワーク運用は研究に参加した大学間で始まりました。
これがインターネットの前身ということになります。
最初に音頭を取ったのが国防総省の部局であったことから、インターネットは核戦争に備えて開発されたと言われることがありますが、当時開発に携わった人々はそれを否定しています。
実際、もしもこれが核戦争に備える軍事技術として開発されていたらオープンにされることはなく、インターネットは今の形とは違うか存在しなかったかもしれません。
ARPANETはアメリカの 4 つの大学の間を繋ぎ、最初の送信メッセージは 1969 年 10 月 29 日 10 時 30 分に送られました。
最初のメッセージを 2 文字を送ったところでクラッシュしてしまったそうですが、 1 時間後に復旧させ、予定のテキストメッセージの送信に成功したそうです。
1969 年 12 月 5 日には 4 つの大学の相互接続ネットワークが完成したのでした。
そこから徐々にネットワークが広がっていきます。
次回はネットワークが広がっていく様子について話したいと思います。
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今後配信の中で参考にしていきたいと思います。
おわりに
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今日もワクワクする日でありますように。
千葉直樹でした。
ではまた。
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