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2021年7月の記事一覧

詩 ︙ 暗礁

詩 ︙ 暗礁

短夜の生ぬるい風が

思い出のドアを叩く

沈めた記憶に追い詰められて

ひとり天井に掴まれる

動く力も

立ち上がる気力も

何もかも枯渇している

それでも時計は

さらに私を追い詰めて

私はどうしようもなく飛び降りる

でも底には着かない

落ちて 落ちて 落ちて

終わりなく

どこまでも落ち続ける

詩 ︙ 沈み 沈む 夜

詩 ︙ 沈み 沈む 夜

音のない窓から漂う日々が

昼間の雑踏より余計に寂しく

煙の奥に見える日常に恋をして

中央線をひとり歩く

永遠に続く平日が

私の思考を鈍らせて

絶対値を見失う

正解のない問題は

誰もが答えを知っていて

私だけが先生を持たない

それが思考を生み

苦悩を生み

夜に沈む

詩 ︙ 『23:59』

詩 ︙ 『23:59』

誰かが時間を喜々として捨てていたとき

私は時間を盗まれていて

そのことに気づかず彼らを笑っていた

やがて大きくなって気づいたときには

未来だけが残っていた

彼らは時間を生み、それを共有し

相変わらず楽しそうに捨てている

私もそれを見て羨ましくなり

真似して少し捨ててみるが

意味もわからず楽しくもない

捨て方のわからない時間が積もり

永遠に未来が続く

今に辿り着くことなく

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詩 ︙ いぬのこころ

詩 ︙ いぬのこころ

首輪をつけられた私は外に出ない

そこに自由はないと知っているから

周りの子達は 一見嫌がって見せても

嬉しそうに自ら首輪をつけ

自慢しあっている

それを見た私は

自分の首輪に気づいた

でも外し方がわからない

自分でつけたことがないから

首輪は強制されるものだったから

それが首輪だと気づいたとき

もう手遅れだった

懇願し 首輪を外されても

そこに自由はなかった

私は必要な

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