中元大輔

神戸市出身 輸入貿易業 過去波乱万丈に生きてきました。 「みんなが稼いで喜んだらえ…

中元大輔

神戸市出身 輸入貿易業 過去波乱万丈に生きてきました。 「みんなが稼いで喜んだらええやん」をモットーに 仲間とともに豊かになるために活動中  https://nenkue.com/

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卑怯な大人最終回

俺は川島さんに告げ口をしたようで 口の中がずっと苦い感じでした。。 川島さんから預かった封筒とお金をもって 市民病院に入院している中岡のお母さんところに 届けに行きました。 いつもいるはずの麻紀はその場所にいませんでした。 「中元さん 本当にすみませんーーー」 「いえ そんなん謝らんといてください」 「僕なんもしてませんし、ただ頼まれて届けに来ただけです。」 お母さんはベットの上で土下座をしようとしたので 抱きかかえるようにして元に戻してあげた。 (なん

    • 卑怯な大人31

      物語の登場人物モデルはいますが フィクションです。 俺は根性を決めて事務所に行き 入口のインターホンを押した。 大袈裟に腕と頭に包帯を巻いて行った  ピンポーン 「へぃ どちらはんでっか?」 「中元と申します。」「川島さんと約束してました。」 「どうぞ」 対応の声は怖いけど組長宛の 大事なお客さんに失礼な対応はできない。 だからと言って大事なお客さんばかり来るとは 限らない。 玄関に郵便局のふりをして揉め事の相手がカチこんでくるかもしれない もしか

      • 卑怯な大人30

        3対1で勝てるわけもないのに 俺はあの状態を黙って見ておれず勝負を挑んでしまった。 「それ何の金や」 「ボケか 中岡が博打で負けたんや」 トカゲ目の隣の奴がそう言った。 (やっぱりか) 中岡はどこか純粋なところがあった。 吸収された方の組出身だしいじめられてるとも 言ってたのでイカサマ博打を断れなかったのかもしれない 「ガキ 調子に乗んな」 俺は意識を失うほどガタガタに殴られ蹴られまくった。 「もう ほんまにやめたってよー」 麻紀が倒れてる俺に覆いかぶ

        • 卑怯な大人29

          中岡のお通夜には無理をして お母さんが挨拶をしていた。 しなびたきゅうりの様に 顔色が悪く風が吹いたら そのまま倒れそうなぐらい フラフラしていた。 麻紀が横で寄り添い赤い目をしていた。 小堀さんはショックで倒れてしまい そこにはいなかった。 俺はお母さんに挨拶をした。 お母さんは弱々しく俺の手を握りしめ目を 真っ赤にしてわんわん泣いていた。 しわしわでガサガサの手だった。 俺はその時中岡との色々な 出来事が頭を駆け巡り、歯を食いしばって 我慢し

        卑怯な大人最終回

          卑怯な大人28

          足の傷は完全には治っていませんでしたが 俺は川北病院を退院し家に戻りました。 夏休みが始まったこともあり しばらく家で寝てました。 じりりーん 電話が鳴って取るとケンタッキーの 山本店長でした。 「おぉおぉ な なかもとくんかぁ」 なんか只事でない雰囲気です。 「もしもし どうしました?」 「中岡君店で倒れて 今、市民病院に運ばれたわ」 「えっ!!ほんますか」 「なにあったんすか?」 「いや仕事してて急に倒れたんや」 「俺 近いから行ってきますわ」

          卑怯な大人28

          卑怯な大人27

          闇雲にバイクを走らせ、諏訪山から 再度山方面を通り何となく六甲山 を目指しました。 その頃はノーヘルからヘルメット着用に 変わる頃でしたが当然ノーヘルでした。 再度山からのコースはプロのレーサーが 練習したり暴走族がよく走っている くねくねした対向車の見えないカーブ の多い道でした。 調子に乗ってドンドン加速しながら走っていると 道路が少し茶色い事に気づきました。今から考えると 多分土砂を運ぶダンプが走りながらこぼしていったものでしょう。 勝手にこのバ

          卑怯な大人27

          卑怯な大人26

          中岡の充実した表情を見て瞬間自分も 清々しい気持ちになりました。 けれどその気持ちをかき消す どんよりとした黒いなにかに少しづつ 心が支配されていってるような感じでした。 その頃オカンも親父もほとんど家にいません うちの家庭は崩壊していました。 そのせいか俺は荒んだ気持ちになって毎日夜遊びに 出かける様になりました。 麻紀ともあれ以来会ってませんでした。 あの頃は携帯もないので家か店の電話かお互いの家に 直接行くしか連絡を取る方法はありません。 じりり

          卑怯な大人26

          卑怯な大人25

          玄関のドアをドンドンされて 安眠を妨害され怒りが頂点に達し どうしようかと思いました。 「どちらさんすか?」 ドアを開けずに答えました。 「ドア開けんかい!!」「ガキ コラ!!」 ドアを開けずに返しました。 「じゃかましぃ ボケ いなんかい」「〇ンカス」 〇ンピラ達はガンガンドアを蹴りまくっています。 (よぅーし あの技いったるでw) 初めてチンピラたちが家にやってきた後 秘策を練るというか対策というか反撃というか なんかないかとアイデアを探していまし

          卑怯な大人25

          卑怯な大人24

          俺が中学3年生の頃両方が合併して中央区に なった葺合区二宮町から生田区加納町に引越しました。 生まれ育って住んでたのはそのどちらかしかなく 生田区で生まれ葺合区に引越しまた生田区に 戻ったみたいな感じですね。 そのころはすこぶる景気がよかったのですが第1次 オイルショックと呼ばれる原油価格高騰の影響で それまでの高度経済成長が終わりを迎えました。 それでもいまよりもずっと世の中に活気があったような 気がします。 うちの家にも不穏な空気が流れだしオヤジはほと

          卑怯な大人24

          卑怯な大人23

          中岡があんなに人に溶け込むのがうまいとは 思いませんでした。 チキンのドラムだけくれ事件で西村さんを脅してた奴とは別人のように 変わりました。 「だい 俺ほんま生きててよかったわ」 「足洗ろてほんまよかった。」 しばらくして山本店長から電話がありました。 「中岡君 ごっつい頑張る言うて評判やで」 「スーパーバイザーのお気に入りや」 「へぇ~」「ほんますか?」 「おぅ でもまだ時々怖い表情見せるけどな」 「西村とは微妙やな。。」 まぁ西村さんはトーアロー

          卑怯な大人23

          卑怯な大人22

          俺は麻紀と別れその足で ケンタッキー元町店に行きました。 店の奥を見るとだぶだぶのスーツを着て 変なネクタイの締め方した中岡が店長から 機械の説明を受けていました。 瞬間2人とも俺を見つけ同時に 「おぅ」と言いました。 「中元君 中岡君もう今日から働いてもらうことになったで」 「えー そうなんすか」 中岡を見るとなんかすがすがしい表情をして〇くざの時の 野良犬みたいな目つきが和らいで幾分澄んだ目になってるような 気がしました。 中岡はバイトのお姉さんた

          卑怯な大人22

          卑怯な大人21

          麻紀と行って大奮発したれんが亭のステーキは値段の割には 味はボチボチだったように思います。 神戸では麤皮さんが有名ですが小学校に行く通り道にあり いつもコックの人が休憩時間にキャッチボールをしていたのを 覚えています。 それ以降A-1かみやすがよく行くステーキ屋さんになりました。 「こんな高いとこ初めてきたけど。。。美味しかった」 「連れてきてくれて嬉しい」 麻紀が店を出てニコニコした顔で 俺のポケットに何かを入れました。 みたら6万円でした。 「ママが

          卑怯な大人21

          卑怯な大人20

          不良の片割れの西山は偶然にも幼馴染で 昔、二宮に住んでた頃近くの公園で友達になり よく俺の家に遊びに来てプロレスの技をかけて 遊んでました。 とことんやるのでやるたびに俺の技が決まり 泣いていたひ弱な奴でした。 「おまえだいか?」 「あぁ お前西山か?」 と言った瞬間子供の頃と同じ肘うちから 膝蹴り卍固めの3連発の得意技を繰り出しました。 横にいた亀井は唖然としています。 子供の頃より更に体格の差ができていて西山は がりがりのままで背は低かったです。

          卑怯な大人20

          卑怯な大人19

          中岡の妹、麻紀を日曜日にどこかを連れていく約束 をしていたのでバイト代を貯めて普段行けないような ところに連れて行ってあげようと思いました。 「もしもし」「中岡さんのお宅ですか?」 「はい」 「麻紀さんいらっしゃいますか?」 「あっ 中元君??」 「そう」 「えーー 電話してくるなんて珍しいやん」 「どうしたの」 「いや どっか連れてってて言ってたやん」 「どこ行きたい?」 「どこでもいいよーーー」「まかすわー」 「わかった 考えとくわ」 といった

          卑怯な大人19

          卑怯な大人18

          店長は中岡を雇う事を渋っていました。 なんとなく大丈夫と思っていたが 後になってやっぱあかんわとか言いそうな 雰囲気があったので俺は中岡を喜ばした ものの不安でした。 しばらくして店長と阪神VS広島戦を甲子園に 見に行きました。 店長に念願の甲子園のカレーを奢ってもらい 本当は未成年なのでダメですが 生ビールも奢って貰いました。 いまはテレビの性能がいいので テレビで見るのも楽しいですが やっぱ現場で見ると音の臨場感や 球場に響く声援等迫力が全然違い

          卑怯な大人18

          卑怯な大人17

          中岡に〇くざをやめろとけしかけ 事務所までついて行き辞めさせた以上 「俺には責任がある」とガキながら 男気に燃えてました。 (どないかしてでも雇ってもらうようにするで) 心の中でそればかりつぶやき、卑怯な作戦ですが 阪神広島戦をたてにして必死でお願いしました。 「中元君、あのなぁ いくらやめたと言うても〇くざは〇くざやろ」 ふつう誰でもそう思うのは仕方ない事かもしれません。 世の中一度ドロップアウトした人間はまともな道に更生できないように なってるんだとそ

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