卑怯な大人23

中岡があんなに人に溶け込むのがうまいとは

思いませんでした。

チキンのドラムだけくれ事件で西村さんを脅してた奴とは別人のように

変わりました。

「だい 俺ほんま生きててよかったわ」

「足洗ろてほんまよかった。」

しばらくして山本店長から電話がありました。

「中岡君 ごっつい頑張る言うて評判やで」

「スーパーバイザーのお気に入りや」

「へぇ~」「ほんますか?」

「おぅ でもまだ時々怖い表情見せるけどな」

「西村とは微妙やな。。」

まぁ西村さんはトーアロード店なのでめったと会いません

中岡がうまくいって本当に良かったとおもいます。

「お兄ちゃん真面目に仕事行って中元さんのお蔭やってお母さんほんま喜んでる」

麻紀からもそう言われ俺は照れ臭かったので生返事しかできませんでした。

半年が過ぎたとある日曜日だったとおもいます。

俺は疲れて寝ていました。

家には誰もいません

例のごとくドアをドンドン叩く音が聞こえてきました。

「だい~~~ おるかぁ~~~」

(うるっさいのぉ~)

ドアを開けると満面の笑みで中岡が面接のときに着ていた

サイズのおかしいスーツに変な締め方のネクタイで現れました。

隣に恥ずかしそうに小堀さんが立っています。

「( ゜▽゜;)エッ」「な、なんで??」

俺は寝起きの眼をこすりました。

「俺ら結婚するねん」「(〃゜▽゜〃) はは」

「うっそぉーーーー」「いつのまにやぁ~」

「ずっと休まず働いてたので今日から2日休みもらって

 こいつの実家にいまから挨拶しに徳島まで行ってくんねん」

「工工工エエエエエエェェェェェェ(゚Д゚)ェェェェェェエエエエエエ工工工 」

「ほんまかぁ~」

「行く前にお前に挨拶だけしとこおもてな」

「オカンも市民病院に入院できることになったわ」

「ほんまありがとう」

「じゃぁ フェリーの時間あるから行くわな」

その頃は明石大橋もありませんので徳島までは

フェリーで行くしかありませんでした。

下まで送ると別れ際に中岡が耳打ちをしました。

「あいつ 妊娠しとんねん」

「( ゜▽゜;)エッ」

「だい じゃぁな」

去っていく中岡の背中が何かを伝えてるような気がしましたが

何度も笑って手を振る2人を見てると微笑ましく照れ臭いけど

俺も手を振り続けました。

続く。。。。

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