暑い夏にはうどんを

 食べましょう。私はうどんの美味しい食べ方を広めようと目がうどんだらけに見えるほど書いているんです。書きすぎて腱鞘炎になりかけていますが、だけどそれでもなかなかうどんの美味しい食べ方って広まらないんですよね。何故なんでしょうか。何故うどんの美味しい食べ方が広まらないのでしょうか。私はうどんの美味しい食べ方を広めるためにわかりやすく物語仕立てにしてまで語っているんですよ。なんだか自分が情けなくなっていっそうどんなんか廃棄処分してしまえって気分になってきました。

 だけどね。ある日うどんの神様が降りてきて私にこう言ったんですよ。「うどんの美味しい食べ方は着実に広まっている。はなまるうどんにも汝の記事を読んだ客が記事の通りにうどんを作り始めている」って。だから私はもう一度初心に戻って改めてうどんの美味しい食べ方について書こうと思います。

 まずはなまるうどんでかけうどんを注文します。そしてかけうどんを受け取ったらまっすぐ薬味コーナーに行ってください。薬味コーナーには天かすと生姜と醤油というかけうどんの三種の神器があるはずです。それをうどんの中に入れるのです。

 まずは天かすを入れましょう。天かすはエベレスト並みに山盛りに入れましょう。中国の誰も知らない故事には天かすを食べたらあまりの美味しさに翼が生えてきたというものがあります。天かすは天女のカス。つまり極楽浄土の薬味であるわけです。次に生姜です。生姜は大さじ一杯です。それをうどんに落としてください。生姜はしょうがねえと諦めのつくほど美味しいものです。天かすと同じく生姜にも同じように誰も知らない故事があります。その故事によると、とある悪童が人の家に入って生姜を盗み食いしていたら、突然しょうがねえと喚き出して号泣して家の人に謝り出したそうです。最後に醤油ですが、これは五回回しでかけてください。醤油はうどん全体の味を締めるために絶対必要不可欠なものなのです。醤油にも誰も知らない中国の故事があります。その故事にはこう書かれています。とある村に何度も科挙に落ちている若き学士がいました。その学士は思い悩んである日思い切って山の仙人を訪ねたそうです。学士は仙人に一体どうしたら科挙に受かるのかと尋ねたそうです。すると仙人はその学士に醤油を差し出してひたすら醤油を飲め、そういう事だと答えました。若者は仙人のそういう事だという言葉を信じて毎日そういう事だと念じながら醤油を飲み続けて、やっと科挙に合格したそうです。この故事で語られるように醤油は万薬の長と言われ、幸福をもたらす薬として親しまれていたのですが、うどんにかければその万薬の長の薬の効果は最大限に発揮されるのです。

 さて、うどんが出来上がったカウンターでもテーブルでもいいので早く食べてしまいましょう。箸でうどんをつまむとうどんに天かすと生姜と醤油が絡み付いているのが見えます。これはまさにうどんの木です。うどんという幹に天かすという葉がつき、生姜という果実が実り、醤油という樹液が流れます。私はこのうどんを見るたびにいつも生命の不思議を思います。さてうどんを一口食べるとあなたはそこにうどんの桃源郷を見るでしょう。天かすはうどんに生えた葉であり、生姜は果実であり、醤油はうどんの樹液であります。私はこの天かすと生姜と醤油が全部入ったうどんを食べるたびに我々がこの地球に生まれた奇跡を思います。時折その奇跡のありがたみに涙してしまう事だってあります。この地球の生命の神秘を味合わせてくれる唯一の食べ物、それが天かす生姜醤油全部入りうどんなのです。確かに高級料理と言われるものは数多くあるでしょう。しかしそれらの料理は天かす生姜醤油全部入りうどんにははるかに及ばないのです。世界に数多くある食べ物の中で一口食べるだけで地球の生命の神秘を味わえる食べ物は天かす生姜醤油全部入りうどんだけなのです。

 皆さん、是非この地球の生命の神秘を味わえる天かす生姜醤油全部入りうどんを食べてください。一口うどんを食べた途端あなたは地球の生きとし生けるものの全てを知ることが出来るのです。

 では今日はこの辺で終わりにします。ちゃお!

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