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意識の高い女の一週間 水曜日

月曜日と火曜日の記事を読まれた方は私が非常に意識の高い女であることはお分かりだろう。自分もそう思っているし、大体noteの利用者の大半は意識の高い方達なのだ。意識の高い記事を書き、またその記事を読むことで互いの意識を高め合う。noteとは私を含めそんな意識の高い人たちがさらに意識の高める場所なのだ。だから私はnoteに対して深く感謝したい。noteがあったからこそ私はこんなにも意識を高められたんだと。

というわけで私は自分の意識を向上させる努力をあらゆるシュチュエーションで行っているが、その中には当然パートナーとのセックスも入っている。私が自分の性生活をあけすけに語る事に拒否反応を示す方もいるかもしれないけれど、しかしセックスは人生において何より大事なものであるし、他のどんなものより意識を高くして行わなければならないものだ。だから私は羞恥を振り切ってここに先週パートナーとの間に起こった出来事を全て書こうと思う。

先週の土曜日、私はパートナーと何度目かのセックスをしたけど、彼はその行為の最中私をものであるかのように乱暴に扱い独りで勝手に果ててしまた。私はパートナーを愛していたからセックスの間ずっと耐えたけれど、セックスの後に私はパートナーをきつく叱ってやった。「あなた、前の彼女をいつもこんな風に扱っていたの?」私の言葉にパートナーは信じられないといった表情であたふたして黙りこくってしまった。きっと彼は付き合っていた女性にこんな事を言われたのは初めてだったに違いない。彼は最初は私とセックスする際慎重すぎるほど慎重にしていたものだ。しかし男性は数回セックスをすると女を自分の所有物だと思いがちだ。彼もまた今まで女性のように私に対してそういう態度にでたのだ。だけど私は彼が今まで付き合っていた女性達のように男性の横暴さを受け入れるほどおとなしくない。私はあくまで自立した意識の高い女なのだ。

だから私はパートナーに向かって彼が女性というものをどう認識しているか、どのように接してきたかを徹底的に問い詰めた。「あなたの女性観を聞きたいわ。あなたはいままで何人かの女性と付き合ってきたと思うけど、その女性達とどう接してきたの?」ざっと言えばこんなことを詰めたのだ。本当は1000文字以上の言葉を使って彼に向かって具体的な例を挙げたのだけれど流石にそこまで詳細に書く気はない。彼は私の矢継ぎ早の質問にオドオドしてすっかり思考停止しているようだ。私は自分の考えを言葉で説明できないなんて、なんて意識の低さだと呆れて、もうウンザリしてズバリと彼に言ってやった。「あなたは私を本当に愛しているの?」私は敢えてダイレクトすぎる事を聞いて彼の本音を引き出したかったのだ。しかし彼は相変わらずオドオドしたままで何も語らない。そしてしばらく黙りこくっていたけど、やがて私を見て泣きそうな顔でこう言った。「愛してるに決まってるだろ。今日は悪かった。君を愛するあまりつい激しくなってしまったんだ。今度から気をつけるよ」

全く呆れた返答だ。私が彼に同じように問われたら彼の百倍以上の文字数を使って答えるだろう。だけど私は泣きそうになっている彼に愛しさを感じてしまいこれ以上彼を責めるのはやめることにして、そのかわり彼に恋愛とはどういうものかを簡単に教えることにした。

「あのね。そんなその場凌ぎの言葉じゃ愛の証明にならないの。お願いだからもっと意識を高く持って。今のあなたの意識レベルだと私たち続かないかもしれない。あなたが今より意識を高く持てば愛をもっと雄弁に語ることもできるし、セックスだって今よりももっと充実したものになると思うの。もしかしたらあなたはセックスをただの性欲処理だと思っているかもしれないけど、セックスは恋人二人が最初に行う事業なの。セックスとは互いの意識を高め合うための情熱的で激しい共同作業なの。あなたみたいに女性の気持ちを考えないでただ独りよがりの快楽に一瞬で果ててしまうものじゃないのよ。口うるさいかもしれないけどその事をもう少し考えてね。セックスで何かしたい時はちゃんと私に承諾をとってからして。勿論私もあなたの言うことを聞くわ。私も出来るだけあなたの希望を叶えて上げる。その気なら今まであなたにはした事のない事だってしてあげる。だからあなたも今日の事は反省して」

そこで私は話を止めてパートナーを見た。彼は私の赦しにすっかり安堵した表情を浮かべている。彼はさっきの私の教育をわかってくれたのだろうか。今の彼の殊勝な態度に偽りはないだろうか。それを確かめるために私は彼に宿題を出すことにした。

「今の私の話したことを聞いてあなたがどう思ったかを最低1万字以上でレポートを書いて私にラインでもメールでもいいから送ってほしいの。私とどうしたら愛に溢れたセックスが出来るか。こうしたらもっと二人が幸福に満ち溢れたセックスが出来るとか。あなたなりに考えたアイデアを出してほしいのよ。そうして二人がアイデアを出してディスカッションしていったら、きっと二人にとってより幸福に満ち溢れたセックスが出来ると思うの。わかった? 期限は来週の木曜日よ。木曜日までに送ってこなかったら私もあなたとの交際を考え直さなきゃいけなくなるから出来るだけ早く送ってきてね」

今日は水曜日だ。そしてパートナーからのメールはまだない。


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