あるnoter夫婦の夕食

「ねえ、そろそろご飯作らない?」

「ちょっと待ってね。今note書いてるから」

夫婦で一緒に夕食を作ることについて

「ねえ、そろそろご飯作らない?」

 妻、こう書くと少し照れてしまう。だって僕らはまだ結婚して一年も経っていないわけだし。でも妻なんだからしょうがない。は夕食の時いつも冒頭に書いたように僕に声をかける。こうして一緒に料理を作るのは結婚するときの約束だった。その時妻はこういったんだっけ。一日でも拒否ったらすぐに離婚するからって。勿論妻は冗談めかして言ったんだけど、でも僕はそれでも毎日妻とこうして料理を作っている。今日は魚のフライがいいかなとかなんとかかんとか言ったりして。こうして二人で一緒に料理していると本当に夫婦てものは共同作業だと思う。僕らは夫婦になってまだ一年も経っていないけどそれが本当によく分かる。僕らはこのままずっと……(中断)

「ちょっといつまでもnote書いてないでこっち来てよ。私魚と野菜切るからお皿洗って」

「ゴメンゴメンちょっとnoteに夢中になりすぎちゃって」

「あっ、私もnoteに書きたくなってきた。あのさ私もnote書くからお皿洗っといて。ついでに野菜もお願いできない?野菜だったらあなたも切れるでよ?」

夫という他人と暮らすことについて

 私は結構完璧主義者だって言われている。自分ではそんなに完璧を持しているわけじゃないけど、友達とか同僚とか周りがそう言ってくる。だけどこうして夫と暮らしているとみんなの言っていることはやっぱり正しいんじゃないかと思いはじめた。夫はとにかくずぼらだ。私は恋人として付き合っていた時は彼のそんなところを気にもしないどころか帰って面白く思っていた。だけどこうして結婚して夫と暮らし始めてから彼のズボラなところが気になってしょうがなくなってきた。時にはイライラし、ぶっ飛ばしてやりたくなることさえある。だけど私は……(中断)

「あのさ、もうお皿も野菜も切ったんだけど。これでいいかな?」

「なにこれ?お皿に水滴が残ってるじゃない。それになに?野菜をこんなざく切りにしてこれを私に料理させようっていうの?」

「これじゃだめなのか?」

「当たり前でしょ?もう私がやるからあなたはテーブルにジュース用意しててよ」

「わかった。それが終わったらnote書いてるから声かけてくれ」

夫婦で一緒に夕食を作ることについて(続き)

 このままずっと生きて行くんだって思ったけど、それは結構ハードルが高いんだなって思い知らされる。今日も僕は大失敗してしまった。妻を怒らせてしまった。僕の両親もこんな事を乗り越えて夫婦を続けてきたんだろうか。妻がよく僕がズボラだって直接行ったりnoteに書いたりしているけど、それは全くの事実以外何者でもない。僕もこんなズボラな性格をすぐにでも直したいけど、しかし持って生まれた体質はなかなか矯正出来るものではない。でも夫婦として人と暮らしてゆくには自分も変わらなければならないんだろうな。子供が生まれて成長して父親の僕を見た時、僕が今のような人間だったら幻滅するだろう。やっぱり変わらなければ……(中断)


「ご飯出来たから早くお皿テーブルに並べて」

「わかった。すぐに行くよ」 

「あなたがテーブルにお皿並べている間に私note書いてるわ」

夫という他人と暮らすことについて(続き)

 そんな夫にムカつきながらもやっぱりこの人じゃなくちゃだめなんだって思う。彼のズボラなとこ以外は全てスキだといえるし、彼はやっぱり私に必要なピースなんだって思う。こんな事は勿論面と向かって彼に言うことはない。いくら夫婦でもなんでもかんでもさらけ出せるわけじゃないから。だから私はいつものように彼に接するだけだ。多分私達の関係はこんなふうにずっとつかず離れずに続くのだろう。そうして死ぬまで……(中断)

「ご飯テーブルに並べ終わったぞ」

「いいね。じゃあ早速ご飯食べよっか」

「ところであなたnoteになに書いたの?私早く読みたいな」

「お前こそnoteに何書いたんだよ。どうせ俺の悪口だろ?」

「秘密、でも悪口ばっかりじゃないよ。ちゃんとしたことも書いてるからね。でも記事完成してないから上げたら読んでね。別にスキとかくれなくていいから」

「俺の記事も未完成だよ。お前が読んでもどうせ鼻で笑う記事だろうけどさ。まあ、上げたら読んでくれよ。別にスキとかくれなくていいから」


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