卒業シーズン

 卒業シーズン。私は今年も彼らを見送ることになる。彼らは未来への希望を胸に校舎から旅立っていく。しかし卒業したところで決して明るい未来が待っているわけではない。学校という共同体から放り出された彼らを待っているのはたった一人で生きていかねばならないという現実だ。だがそれでも人は卒業し一人人生という名の長い道を踏みしめて歩いて行くのだろう。だから私はそんな彼らにエールを送りたい。頑張れって大声で叫んであげたい。彼らが道に迷った時、いつでも思い出してもらえるように。

「あのな。校門で喚くのはいい加減やめてくれんか。毎年毎年。大体君はいつ卒業するんだ。君は私の一個年上じゃないか。他の人間はもうとっくに孫までいるのに。君は何年中学生をやってるつもりなんだ。いい加減にしろ! 学校は君みたいなバカをいつまでも構ってるわけにはいかないんだよ!」

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