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さようなら、そしてさようなら

 人間なんてみんな愚かだ。一緒にいる時あれだけ幻滅しても、離れてみたらやっぱり愛しく思えてしまう。幻滅していたのさえすっかり忘れて彼を想うんだ。

 バカだったよ私。ホントにバカだ。だから帰ってきて。別れたばっかりなのにバカだよ。私はホントバカ。最低のバカ。いつも間違った決断して後になってその間違いに気づくんだから。

 やっぱり私にはあなたしかいないよ。クリスマス、七面鳥、お正月、そして結婚。一人でそんなバカな妄想ばっかしているよ。戻りたい。やっぱりあなたじゃなきゃダメなんだよ。


 別れた彼宛のメールにこんなことを書いた。乱れた心で何度も送ったメール。うざいかな、でも私あなたとじゃなきゃ生きていけない。さっきから延々と似たようなことばかり言ってる。ああ!もう泣きそうだよ。そこに突然やってきた返信。今近くにいる。すぐ行くからって彼の言葉。私はスマホを閉じて遠くを見つめる。彼の姿を探して。


 しばらくすると遠くに見慣れた人の影が見えた。それはだんだん近づいてきて徐々に姿を現してくる。私はやってきた彼を見てやっぱりメールなんか出さなきゃよかったって思った。ああ!私っていつも間違った決断ばかりしてる。ホントバカ!こんな不細工なキモヲタ野郎に未練なんか持った自分が恥ずかしい。

 私は近寄ってきた彼に改めて別れの言葉を言った。やっぱり私たち縁がなかったわ。今度こそ別れましょ。

 そう別れを告げて私は彼に背中を向けて歩き出す。今度こそ、未来へ進まなきゃ。その私の背中に向かって彼が叫んだ。

「お前今日あと何回俺に別れ告げれば気が済むんだよ!もう三回目だぞ!さっき別れ告げたの一時間前だろうが!今度は何時間、いや何十分後により戻すんだ?もういい加減にしろ!」


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