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ゆるゆら音楽映画放談

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レビューやつらつらっと書いた感想置き場的マガジン。音楽関係はだいたいここ。
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#雑感

誰が為に剣を振る

誰が為に剣を振る

 花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身世にふる ながめせしまに
──小野小町

 タイムラインが荒れていた。おばさんファンが態度悪いだとか、いやいやそれは作り話だとか(わざわざそんな作り話する意味があるのか?)、トゲだらけ。プロフィールを見て、持病や聴く音楽などに共通点がありそうな人はほぼフォローしてきたが、その基準をちょっと考え直すべきかどうか頭を悩ませた。揉め事は苦手だ。

 おばさ

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not only but also

not only but also

 藤井空さんのトーク&ライブを配信で視聴していた時のことだ。
 終盤、空さんが自嘲的に「でも結局話題になるのは風さんのLINEの話」であったり「コラボが見たい方は結局風さんが見たいのでは」と仰ったところが、どうも幾分胸につかえて今も気にかかっている。
 
 生い立ちなどを話せば、自然とご家族は含まれてくるだろう。藤井空さんと藤井風さんは元々ご兄弟で動画をアップされていたから、むしろ触れないのは不自

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楽しむ、をそのままに

楽しむ、をそのままに

 見つけたらラッキーらしいスターアポロ。

 フォロワー諸氏がざわついていた。察するに、好きなミュージシャンに対するスタンスの違いか何かだと思う。よくあることだ。
 何があったのかは知らないが、推し事くらい好きにすればいいと思う。押し付けるとか圧力とかやらかしはどうかと思うけれども、そうでない限りは自由なのだ。自分の城をほいほい易々と明け渡す必要など、ありはしない。

 Twitterには、フォロ

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音がして、そこに

音がして、そこに

 パシャ、と独特の音がして振り返ると、そこにはカメラがあった。
 今でもよく覚えている。不意打ちできょとんとしているわたしに、また構えられるカメラ。
 ──いやいや、わたしはそういう対象じゃないから。
 慌てていると、先輩が間に入ってくれた。もうかなり昔の話になる。

 撮っていいかどうかを予め尋ねられていたならば、別にそこまで驚かなかったかもしれない。スタッフと呼ばれる人にすらも、カメラを向けた

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紅白に風が吹く(演出と敬意)

紅白に風が吹く(演出と敬意)

 2021年の第72回NHK紅白歌合戦。藤井 風さん出演部分の演出が、わたしの印象では明らかに異質だった。高い熱量の込められた、敬意に満ちたとでも言うべき構成が非常に興味深かったので、推測ながら少し書き残してみたいと思う。

「藤井 風」登場 最初の出演部分は、歌手紹介VTRに続いて岡山県浅口郡里庄町にある「喫茶ミッチャム」(※現在は閉店)の一室からはじまる。藤井 風さんの実家だ。
 上京・デビュ

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adaptation

adaptation

 サカナクションの新プロジェクト「アダプト」「アプライ」が発表されて、とてもドキドキしている。
 出来ないことにクローズアップするのではなく、旧態にただしがみつくのでもない。どう適応して応用していくか。格好いい、心底格好いい。

 枠組みにオンラインライブが組み込まれており、それが「はじまり」になっている。そこからリアルライブやアルバムへと展開していくプロジェクト。
 ひとつのコンセプトで異なる表

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ちょっといいの連鎖

ちょっといいの連鎖

 何の気なしにフォロワーさんに向けて呟いた言葉の連なりが思うより遠くに届いて、驚いている金曜日。
 素敵なことをさりげなくする、というのはとても大事だと思う。承認欲求でも自己肯定のためでもなく、日常をちょっといい方へ向かわせる行い。

 物事をいい方へ変えていくのは──勿論強力なリーダーシップやパワーが必要になることもあるだろうけれど──案外日々の小さな心掛けや視点

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Friends or Lovers

Friends or Lovers

 「○○の大ファンなんだけど、最近△△も聴いちゃって浮気してるけどいいのかな。」
 というような話を見聞きするにつけ、
 (うわあああ、浮気って?)
 といまだにびっくりしてしまうわたしがいる。当然にそれぞれの自由なのだけれど、慣れない。

 音楽的に雑食もいいところなので、どの音楽とも結婚したつもりがまるでない。いいものはいい、単純にいい。そんなプリミティブな感覚でただただ聴いている。
 それは

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またその先へ

またその先へ

 何によって心が動かされるのかは、人それぞれだしタイミングにもよる。わたしは音楽と絵画が多い。たとえば入院中の星野源さんやクラシック、退院後の藤井風さんがまさにそうだったように。

 わたしが流した音楽が、いつか誰かの心を強く動かしたこともあったのかもしれない。
 遠い記憶を辿り、幾つかのそのような言葉を思い出す。わたしはその時「ハブ」だったのだ、と改めて思う。爬虫類ではなく、繋ぐほうの。

 誰

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Tsunaga-RHYTHM

Tsunaga-RHYTHM

 最近、配信などを見ていると海外の方から話し掛けられることがある。リプライやDMといった形で、「日本語がよくわからないから、翻訳してください」とかね。即時性とグローバリゼーションをひしひしと感じる。

 わたしも外国語はあまり得手ではないのだけれど、なんとしてもわかりたいというその気持ちにグッときてしまう。なぜこのわたしをチョイスしたのかはわからないけれど、いい。そのアツさ、すごくいい。

 そん

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月とピアノをつなぐもの

月とピアノをつなぐもの

 夜はピアノを聴くことが比較的多い。リラクゼーションとしての効果もあるかも知れないが、個人的な好みによる。月が美しい夜なら格別だ。

 以前のエントリで「音はオープンで聴くことが殆ど」と書いたように思うが、電車などでの移動と明け方、通院時、そして真夜中は別で、この時ばかりはイヤホンが大活躍する。公共の場は勿論、防音性のそこそこ良い部屋にいても、やはり近隣への影響は気になるのだ。

 入院と手術を繰

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色は多分、ついていないから

色は多分、ついていないから

 最近ちょっと、もやもやすることがある。

 純粋に音楽を楽しんでいる時に、「○○は容姿がいいからね」とか「黄色い声援」などという括りにポイッと入れられてしまう、アレだ。
 女性だから、わりと冷ややかに捉えられてしまうのだろうか──と思うも、男性も「野太い声援」と言われてしまうことはあるわけで。多分、純粋にアイドルのポップソングを楽しんでいる人たちの中にも、同じような違和感を覚える人はいるのだろう

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これもまた、青春病

これもまた、青春病

「眠れぬ夜はケーキを焼いて」をご恵贈いただいたことがきっかけで、ふいに昔ご恵贈いただいた掲載誌を思い出した。
 
 
当時はまだ学生で、文章でお金をいただいたこともなかった。ささやかな同人文芸誌に寄稿したりする程度だったのだが、その場での先輩が雑誌社に入り、伝手で声がかかったのだ。

「新しい企画があるのだけれど、君を見込んで、その第一弾で文章を書いてもらえる?」
ノーギャラとはいえ、いきなり商業

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せわしなさと、せつなさと

せわしなさと、せつなさと

昨日は仕事のあとがとても忙しかった。とても幸せな忙しさだ。
予定はこうだ。

仕事終わり、まず書店に立ち寄る。noteで紹介した新刊本が並ぶのを見つめ、1冊を手にとり購入。プレゼントにするため。
次は夕ご飯をテイクアウトする。ついでに翌日の食材も追加したい、ここまでで3店舗のはしごだ。
18時30分からはツイキャスプレミア配信を見る。
つまり、帰宅したらすぐ配信。
終わったら、たぶん間隙で頼まれも

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