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そこは 縁に 溢れて

 夜の街を歩いていると、様々な縁がそこに待ち受けている。見れば見るほど、過ごせば過ごすほど、そんな出会いに敏感にもなり、視界に映るようにもなる。

 あぁ、あそこには、会社の飲み会だろうか、年配の男性がへべれけになっているのだろう、若い男の肩に持たれてぐったりしている。

 あ、あそこには、きらきらしたものが浮かんでくるようなおめかしをした女の子たちが、楽しそうにお話しをしている。

 あそこには、年配のご夫婦が、会話こそしていないけれど そっと 手をつないで歩いている。

 ざわざわ 騒がしさもある街の中に泳ぐ、群れ。

 誰も、彼もが、それに身を任せ、身を委ね、ときに激しく、ときに静かに、それでもその街の熱を受けながら、呼吸している。

 そんな街に潜む縁を眺めながら、ただ、歩いている。

 歩いて、歩いて、街を抜けて、閑静な住宅街も、過ぎて。

 ぽつん と、佇む、アパートに入る。

 今日も、月がきれいに輝く。
 街並みの人工的な光ではない。自然の、明かりだ。

 ぽっかりと闇に浮かぶ、月の輝きが、こんなにも届いてくる。

 私は今日もそれを眺め、心に沁みこませながら

 ひとり

 日本酒を、傾けた。

いつも、ありがとうございます。 何か少しでも、感じるものがありましたら幸いです。