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「天だけじゃなくて世間も広い」以管窺天

管を以て天を窺う
―以管窺天―

[原文](荘子 外篇 秋水)
是直用管窺天、用錐指地也

[書き下し文]
是れ直に管を用いて天を窺い、錐を用いて地を指す也

[原文の語訳]
これは丁度、管を通して天を覗き、錐を刺して地を指すようもの

[解釈]
由来は善し悪しが見分けられないような者が荘子の説をあれこれ言おうとするのは、まるで管を通して天を覗いて天は狭いと思ったり、錐を刺して地を狭いと思うようなもので、狭い見識でもって大きな事でも狭いと批評するようなことだということで、自分の小人であることも知らずに雄弁に語っているのを人が聞けば「くだらないことを言っている」と思われるだけだと言うことです。

水面に出ている「氷山の一角」を見て、その概要を知らずに水面下に隠れている大きな部分に気づかないようなものです。
一部の報道を見聞きしただけで、その事案の全容を知っているかのように語る人がたまにいますね。

ただ単に狭い穴から見える範囲は狭いだけです。それに気づかず自分は博学だと思い込んでいるのはとんだ勘違いです。
天体望遠鏡でさえ目的のものは近く大きく見えても、その周りに何があるかまでは見ることはできません。
そんな狭い見識だけを頼りにしていると、大きな問題であっても自己の判断を下すのは時に危険を伴います。
安定した位置に長く居続けると向上心も弱くなります。そうならないためには外に出てみたり、異業種交流など畑違いの人と交流するなど、自分に刺激を与えることで今まで見えなかったものが見えてくるものです。

われわれも「これが常識」と思っていたら、いつの間にか新たな常識に切り替わっていることもあります。流行でもそうですね。今なら「新しい日常」がそんな感じでしょうか。ときに「古い人間」と言われそうです。
多方面にアンテナを張り、つねに情報も上書き更新していかなければなりません。

一を聞いて十を知ることなど土台、無理な話です。
横の線「一」に掘り下げ縦の線を加える「十」も必要ですが、できれば横に「一」を加えて大地を広くし、狭く深くよりも広く浅く、たまに気になるところは盛り土をして「ニ」や「三」にするくらいの気持ちでいきませんか。盛り土が積み重なり、やがて丘や山になれば、見上げれば障害物はなく天が広いことが改めてわかり、下を見れば広大な土地を眺めることもできます。
天だけじゃなくて世間も広いのです。

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