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「夢は力に影響を与える」三刀夢

三刀の夢
―三刀夢―

[原文](晉書 卷四十二 列傳第十二 王濬傳)
夜夢三刀懸於臥屋梁上、霎時又益一刀

[書き下し文]
夜臥して夢に屋梁(おくりょう)の上に於いて三刀懸かる、霎時(しょうじ)又一刀益す

[原文の語訳]
夜眠っていると屋根をささえる梁の上に刀が三振り懸かっている夢を見た、しばらくしてまた一刀加わった

屋梁(おくりょう)
→屋根をささえるはり
霎時(しょうじ)
→しばらくの間。

[解釈]
由来は原文そのままですが、王濬という人が梁の上に刀が三振懸かっている様子が夢に出てきて、更にしばらくしてそこに一刀加わったというもの。不吉な夢だと考えこれを部下の李毅に話してみると、李毅はその三振は現在あなたが治めている三つの州を意味し、そこにさらに一振り益(増し加わるの意味)ということです。しかもそれは正に「益」州でしょうと答えた。実際、その後に王濬は益州を治めることになったということで、夢が現実になるということです。正夢ということですね。

ただ、夢を見るのは頭の中に元となる種が植わっていないといけません。種は無意識のうちに目から取り込んでいる場合もあります。見に覚えのない景色でも小さな頃やテレビで観たものだったりするものですし、情報を元に加工することも行います。
また普段から考えている事柄に関する内容だったりもします。恋をしている相手に告白する場面だったりデートしていたりと、実際には行っていなくても、なり得る場面を想像しているのです。

さて、では見た夢でどうするか。夢判断、夢占いなどがあります。
われわれは意識して想像ししていないことに対しては不安を抱きます。突然知り合いが亡くなった場面に出くわしたり、何かに追われていたなど。何か不吉な兆しではないかと考えるものです。
原文も不吉だと思い部下の李毅に尋ねたところ、それは吉兆だという真逆の答えとなっていますが、不安に駆られたのは昔から変わらないものです。

しかしながら、この解釈にしても人それぞれではないでしょうか。この時、李毅が「不吉な兆しです」と答えていたら「やはりそうか」となっていたでしょう。そこにポイントがあると考えます。
書籍を捲れば、同じ夢に対して真逆に解釈をしているものだってあるのです。それは結果が分かっているから後付になったものがあるからです。
つまり解釈しだいで気持ちの浮き沈みに大きく影響する可能性があるのではないでしょうか。吉兆と考えれば後押しされた気持ちになりますし不吉だと考えれば躊躇するでしょう。
それで一喜一憂するということは、夢はあなたの力に大きな影響を与えるのです。

そもそも起きた時に夢の内容をしっかりと覚えている人は少ないそうですし、直前に見たものしか覚えていないと言います。
ちなみに自分は寝るたびに夢を見て、起きてもしばらくは覚えています。毎晩に加えて昼寝した時もです。それでも結局、一部分なのです。
そうであればせめて一部分だけなのだから、前向きに解釈してはどうでしょうか。
他の忘れた場面に不吉な部分があったかもしれないけど、覚えているこの部分は吉兆なんだと。

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