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「勢いを持続するためには他の力を借りることも必要」折槁振落

槁を折き落を振るう
―折槁振落―

[原文](淮南子 人間訓)
劉項興義兵隨、而定若折槁振落、遂失天下

[書き下し文]
劉項義兵を興し隨(したが)いて而定る、槁(か)れたるを折り振り落したるが若し、遂に天下を失う

[原文の語訳]
劉邦と項羽は義兵を興し、天下は彼らに追従することで定まった、枯れ木を折り葉を振り落とすかのうようであり、遂に秦は天下を失った

[解釈]
由来は反秦の全勢力を味方につけた劉邦と項羽の軍の勢いに秦は天下を失った。両者のその勢いたるや、触れるだけで枯れ木を折ったり、揺れただけで葉が落ちるように、秦を滅ぼすことは容易だったということから、極めて容易に事を成すとなります。
自分が注目するのは「枯れた枝と葉(が落ちる)」というところ。これは攻め行く先の秦軍は両者の勢いに戦意も喪失してもはや枯れ木同然、落ちる葉は落城という比喩のように考えられます。

この原文「枯れ木や葉が触れるだけ」とあります。想像してみると、決して広く整備された道を進んでいる訳ではなく、狭く整備されていない、ひょっとすると道ではないところを進んでいるのかもしれません。そういった悪条件の中で、さらに枝を折ったり葉が揺れて落ちるにはそれなりの速度がなければいけませんから、躊躇することなく突き進んだということになります。怖いものなしの部類でもかなり上位に位置する勇猛さではないでしょうか。確かに先に目的地に到着した方への褒美があるので、両者とも先を急いでいたのは確かです。

ビジネスでも急成長する企業や商品サービスは、未開拓の道(市場)に勇猛果敢に進出し、あっという間に席巻します。いち早く顧客を獲得する(=味方につける)ことができれば他社はそう簡単に追随できません。
現代の政治では政権交代がこの過程になるのはないでしょうか。ただし、目的を成しえた後の事もしっかり考えておかなければ三日天下になってしまいかねません。これはビジネスでも同じ。次の一手を打たなければ後続に攻め込まれてしまいます。

あなた自身で当てはめてみるとどうでしょう。
普段の生活の中で、何か新しいことに挑戦しようと考えることがあったとき、できればあまり労力を費やさずに成果を挙げたいと思うならば他力本願も活用してはどうでしょう。
秦を滅ぼした決して劉邦も項羽も決して二人だけの力ではありません。周囲の支持や自軍には多くの兵、優秀な参謀がいたからこそ勢いがついたままに目的を達成したのです。
周囲に背中を押してもらったり、組織を頭の中で勝手に作ってみてはどうでしょう。組織の構成は個人でなくとも外注や既製品、サービスでも良いのです。この場合、勢いそのままに速度を落とさないようにするのが目的です。利用するものによりお金が必要なのは仕方ありません。戦いでもビジネスでも大なり小なり軍資金が必要となります。お金も使わず労力も過大に消費せず自分でやれてしまうならばそれが最上です。

道なき道を目的達成に向け勢いを持続するためには他の力を借りることも必要です。

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