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「中身を忘れない」貴冠履忘頭足

冠履を貴んで頭足を忘る
―貴冠履忘頭足―

[原文](淮南子 泰族)
是貴其冠履而忘其頭足也

[書き下し文]
是れ其の冠履を貴き、而に其の頭足を忘る也

[原文の語訳]
それは冠と履を貴んで、頭と足を忘れている

冠履
→冠と靴(くつ)

[解釈]
由来は、もともと冠は頭に被るもので履(靴)は足に履く道具のはずが、それを重んじるあまり元となる頭と足を忘れている。補佐する方を重要して根本を蔑ろにしているということです。
原文では仁義を補助するために法律が作られたが、今や法律のほうが重視されて仁義が軽視されていると嘆いています。
草木にしても根幹となる根に近いほど太く枝先ほど細くなります。動物も頭は大きく尾は細いものです。

仁義は人道の基礎ですが、それを固めずに法律を積み重ねてはそのうち転倒してしまうのです。
なぜこのルールや法律が必要なのかを道義的に理解することができなければ誤解や乱用に繋がりかねません。
また「冠履」には「上位と下位」という解釈もあり、当てはめれば地位の上下を尊び、人としての礼に欠けるということも言えそうです。

われわれ個人で当てはめてみると「道具から入る」「形から入る」などが挙げられそうです。
確かに「最初に良いものを買うことでモチベーションを上げる」という効果はありますが、きちんと中身が伴わなければ正にこの言葉通りになってしまいます。買っただけで満足して使わずにしまったままになっているものはありませんか?
キャンプ用品を買って、人気のないところを探して立入禁止区域に入る。スキーで未滑降のルートを探して滑走禁止区域に入るとかしてませんか?
新車を買って気分が高揚し、目的地まで安全に移動するという目的を忘れて、速度超過だったり無茶な運転をしてはいけませんよ。
若いと格好良さを気にしてルール違反をしてしまいがちです。見た目も大事ですが中身はさらに大事です。「人としてどう?」と思われてしまっては本末転倒です。

「華麗に着飾る」のではなく「華麗な振る舞い」といきたいものです。
何事も本質、中身を忘れないようにしたいものです。

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