心理の本を読むことでうつ病から回復した話⑪(番外編)
読んでくださってありがとうございます。
今回の記事では
自分の半生の振り返りが終わったので
過去の自分を振り返って考察します。
機能不全家族ので育ち、精神疾患(うつ病など)で苦しみ、回復した自分の経験談はこちらから
自分の病名について
自分は精神科に行ったときに、
「うつ病」と「気分変調症」の2つしか診断はもらっていません。
とはいえ、この病名が自分を表していたかというと不十分かなと思ってます。
これはどちらかというと二次症状にあたると思います。
自分の経験談の記事を読んでいる方は
「これってうつ病なの?」と思うところは何点かあったと思います。
例えば、
「見捨てられ不安」から人を繋ぎとめようとしたり、怒りなどの感情の揺れ幅があまりに大きく自分で制御できない等です。
いい例があったので、引用します。
じゃあ何なの?ということですが、
「DESNOS(特定不能の極度ストレス障害)」という概念が自分に当てはまります。
日本語訳を聞いても、ピンと来ませんね(笑)
概念と言ってるのは、疾患ではないからです。
今流行りの゛HSP゛も疾患ではないですよね。それは、DSMやICDといった診断基準に載っていないからです。「DESNOS」もそうです。
「DESNOS」って何?
少し話がそれました。
「DESNOS」の概念は
虐待など慢性的にトラウマを受けてきた人に起こる心的外傷の後遺症です。
「アダルトチルドレン」という概念を
精神医学的に洗練させた形の概念です。
「DESNOS」の症状に関してはこちら
「DESNOS」は病名でいうと
「複雑性PTSD」に一番近いです。
「DESNOS」と「複雑性PTSD」の違いは
「再体験症状」
(フラッシュバック)
「回避症状」
(出来事の想起刺激となる事物や状況の回避)
「過覚醒」
(警戒心•驚愕反応など脅威の感覚)
このPTSD特有の
3点の症状があるかどうかです。
ちなみに、自分はフラッシュバックが
たまにあった程度で他は当てはまりません。
病名にこだわっている理由
病名にこだわっているのは理由があります。
「自分が何で苦しんでいるかよくわからない」
っていう思いの解消もありますが、
一番の理由は疾患基準に盛り込まれれば、
その病気に対しての研究が進むからです。
「複雑性PTSD」は自分が苦しんでいる時には
診断基準に載っておりませんでした。
2018年の第11版(ICD-11)において
PTSDと区別された診断基準として初めて記載されました。
今では「複雑性PTSD」に関して
結構な数の本が出版されています。
また、診断基準がある疾患であれば、
エビデンスのある治療法も確立されます。
今日本では
「STAIR Narrative Therapy」という
「複雑性PTSD」の治療法の臨床研究が進められています。
自分は「複雑性PTSD」の存在を2011年から知っていて、「早く診断基準に載らないかなあ」と思ってました。
その頃と比べたら、今は大分進んでいます。
(実際その辺りのカウンセリングで
治療が受けられるかどうかはさておき)
だから、「DESNOS」もそのうち診断基準に載ってほしいです。自分はちゃんと精神疾患扱いになると思ってます。
自分の回復過程に関しての考察
自分の回復過程で、一番重要だったのは
実家から物理的に離れたことです。
これは精神疾患を治す上で
まず最初にやるべきで一番大事なことだと思ってます。
火傷を治したいのに、
熱々の鉄にずっと触れてるみたいなものです。
外から頑張って風を当てたり冷ましても
(心理療法、薬物療法の比喩)意味がないと思います。
自分はたまたま実家から抜け出すことが出来たのですが親子関係から抜け出せる方法は未だにわかりません。
このあたりの人を救う制度があればいいのにと今でも思います。
領域としては、福祉関係になるかと思うのですが、自分は残念ながらあまり詳しくないです。
実家から離れる前に、
自分の悩みが「家庭にあった」ことを知ったのはパンドラの箱を開けたようなものでした。
今まで我慢していたものが
もう抑えがきかなくなった感じです。
このあたりの自分はかなり不安定でした。
とはいえ、この辺りは難しいです。
気づくのが遅かったら、自殺してたかもしれないので。
実家から離れ、自分はようやく回復の道をたどるようになります。
自分は最初の方にやったことは
過去を無理やり思い出すという作業でしたが
これは非常に失敗だったと思ってます。
今現在、「複雑性PTSD」の治療法としては
「STAIR Narrative Therapy」
「スキーマ療法」(エビデンスは研究途中?)
などが挙げられるかと思います。
この治療法は「DESNOS」に関しても
自身の経験から有効だと感じています。
この二つの治療法では
「STAIR Narrative Therapy」
だとトラウマナラティブ
「スキーマ療法」
だと自分史の作成
など、過去の自分を思い出す作業があります。
しかし、この作業は治療開始からいきなりやるものではありません。ある程度治療が進んだ段階で行うものです。
その前にやるべきだと思われるのは
「今・ここ」で悩んでいることの改善です。
具体的にいうと
・自殺したい衝動に駆られた時などの
その場しのぎのコーピングスキルの獲得
・セルフコンパッションを身に付ける
(自分いじめをやめ自分を味方につける)
・アサーションなど、対人関係スキルを学ぶ
・出来事をありのまま捉えられるようになる
(マインドフルネス)
・自分の感情に気づき、
セルフモニタリングができるようになる
・そのうえで機能的な認知を身に付ける
などがあげられると思います。
表面的な問題に対処するという自分の考えは
「弁証法的行動療法」と実は類似してます。
「弁証法的行動療法」も「スキーマ療法」も
「境界性パーソナリティ障害」の人を対象にした治療法ですが
「複雑性PTSD」「DESNOS」「解離性障害」の人にも有効だと思ってます。
(自身の経験談から)
というのも、これらの症状の根っこは
家庭環境などに根付いていることが多く共通点が多いからです。
また、少し話がそれました。
これらの「今に対処できるスキル」を身に付けてから、過去に取り組むっていう方が安全だと思います。
自分は完全にその逆を行きました(笑)
自分はいきなり深いところに潜って、うつ病を発症しました。
浅い部分(今)から対処し、深い部分(過去)に行くがいいと思います。
自分は浅い部分の対処を
非常に馬鹿にしていました。
しかし、認知行動療法に取り組んでから
その考えは間違いだったと思いました。
今に困っていることに対処することは
その効果がわかりやすく出ます。
過去を振り返る作業に取り組むのは
生きづらさは抱えているけど
今すぐ死ぬほどではないなあ程度に
回復する必要があるかと思います。
今の精神科治療に関して思うこと
今の時代は自分が悩んでいた時と比べると
幾分か先に進んだような印象を受けます。
自分が悩んでいた時は、カウンセリングに行くとロジャース派の「来談者中心療法」がほとんどでした。
来談者の話をよく傾聴し
来談者自身がどのように感じ
どのように生きつつあるかに
真剣に取り組んでいきさえすれば
カウンセラーの賢明さや知識を振り回したり
押しつけたりしなくても
来談者自らが気づき、成長していく事ができる
という考えです。
「患者の治す力を信じる」という面で
大事な側面もあるかと確かに思いますが
自分には合いませんでした。
「認知行動療法」を知らないカウンセラーも多かったと思います。今では、さすがに知らないカウンセラーはいないですよね。
ただ、「認知行動療法」に関しては
「今・ここ」に注意を向けることが多いためか
トラウマインフォームドケアの視点が抜け落ちているとも感じます。
とはいえ今は
「スキーマ療法」
「STAIR Narrative Therapy」
といった認知行動療法を基礎としながら
家庭環境などに病理を抱えた人たちを
ケアできる心理療法があります。
この二つの心理療法を初めて知った時は
本当に感動しました。
自分が様々な考えを組み合わせて
取り組んできたことが
治療法として確立されていたからです。
自分はこの二つの心理療法が
日本でも早く発展してほしいなと願ってます。
「スキーマ療法」は
自分でもできるワークブックがあります。
(伊藤絵美先生、本当に感謝します)
もし興味があれば、見てみてください。
以上、自分の振り返り考察を終わります。
長い文章を読んでいただき、ありがとうございました。
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