AIと、人の動機と感性と
Ciao a tutti! みなさんこんにちは!
Naonardo です。
今日は、NETFLIX から届いたアンケートの内容をもとに、
AI や 人の感性について感じたことを綴ります。
みなさんは、動画配信サービスは何か契約されているでしょうか?
ここ最近ほとんど見ていないのですが、私は NETFLIX を契約しています。
狭まるNETFLIX包囲網
全世界で1億4800万件以上、世界一のの契約数を誇る NETFLIX ですが、だんだんと伸びが鈍化しています。
Disney は、自前で Disney+ を始めますし、
FOX や Hulu も買収して、
すべてのジャンルの動画配信が可能な状態です。
競合他社からの NETFLIX 包囲網が確実に迫ってきています。
※日本の NETFLIX では、Disney の作品は配信されていません。
NETFLIX の強み
NETFLIX の強みの1つはなんでしょうか?
それは、レコメンド(オススメ)される動画の精度が高いことです。
(人気の高い自社制作のオリジナルコンテンツなど、他にも強みはいろいろあります)
NETFLIXからオススメされる動画は興味をそそられるもので、時間と体力さえあれば延々と見続けたくなることがあります。
そのような、パーソナライズされた、つまり私個人のツボを狙い撃ちした、レコメンデーション(オススメ)精度の高さには驚きます。
(全く興味ないというハズレももちろんあります)
膨大なビッグデータ(この場合は視聴履歴)を機械学習によって分析して割り出した、視聴者が好む傾向などから、的確なレコメンデーションが可能になっています。
NETFLIX からのアンケートに対する興味とは?
そんなNETFLIXから先日、アンケートが届きました。
NETFLIX は、AIで精度の高いレコメンデーションが既にできているのに、人力に頼らないといけないとは、どんなアンケートなのか?
とITエンジニアとして興味が湧きました。
その一方で、パソコンまたはタブレットでないと答えられないアンケートなんて面倒臭そうだな…とか、
すでに Netflix 会員のため、2ヶ月無料体験は適用されないだろうなと思いました。
ですが、NETFLIX がどんなアンケートを実施するのか、興味の方が打ち勝ち、それでは、とタブレットを開いたのでした。
アンケートのポイント
そのアンケートは、これまでの私の視聴履歴から、既に見た作品を含むオススメ作品を10作品ずつリストアップして、
・何と何の動画が類似性が高そうか?
・どうしてそう思ったのか? その理由は?
という質問が、繰り返し続くものでした。
ここで重要なのは、
NETFLIXが知りたいポイントは、
特に2つ目の問いの答えだと思います。
精度の高いレコメンデーションができる時点で既に分かりきったことですが、NETFLIX は視聴者が見そうな類似性の高さを、既に知っています。
その上で、ユーザーにさらに類似性のある作品を選別/グループ分けさせ、なぜ人がそう感じるのか、その理由を問う。
そういったアンケートでした。
アンケートの具体例
たとえば、私の視聴履歴に基づくそのアンケートの質問の中には、「大統領」がテーマの作品が含まれていました。
私はその中のある作品は見ているのですが、別のものはレコメンドされても見ていませんでした。
私は、ある作品は類似性が薄いものとして仕分けました。
その後、理由を尋ねられます。
大統領がテーマという類似性はありますが、アクションものとそうでない作品とでは、ジャンルとしては異なるように感じたからです。
AIの得意分野
得意分野と言っても、NETFLIX に限った話になります。
確かにAIは、
このユーザーと同じような傾向の視聴者たちは、他にもこういうのを見てるから、これもオススメしてみよう。
ということは、膨大な視聴データから学習可能です。
しかし、(視聴履歴のような)ビッグデータの分析というAIの手法でできることは、結局のところ、過去のデータから手がかりを得ることにしかなりません。
それで、同じような視聴者の傾向から、まだ見ていない既存の作品をオススメする精度は非常に高く、得意です。
NETFLIXのレコメンデーション精度の高さがそれを物語っています。
ですが、
・人がなぜそれを見ようと思ったのか?
・なぜそう感じたのか?
エンターテインメントの中心にいる人の動機や感性、感動などの根本的な部分は、視聴履歴だけからではなかなか分析できないでしょう。
それが分からなければ、現に私がオススメされても見なかったように、ユーザーにはいずれ飽きられてしまう可能性が高くなります。
また今後、前述の通り Disney に作品を引き上げられて、NETFLIX が提供できるコンテンツが減ってしまうことも決まっています。
(※日本の NETFLIX では、Disney の作品は配信されていません)
このような状況でも既存顧客を失わず、新規契約を獲得するためには、NETFLIX のオリジナルコンテンツが、今よりさらに重要性を帯びてくるでしょう。
新たな作品を制作するに当たって、どのような作品が好まれそうか? という予測や計画を、視聴した人の動機や感性を鑑みずに、過去の履歴データだけに依存するのは危険でしょう。
しかしながら、過去からの傾向は分析できても、AIだからといって将来のことを完全に予測することは不可能です。
人の予測ももちろん外れます。
将来の予測
話は少しそれますが、
それは投資をする上での予測についても同じです。
いろんな経済アナリストたちが将来を予測しようとしますが、今後の大きな流れを過去の値動きと照らし合わせて、予測します。
以前同じような局面ではこうだったから、今後このようになるだろう、という過去のデータから導き出した予測な訳です。
たとえば、2020年の東京オリンピック後に日本株が暴落するか否かなどを、他国の事例や過去の大型公共事業の事例を現在の状況などと組み合わせて予測しようとするでしょう。
履歴、事例、データ。
時間はどんどん流れていきますので、それらはデータになった時点で、
すべて過去の事象と化してしまうのです。
それで、ファイナンシャルプランナーの足立武志さんもこのように記されています。
筆者(足立武志さん) は、本コラムでも、著書でも、ブログでも、メールマガジンでも一貫して、ある「根本的な思考」を持っています。それは、「将来を正確に予測することはできない」というものです。
つまり、今年の日経平均株価はどこまで上がるかとか、長期金利はどうなるかとか、為替レートはどう動くか、といったことを、正確に予測するのは不可能ということです。
そもそも、株価が将来どうなるかを予想できると期待されている評論家・専門家の方の予想が大きくばらけていること自体が、将来の予想は不可能であるというあらわれです。
(上記 楽天証券トウシルより)
「将来を正確に予測することはできない」
足立さんは記事で AI のことには触れていませんが、予測精度や運用成績いかんは別として、この原則は、AIロボアドバイザーによる投資についても同様に、完璧や絶対はありません。
今現在できる限界は、人もAIも共通しています。
過去の事象から予測することです。
NETFLIXからの謝礼は予想に反して
NETFLIX に話を戻しましょう。
私がアンケートに答えたことすら忘れた頃に、NETFLIX から謝礼のメールが届きました。
何か胡散臭い…。
僕は真っ先にそう思いました。
Googleに引き続いたので、そんなにうまい話は続かないだろうと、最初は本当に詐欺だろうと疑いました。
ですが、Googleに引き続き、本当にNETFLIXから謝礼をいただきました。
私の場合、美味しい話がそうは続かないという過去の経験則から予測した訳ですが、見事にハズレて、嬉しい誤算となりました。
私の予測は当てにならないですね(笑)
NETFLIX を騙る詐欺メール実際にありますので、もしアンケートの依頼や謝礼メールが届いたら、詐欺メールではないという安全性を十二分に確認しましょう🔐
今回、アンケート会社の実在性や、WebサイトのSSL証明書の正しさなどをドキドキしながら確認しました。
NETFLIXからの当初メールでは、「2ヶ月無料体験」とありました。私はすでに契約者なのでそもそも謝礼の対象外と思っていましたし、さらに2ヶ月分以上の謝礼の金額の大きさに驚きました。
なぜ NETFLIX は謝礼金を払ってまで???
なぜ、わざわざNETFLIXがアンケートにお金を払ってでも、視聴者の生の声を聞こうとするのか?
それは、人が
なぜそれを見ようと思ったのか?
なぜそれを見たいと感じたのか?
視聴履歴のビックデータだけからでは機械学習でも分析できない、
人の動機や感性、感動、つまり情動を、学習用データやモデルに活かしたいのでは?と感じました。
❉❉❉
特にエンターテインメントの分野では、人の感性を引きつける何かがなければ、ユーザーは離れていってしまうでしょう。
たとえば、ストリーミングのビデオでもライブ映像を見れるのに、値段が高くてもわざわざ出かけていってコンサートに行くのはなぜでしょうか?
それは、そこに人の感性を引きつける何か、感動させるものがあるからでしょう。
それは、アーティストと会場全体とのグルーヴ感かもしれません。
体に染み入るビートかもしれません。
アイドルをとにかくリアルで見たいだけかもしれません。
それも立派な動機でしょう。(私はアイドルヲタではありません)
コンサートに行っても、人が求める何かが期待したほど得られなければ、行くのをやめてしまうかもしれません。
NETFLIX の今後
先ほど、AIでも将来を完全には予測できないというお話をしましたが、視聴履歴を人の動機や感性によって裏打ちしたり、多角的に補強したりすることは技術的に可能でしょう。
NETFLIX は自社の強みをさらに強化して、人が感じたアンケートの結果もビッグデータに組み込んだ上で分析して、私の感情を揺さぶるような動画を今後さらにレコメンドしてくることでしょう。
オリジナルコンテンツにはさらに力を入れていくそうですので、人に見たいと思わせるような作品作りにも活かされていくことでしょう。
競合が現れて包囲網が狭まる中、NETFLIX が今後どのような手を打ってくるのか?
世界の動画配信業界の覇者になるのは、Disney か NETFLIX か、それともはたまた docomo の dTV か楽しみです。(dTVはないかな)
人の感情を理解したいAI
このように、AIによるレコメンドが優れている NETFLIX でさえ、お金を払ってわざわざ人にアンケートを取るぐらいです。
ですから、視聴履歴や購買履歴などの単純な履歴※の機械学習だけでは分析できない、人の情動はやはり人に直接聞いて、その集計結果も合わせて機械学習することが、最適解を求めるのにはまだまだ必要なのだろう、と考えさせられました。
もちろん、感情を直接理解するような AI そのものの開発も今後進んでいくでしょう。
※「単純な履歴」と書いていますが、そのような履歴も、本当は年齢層や性別、その日の天気、気温などなど多角的に分析されています。
しかし、感情というもっと複雑で捉えにくい部分に比べると単純という意味で書いています。
感性を大切にしたい ―大切なのは人なんだな
たいていどんな業界も最終的には人に行き着くことがほとんどです。
大切なのは結局、人なんだよな。
繊細な人の感情や感性はなんて素晴らしいんだろうと、改めて感じました。
この note でも、出会える素晴らしい作品には書き手がいて、
それらの方々の感性が人の共感を呼び、
『スキ』でつながる温かな輪になっていく。
とても居心地のいい、守りたい空間。
小説を書くような AI も登場していますが、人類まだまだ AI なんかには負けてられないそ、と感じました。
私が書いた、これからの NETFLIX や業界の将来などは、AI より劣る私の拙い予測にすぎません。
将来を正確に予測することなんてできないのが世の常、人の常。
当たるかどうか。それはまた別のお話。
それではまた! Ciao ciao, a dopo!
Naonardo でした。
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