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学生時代、どれだけの本と出会えるか。

那珂です。

最近、本読んでません。
だめだなあ。
図書館にすら行けてないです。
ゲームが悪いのかどうなのか わかりませんが
そっちに気持ちが行かないのは確かです。

おもしろそうなマンガはたくさんあるんだけど。

受験シーズンまっただ中で、
明日は私立高校の入試日です。

面接のある学校も多く、
必ず聞かれるのが
「最近気になるニュース」と 「最近読んだ本」です。

中学生が選ぶ本ですから、
これはちょっと、だめなんじゃない?というのを読んでいる子もいます。

「だめ」というのは、
高校の先生が「?」と感じてしまうような題名だったり内容だったりということで、
読書の自由は、保証されるべきと私は思うのですが。

でも、いまさら新しい本を買いに行くわけにも行かないし、
お金もないし(けっこう本は高いよね・・・)

実際に読む子は少ないかもしれないけれど、
Googleクラスルームに
青空文庫のリンクを張っておきました。

読んでいる子、少ないだろうなあ。

こちらの予想を覆し、読んでいる生徒が結構いたのです。

 その証拠に、面接指導の時に、これまで聞いたことのなかった作品の名前が出てくるようになりました。

 今まで手に取ることのなかった古典や、近代文学が身近なものとなって、
さらに子どもたちの読書の幅が広がるのであれば、そんな嬉しいことはありません。

 物価高で、いろいろなものが値上がりし、本も例外ではありません。
 生活のなかで、どこから節約していくのか考えたときに、真っ先にあげられるのが本や雑誌なのではないでしょうか。
 公立学校に勤務していると、各家庭の生活がどんどん大変になっていることがわかります。
 図書館で本を借りるということが、日常になっている生徒はごく一部です。圧倒的に「本を借りない」生徒が多い学校で、どうやって本を読んでもらうのかは、かなりの難題だと思うのです。

 一人一台端末を使って、青空文庫の作品を読ませる という方法も、有効な手段であることがわかりました。
 インプットがなければ、アウトプットはできません。
 いろいろな文章を読むこと、好き嫌い構わず乱読するくらいの勢いのある読書が、十代には必要なのです。
 
 複雑な家庭事情を抱え、欠席しがちなやんちゃ少女に言ったことがあります。授業では寝てばかり、先生方とぶつかり、保健室で暴れ・・・
 その日彼女は、体調が悪いといいながら、体育をさぼって教室にいました。

 何もしていないのかと思ったら、朝配られていた新聞コラムの書き写しを丁寧にしていたのです。
 一人になる時間に、彼女がこっそり本を読んでいるのは知っていました。
 誰もいない教室で、私は彼女に伝えました。

 「読書はあなたの人生の支えになる。勉強はしたくなったらすればいいけど、とにかく本を読みなさい。本は裏切らないから。」

 中学卒業後、通信制高校に進んだ彼女と、バイト先のファミリーレストランでばったり再会したことがありました。
 同級生がまだ高校生だったのに、彼女は笑顔の素敵な、立派な社会人になっていました。

 「あの時、先生に言われたこと、ちゃんと覚えていますよ」

 そう言ってもらえたことが、とても嬉しかったことを思い出します。

 若いときに読んだ本が、人生を変えることがあります。

 エネルギーのある作品が、エネルギーのある人に出会うと
予想しないほど強烈な化学反応を起こすことがあるのです。
 
 本との出会いを応援する場が、どんどん少なくなってきている時代ですが、新しい方法を使いながらでも、その灯火を絶やさないようにするのが、私の仕事。
教師であり、司書として働く自分にしかできないことを、これからも続けていきたいと思っているのです。


 

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