石橋直子

昔話と詩吟が好きな高校国語教員です。隠岐に残る不思議な浦島伝説の調査をしています。『お…

石橋直子

昔話と詩吟が好きな高校国語教員です。隠岐に残る不思議な浦島伝説の調査をしています。『おしゃべりな出席簿』今井印刷から出版。https://amzn.asia/d/hFdtOI4

マガジン

  • note予備校~トランスミッション~

    • 115,124本

    とらねこが運営する共同マガジン。グループ合計で参加者1,100名を超えました。フォロワ数2000名以上、120,000記事以上が収録されています。🌱コンテンツを広めたい方の参加をお待ちしています。🌱マナー:①連続投稿はしない②社会一般的に不適切な記事は投稿しない③トップ画面は変えない。参加希望の方は,マガジンの固定記事からコメントしてね(ง •̀ω•́)ง

  • おしゃべりな出席簿

    現役高校教員による学校エッセイ「おしゃべりな出席簿」の記事をまとめました。

最近の記事

浦島語り#04 別離なき浦島伝説の盛衰③

海の向こうの恋物語前回に引き続き、古代の浦島伝承の展開をたどっていきたいと思います。「その箱」が開いたとき、いったい何が起きるのでしょうか。 連動している朗読チャンネルでは、楠山正雄氏の浦島太郎、第三部を公開しています。併せてお楽しみいただけると嬉しいです。 さて、その前に、少しだけ浦島が過ごした「海向こうの世界」での日々を覗いてみましょう。古代人たちが水平線を眺めて思い描いた仙境、それはどのような世界だったのでしょうか。 浦嶋子は不思議な女性に導かれるまま、大きな島

    • 出席簿#14「挑戦、新しい生涯学習のかたち」

      【月曜更新】「おしゃべりな出席簿」6月24日、月曜日。天気が崩れた週末でしたが皆さまの周りはお変わりありませんか? さて、去年『おしゃべりな出席簿』という書籍を出したのですが、このなかには、朝日新聞島根版の「おしゃべりな出席簿」と「元気力」というコーナーで11年にわたって連載されていたエッセイが収録されています。 最初に連載のお話をいただいてから8年間、「おしゃべりな出席簿」という単独コラムのコーナーを担当していたのですが、その後、紙面構成が変わり、「元気力」というリレー

      • 浦島語り#03 別離なき浦島伝説の盛衰②

        浦島伝説いまむかし。前回、浦島伝承の歴史を概観しましたので、ここからはざっくり時代とともに、(ひとまず文字化されている)浦島伝承がどのように変わっていったのか、そしてその変化に対して、先行研究においてはどのようなことが言われているか、などを中心にお話しできたらと思います。今回は、古代の浦島伝承のお話。 連動している朗読チャンネルでは、楠山正雄氏の浦島太郎、第二部を公開しています。併せてお楽しみいただけると嬉しいです。 前回も引いたのですが、現在伝わる最もオーソドックスな

        • 出席簿#13「生徒の思い、はがきに込めて」

          【月曜更新】「おしゃべりな出席簿」6月17日、月曜日。 真夏日が続いた週末でしたね。みなさまはどのように過ごされましたか?私は、隠岐神社の御創建八十五周年イベントに合わせて、かつて住んでいた海士町に行っていました。ご存じの方も多いと思うのですが、当地は承久の乱ののち、後鳥羽院が配流となった地。隠岐神社は、後鳥羽院をお祀りする神社です。和歌を愛された後鳥羽院は、新古今和歌集の編纂をお命じになったことでも有名ですが、配流ののちも島の風景やその中でのご自身の心の動きを歌に詠まれ続

        浦島語り#04 別離なき浦島伝説の盛衰③

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        記事

          浦島語り#02 別離なき浦島伝説の盛衰①

          はじめに6月13日、木曜日。私ごとですが、本日うちの子が2歳になりました。私もまだまだ未熟ながら、親2年生になりました。少しずつ一緒に楽しめる絵本も増えてきたので、これからもいろいろな「ものがたり」に、わが子と一緒に手を伸ばしていけたら、と思っています。 さて、毎週木曜日はエッセイや小説など、自由に更新している私のnoteですが、今週からは数回にわたって、「浦島語り」を綴ってみようと思います。 noteと連動して更新している朗読YouTube、どうしようか悩んでいたので

          浦島語り#02 別離なき浦島伝説の盛衰①

          出席簿#12「高校チーム、地域で勝負!」

          【月曜更新】「おしゃべりな出席簿」6月10日、月曜日。 ちょっと天気のぐずついた週末でしたが、今日は嘘のような暑さ。まだ入梅前ですが、梅雨と一緒に夏までやってきたような思いでいます。 さて、今回のお話はソフトボール大会の思い出です。 教員は転勤族です。その分、いろいろな地域の顔を見ることができるようにも思います。今回は隠岐で勤務していたときの「町内ソフトボール大会」。地区対抗の様々な行事で、その結束力と、本気で楽しむ大人と子どもの交わりに驚かされることも多かった隠岐勤務

          出席簿#12「高校チーム、地域で勝負!」

          中編小説 笠地蔵異聞(5)(最終話)

          はじめに 笠地蔵異聞の第五話(最終話)です。前の話はこちらからどうぞ。 ―――――――――― 妻の朋世に誘われて、和宏は件の地蔵のもとへ足を運んだ。あの日以来、遠ざけてしまっていた道だった。遠目に地蔵たちの姿が見える。皆、赤い帽子をかぶっていた。あの地蔵もだ。和宏はあっけにとられたまま、吸い寄せられるように地蔵に歩み寄った。近づけば、地蔵の頭頂に帽子のつばがそびえたっているのがわかる。それは、紅白帽だった。白い帽子のうらに赤い布が縁だけ縫いつけられているから、白と赤の布をつ

          中編小説 笠地蔵異聞(5)(最終話)

          出席簿#11「実習生が語ったことば」

          【月曜更新】「おしゃべりな出席簿」6月3日、月曜日。 5月は怒濤のような忙しさでしたが、ようやく一息つけそうです。何に追われていたかというと、浦島研究に関する研究奨励事業への申請書作成や、詩吟の大会への遠征など。また、気になっていた文学賞への投稿もどうにかこうにか終わったところ。こんなことを書くと、何をやっている人なんだろう、と思われてしまうかもしれませんが、浦島も詩吟も文学も、私を構成している、どれひとつとして欠かすことのできない要素なんですよね。 さて、今回のお話は教

          出席簿#11「実習生が語ったことば」

          中編小説 笠地蔵異聞(4)

          はじめに 笠地蔵異聞の第四話です。前の話はこちらからどうぞ。 ―――――――――― 和宏は定年退職を機に移住したA町で、自治会費の集金に来た男から例大祭の行列に加わらないかと声をかけられた。提灯やらのぼりやらをもって、行列を作ればいいらしい。たった一度の打ち合わせでは、行列の構成について簡単な説明を受け、並び順を決め、ためしに公民館周りをぐるぐると歩いてみた。例大祭は夏日となり、スーツ姿で町を練り歩いた和宏は、散会ののち、商店の軒先で販売されていた缶ビールで喉を潤しながら周

          中編小説 笠地蔵異聞(4)

          出席簿#10「見えない応援を受けとめて」

          【月曜更新…ならず】「おしゃべりな出席簿」5月27日、月曜日。 5月もまもなく終わります。 ↑…と書き始め、下書きはほぼ完成していたのに…。 気づいたら寝てしまっていて、 いまは5月28日火曜日の午前2時半。 3月末にnoteをはじめてから、毎週月木更新を保っていたので、静かにショックを受けています……。が、まあ、ここのところちょっとハードスケジュールだったので、身体が休息を求めていたのだと思うことにして、次回からは予定通りアップできるようにしようと思います。 さて、県総

          出席簿#10「見えない応援を受けとめて」

          中編小説 笠地蔵異聞(3)

          はじめに 笠地蔵異聞の第三話です。前の話はこちらからどうぞ。 ―――――――――― もう、50年ちかくも前のことになる。和宏は母の死を機に高校を中退して上京し、放送局の下働きを始めた。謳歌したわけでもない学生生活だったが、いくばくかの屈託は残った。東京まで学生帽をもっていったのはどのような心理だったか。ある給料日、帰路につき、最寄り駅で電車を降りた和宏は、支給されたばかりの給料袋がなくなっていることに気づく。あちこちに借金をしながらなんとか生活をしていた。財布には小銭ばかり

          中編小説 笠地蔵異聞(3)

          出席簿#09「校内大会 声援と軌跡を感じ」

          【月曜更新】「おしゃべりな出席簿」5月20日、月曜日。 気がつけば5月も折り返しですね。 以前も少し書いたのですが、私はずっと弓道部の顧問をしていました。いまは育休中で、しばらく高校現場からは遠ざかっているのですが、弓道部ってとにかく4月5月は大会が多いんですよね。春休み中から各地の弓友会による大会が毎週末のようにあって、中国大会県予選。それが終わってすぐに昇段審査、連休中も練習試合に明け暮れて、中間試験期間に突入。試験が開けたら今度は一気に学校全体が高校総体ムード……。

          出席簿#09「校内大会 声援と軌跡を感じ」

          中編小説 笠地蔵異聞(2)

          はじめに 笠地蔵異聞の第二話です。第一話から読みたい方はこちらからどうぞ。 ―――――――――― 奇妙な地蔵たちを見た日の昼下がり、和宏は少しまどろんだ。 夢の中に母がいた。薄闇のなか、笠地蔵の昔話をしてくれていた。夢の中で幼子だった自分は、いつしか地蔵になっていた。周りは角帽をかぶっていた。自分もかぶっていた。ほの暗さと母の声に安らぎを覚えながら、野道にたたずんでいた。ところがふいに、黒い雲が湧き上って、空がおおわれた。雷鳴がとどろいた。と、思ったら大きな毛むくじゃらの

          中編小説 笠地蔵異聞(2)

          出席簿#08「寮に流れる不思議な時間」

          【月曜更新】「おしゃべりな出席簿」5月13日、月曜日。 あいにくの雨となった週末でしたが いかがお過ごしでしたか? 私はかつて勤務をしていた縁で、隠岐に行ってきました。数えてみると隠岐をあとにして、もう6年になります(といっても、実は当地で詩吟の指導をしている関係で、月に一回は海士の地に出かけているのですが、この話はまた追って……)。3年生を送り出して同時に離任したので、担任した生徒たちで大学や短大、専門学校に進学をした子たちも、だいたい就職しているころなのですが、何人か島

          出席簿#08「寮に流れる不思議な時間」

          中編小説 笠地蔵異聞(1)

          はじめに 隠岐に住んでいた頃に書いた中編小説を、これから何回かに分けて投稿していこうと思い立ち、第1回目を公開してみました。島で見た風景、耳にした話を散りばめつつ、笠地蔵に着想を得てまとめたものです。昔話の面白さも感じていただけたら嬉しく思います。 ―――――――――― 定年退職を機に妻と二人で地方に移住した和宏は、ある日の散歩中、道ばたの地蔵を見て足を止める。赤い頭巾をかぶって並んだ地蔵たち、そのなかの一体だけ頭巾をかぶっていなかったのが妙に気にかかった。「どうして、あい

          中編小説 笠地蔵異聞(1)

          出席簿#07「遠足の朝 止まったフェリー」

          【月曜更新】「おしゃべりな出席簿」5月6日、月曜日。 連休はいかがお過ごしでしたか? 島根県西部に住んでいる私は、 子どもと神楽を見に行きました。 転勤族で、県西部での勤務は現任校が初めて。 そんな私にとってかなり驚きだったのが、 県西部の神楽文化です。 神事芸能にして、エンタメ要素とサービス精神に満ちた、とても華やかな石見神楽。 小さな子どもたちにとってはヒーローショーのような存在で、客席最前列を子どもたちが陣取っていたり、一緒に踊る子がいたり…。 神楽のことは全く

          出席簿#07「遠足の朝 止まったフェリー」