久しぶりに母親と再会したら、10年前と同じことを言った。
世間では、緊急事態宣言が出されているところがある。そうでなくても、今コロナ禍で外出自粛は当たり前みたいな風潮になっているかもしれない。
そんな中、ゴールデンウィーク中に帰省をするなんてとんでもないと言う人も多いと思う。私も全くそうは思わないわけではなく、同意するところがある。
4月29日、私は東京から地元へ帰省した。本当はしなくてよかったかもしれないけど、どうしてもしたいと思うことがあったからだ。それは私のリスクよりも思いが勝った結果だ。
母が介護施設へ入院してから2ヶ月半がたった。私は仕事のため東京へ行き、一人暮らしを始めた。母と地理的にも離れることになり、会う回数が少なくなるかもしれない。
私の母が余命として言われてたのは、2021年の3月。その余命を過ぎており、医師からはいつその時期が来てもおかしくないと言われている。
そんな中、コロナであるから帰れないという理由で一生会えなくなるのは心残りだ。周りから批判があったとしても帰りたいと感じた。
帰ってから3日後ぐらいに母と会った。状態は悪化の一途を辿っていた。声はほとんど消えていた。母音だけが残っており、子音は完全消滅していた。以前からそのような状態になっており、私は口の動きだけで言葉を読み解いていたが、今ではそんなことでは読み取れなくなり、文字盤を使って会話をした。
母が言った言葉
・「東京はどう?」
・「人を選びなさいよ」
・「お金の使い方を考えなさい」
・「無理して帰ってこなくていい」
・「食生活考えなさい」
自分の状態や感情を一切言わず、ただ私の心配とアドバイスしてくれた。話している内容は昔と同じ内容であり、私が社会人になったとしても子供への教育は忘れていなかった。
感動しかなかった。そして、忠実に守りたいとも思った。
私は恵まれていたし、母は昔から教育者だった。素晴らしい家族をありがとう。明日からも仕事をしていくし、自分の彼女や自分の将来のために邁進していく。
そして、これを読んでくれた方に向けると、家族に感謝しましょうみたいなことではない。
家族は時として人生最大の敵になりうるからだ。世の中には、家族のせいで命を落とした事例が山のように積み上がっている。だから、家族に感謝しましょうと言うのは簡単ではない。
伝えたいのは、自分にリスクがあったとしても今会いたいと思える人がいたら、その人には必ず感謝しようということ。特に、私のように新社会人になり、はじめての初任給をもらった人たちはそのように行動してみてもいいのではないかと思う。感謝する機会は思っている以上に人は意図的にすることがないからね。
※フォト writer1623kitaさん。ありがとうございます!→https://note.com/1623kita
ここでサポートいただいたものは、全て私の母の病気への還元に使わせてただいています。