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アルバム⑤カーテンコール
知らない誰かの思い出話を聞かせてもらって、その知らない誰かのことを考えてみる時間は、まるで謎解きでもしているような感覚で、他にも何か手がかりがないかと更にその人の記憶を手繰りながら紐解いてしまう。
いくら考えたところで、正解には辿り着けないとわかっていても。
仮説の仮説を証明することが無意味であっても。
不思議とそれを無駄なことだとは全く思えなかった。
カーテンコール④の続き。
2023年6月
旨い魚と宿題④カーテンコール
2023年5月。
梅雨に入る前の暑いくらいに良く晴れた日だった。
「旨い魚でも食べに行こうか」
平日の昼間に安西先生からそんな電話があった。
作業等で安西先生のクリニックにお邪魔する日もあるのに、わざわざ電話してくるくらいだ。
何かあったのかと問うと、
「アジが旨い季節になったから」
案外と暢気な返事だった。
カーテンコール③の続き。
仕事の予定を少し調整して、今日は安西先生と旨い魚を
おにぎり③カーテンコール
今日は機密文書の廃棄業者(仮:夏木さん)を連れて、安西先生のクリニックに伺う。保存期間を過ぎたカルテを廃棄するための作業日数や搬出経路の確認も兼ねている。
クリニックの玄関先には何のつもりか、まるで待ち伏せでもしていたようなタイミングの良さでアイスマン(事務長)が仁王立ちして居た。
今日伺うことは連絡していたけれど、出迎え(歓迎されている訳ではない)があるとは思わず、まさか「帰れ」とか言わないよな
煙に巻く②カーテンコール
忘れないように、忘れたくない思い出を綴る。
カーテンコール①の続き。
2023年3月。
作業スケジュールの確認と、自分でも見ておきたい場所があったので安西先生のクリニックに来ている。
この日も事務長(アイスマン)は冷ややかだったけれど、かろうじて挨拶だけはしてくれた。
事務長、看護師4名、事務職員3名。
安西先生を支えている大切な人たちには、閉院することは既に知らせてあるそうだ。
ただ、外来通
どら焼き①カーテンコール
2023年12月某日。
南の地方の片隅にあるクリニックが閉院した。
良く晴れた季節外れの暖かい日だった。
今回、ちょっと無理をしてでも、この仕事を引き受けて良かった。
見知らぬ誰かの記憶を辿って、その情景を想像してみることは、自分のこれまでを思いがけず振り返ることにもなって、改めて考え直すことも多かった。
始めるよりも終えることのほうが難しい。
良くも悪くも、様々なものが纏わりつくから。
ずっ