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【中編】あの日打ち明けた恋心の話。

こんばんは、サブリナです。
前編はこちらから。


***

あっという間に12月。大抵の現地学生は、クリスマス休暇は実家に帰る。例にもれず、彼も帰省するようだった。

しばらく会えなくなってしまう…私はあと3か月弱で帰国しなければならないのに。
そんな思いから、ふと、思い立ってしまった。

そうだ、告白しよう。


……今思うと、なかなかのチャレンジャーだ。
冷静に考えても、ただの同じ寮の子から、たまに話をする顔見知りの子くらいにしか、仲は進展していなかったんじゃないだろうか。

でも、関係なかった。私には時間がないのだ。
どうせダメでも、彼はクリスマス休暇で2〜3週間いなくなるし、気まずくない!ダメ元だ!なんて考えから、気持ちを伝えようと決めたのだった。



いつものように、携帯電話からメッセージを送る。彼をわざわざ呼び出すなんて、連絡先を聞いて以来、初めてのことだった。

私が指定したのは、寮から屋根続きの場所で、小さな教会のような建物に通じている、ちょっとした休憩所みたいなところだった。ソファーもあるし、少し離れた場所だったから、夕食後の時間に人通りはほとんどない。
しんとしていて、ちょうど良いと思った。



大きなガラス窓から、雪が降っているのが見える。

少し雑談をし、呼吸を整えてから言った。
上手く伝えられないかもしれないけど、とりあえず、最後まで私の話を聞いて欲しい、と。

私がそのあとの言葉を紡ぐと、彼は驚いたような、照れたような顔をしながら、ゆっくりと私の話を聞いてくれた。


実は、この日までに何日かかけて、告白の言葉を必死で考えていた。だって、英語での告白なんて、初めてだ。日本語での告白経験ですら、乏しいというのに。

きっと彼を目の前にしたら、組み上げた文章なんて、頭からスルスル抜けてしまうかもしれない。そう思ったけれど、ぶっつけ本番で言うよりも、伝えたい気持ちを正しく届けたいと思った。

頭を捻りながら完成させた、私→彼専用の告白英文を、何度も声に出して練習した。丸ごと暗記するというよりは、絶対に伝えたい内容のキーワードを意識するのがポイントだ。そうすれば、緊張で頭から文章が消え去ったとしても、その場で文章を組み直して、気持ちを伝えることができる。

そのくらいのアドリブ力は、この3か月の間に身に付いてきていたようだった。


好きな気持ちと理由を、ドキドキしながら、彼に伝えた。最後までちゃんと聞いてくれてありがとう、と告白の言葉を終える。一応、私と付き合ってくれませんか?という一言も添えた。

返事をもらうには、ハッキリした疑問形の問いかけが必要かと思って。
万が一の可能性も、あるかもしれないし。



ふいに、彼は言った。
「女の子に告白されたの、初めてなんだ。」

う、嘘でしょ…!?こんなに素敵なのに!?と驚きつつも、話は彼のターンだ。会話のキャッチボールのためのちょっとした一言と相槌を挟みながら、彼の言葉を待つ。

彼は、告白されて驚いた、嬉しかったという内容を伝えながら、でも君のことをまだよく知らないから、YES・NOの返事をすることができないというようなことを言っていた。

暗に、フラれてしまったのね、私。と思っていたら、なんと話にはまだ続きがあった。


「だから、君のことをもっと教えて欲しい。まずは友達として、仲良くなろうよ。」

彼は本当に、真剣に私の告白を受け止めてくれていた。フラれるのなんか想定内だった。でもまさか、彼の方からこんな提案をしてくれるなんて。



実際に、この日以降、彼から話しかけてくれることが増えた。

私も少し変わって、彼に対して気持ちをオープンにすることを躊躇わなくなった。彼が私の気持ちを知っているのだから、隠す必要もなくなっていた。


こうして私たちは、「気軽に2人でお喋りができる友達」になったのだった。

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