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【前編】ペルチェ素子を使った"IoT冷蔵庫"を作ってみた

日本酒のストックが自宅に増えてきたので、日本酒専用の冷蔵庫を作ろうと思い、大好きなAliExpressでペルチェ素子の冷却キットを購入して作ってみました。

“IoT冷蔵庫”を作りたい

日本酒の理想の保存温度は5℃~10℃程度と言われます(火入れをしている日本酒の場合)。
東京でも最近は朝晩は冷えるので、ベランダに放置しておけばそれで良い気がします。一方、昼間は12月〜3月でも10℃を超えることも多いでしょう。そこで、気温が10℃を超えたときだけ起動させ、10℃以下に冷却する冷蔵庫があれば、必要なときだけ電力を使って冷やすというエコな使い方ができると考えました。

冷却の仕組み

一般に、冷蔵庫の冷却方式には、①コンプレッサー式②ペルチェ冷却式があります。多くの家庭用冷蔵庫は、①コンプレッサー式です。冷媒(ひと昔前はフロンが使われていたが現在は「イソブタン」等のノンフロンが主流)を圧縮(Compress)し、液体から気体に気化する際に周りから熱を奪う(気化熱)ことを利用し冷却させます。一方、ホテルにあるような小型の冷蔵庫などで採用されているのが②ペルチェ冷却式です。電流を流すと素子の上面で吸熱(冷却)し、下面で発熱(加熱)するという特性を持つ「ペルチェ素子」を利用し、この熱の移動を利用して冷却させます。

今回は冷媒を使わず、電流を流すだけで冷却できる②ペルチェ冷却式を採用したキットを用います。

苦戦ポイント①:AliExpressで届くのに3ヶ月以上かかった

今年の夏に「日本酒専用の冷蔵庫を作りたい」と思い立ち、ペルチェ冷却キットを購入しました(1回目)。
ところが2ヶ月経っても届く気配がなく、セラー(店)に問い合わせたところ「物流会社に返却された」とのお返事。どういうことなのか??

どうしても欲しかったのでもう1回購入。今度は1ヶ月後に無事届きました。夏に作りたかったのに、そうこうしているうちにもう冬ですよ…苦笑

苦戦ポイント②:説明書なし

やっと届いたので開封してみると、部品は完全に揃っていたのですが、(AliExpressでの買い物ではよくありますが)説明書がありません。ですので、商品ページの参考画像や先人達が作った記録を辿ったり、自分自身で勉強しながら組み立てるしかないのです…。あわわわわ

ペルチェ冷却ユニット、温度センサ、ACDCコンバータ、ファンが入っていました

苦戦ポイント③:ハンダ付け不要、ドライバーだけで組み立て可能なはずが…

また、さらにトラップがありました。

このキットは、基本的にハンダ付けが不要で、配線部分には端子台やターミナルブロックが使われており、ドライバーさえあれば配線することができるのがウリのようなのですが…
ターミナルブロックを使うのにちょうど良いサイズのマイナスドライバーがなかったので、逆にハンダ付けの方が楽だったのに…と思ってしまいました。

わたしの手持ちのドライバーたち。

こんなにあるのにぃぃ
精密ドライバーは小さすぎたぁぁ

ちょうど良いサイズがない〜。(こういう時に、1人で電子工作する不便さを感じますね。研究室に行きたい)

とにかくペルチェ冷却キット(温度制御部分を除く)を組み立てる!

説明書はないし、ターミナルブロックを使うマイナスドライバーがないので、温度制御とか高度なことは置いておいて、まずは冷却部分のみを作ることにしました。

先ほど、ペルチェ素子は電流を流すと冷却面と加熱面ができる特性があると書きました。

ペルチェ素子そのものはこういうやつです

購入したキットは、ペルチェ素子の冷却面と加熱面にそれぞれヒートシンクとファンが既に取り付けられています(超便利)。冷却面の冷気を冷蔵庫内にファンで送り込み、加熱面の熱気は冷蔵庫の外にファンで逃すようにすれば良いわけです。加熱面側が+、冷却面側が-になるよう配線し12Vの電圧をかけます。

ペルチェ冷却ユニット完成

はい、冷却ユニット完成しました!!…って、見た目はただのPCの冷却ファンのようですね。スイッチも付けていないので、プラグをコンセントに挿すと冷却ユニットが起動し始めます。(…ということは、スマートプラグを取り付ければ、スマホから操作つまりIoT化できるわけです)

発泡スチロールを冷蔵庫の箱として活用

今年の夏、予備実験として、日本酒を保冷剤と一緒に発泡スチロールの箱に入れて長時間保存してみたところ、暑い日でもかなり保冷効果が持続したので、冷蔵する箱は発泡スチロールにすることに。加工しやすいのでペルチェの冷却ユニットもうまくはめ込むことができます。

発泡スチロールに保冷剤を入れるだけで冷蔵庫として結構優秀ではある

冷蔵庫ができました!

じゃーん!

これ、冷蔵庫ですよ?

ちなみに蓋の裏はこうなっています。

冷却面が冷蔵庫の内側になるよう配置します

プラグをコンセントに挿すとすぐに冷却が始まります。
ちなみに、起動時は、結構うるさいです。笑

さて、この冷蔵庫、どのくらい冷えるのでしょうか?

後編では、この冷蔵庫の冷却機能の評価と、さらに冷蔵庫のIoT化をしてみたいと思います♪♪

※IoTLT アドベントカレンダーにエントリーしました

2021年のIoTLTアドベントカレンダーの12/7(自分の誕生日)にエントリーしていたので、本記事は、誕生日前日から無駄に夜なべをして書く羽目になりました…(追い詰められてやるタイプ…)


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