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ボロ屋の思い出

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恥ずかしい=嫌い?

恥ずかしい=嫌い?

写真の犬が、おバカなカピ♡

多分四年生の頃。

帰って来るといつも大きく手を広げてハグしてくれた義行に、だんだん照れが出て来た私は、歪んだ笑顔で近寄って行った。

その日、義行は

「ん!?頭が臭い!!」

と私に言った。

当然子ブタは傷付いた。

当時は肥満児。

好き放題お菓子を食べていた私の頭からは、脂の匂いでも漂っていたのかもしれない。じゅわ〜ん。

だいたい男性という生き物はそういう

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交換ノートと、頭の良くないカピの話

交換ノートと、頭の良くないカピの話

小学一年生になった頃、すれ違い生活の中でもコミュニケーションを取ろうと、義行は私との交換ノートを提案して来た。

平仮名を覚えたての私は喜んで応じた。

それにしても「声が低くておっかない」って、今の私も言われていること(汗)

とっきどき、能里も書いていた。

日記を読み返すと、あのボロ屋での家族の日常が、まるで頭の中で8ミリビデオが流れているかのように再生される。

日記によると小さい頃の私は

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バージョンアップボロ屋へのお引っ越し

バージョンアップボロ屋へのお引っ越し

私が小学校に上がる頃。

隣の家に引っ越した。

隣には3歳の時に引っ越して来て仲良くなった、幼馴染の慎ちゃん家族が住んでいたのだが、同じ敷地内に二階建ての家を新築し、晴れてボロ屋を脱出したのであった。ボロ屋仲間だったのに裏切った上、隣で見せびらかすかのように新築ライフを満喫していた慎ちゃん家族であった。(被害妄想)

同じタイプのボロ屋とはいえ、こちらには8畳ほどのプレハブが付いており、お風呂へ

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ボロ屋で見つけた両親の愛

ボロ屋で見つけた両親の愛

義行と能里は、よく喧嘩していた。

大概の原因は、義行の帰宅時間が連絡も入れずに遅いこと・約束を守らないことなどだったと思う。

今でも鮮明に記憶している場面がある。

私が3〜5歳くらいの頃。

クリスマスの日、家族でお祝いすることを楽しみにしていたが、その日も義行の帰宅時間は遅かった。

私が布団に入ってウトウトしていると、玄関から喧嘩する声が聞こえて来た。

「なっちゃんが楽しみにしていたの

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ボロ屋暮らしの3人家族

ボロ屋暮らしの3人家族

私が15歳になるまで、家族3人が時に仲良く時に切なく暮らしていたのは、六畳四畳半・木造平屋の借家だった。

風が強い日は、割れそうな薄いガラス窓がガタガタと鳴り、台風が来た時は本気モードで机の下に避難して過ごした。

玄関の引き戸も、薄いガラスに木製の枠。人差し指でも割ることが出来そうだった。

鍵は穴に入れたまま、ぎゅっと閉まるまでクルクルと何周も回すタイプ。(このタイプ、知らない人も多いのでは

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