「シャポシュニコワは、いつも哀しい瞳をしていた」Vol.1
~ラジオドラマ風、ボーダーレスなSTORY~
Vol.1 @SAIPAN ISLAND
#創作大賞2023 #恋愛小説部門
ーーー梗概ーーー
ラジオドラマのシナリオ風に、綴ってみました。サイパン現地での会話は、同時通訳的に和訳も付記しています。
街中では多言語が氾濫。宗教や民族文化でも、男女間でも年齢や環境でも、個々に多種多様でボーダーレスな社会性。
現地滞在生活の中で回想を繰り返し、恋愛観結婚観や家族の在り方が嚙み合わない婚姻によって、真実の人生のパートナーを見失っていたと気づく。
ラストに『謎のMESSAGE』が腑に落ち、永らくの呪縛『シャポシュニコワ』も思い出さなくなっていた。
二人きりのSWEETS物語ではなく、社会とは切り離せない生活の現実として、読後に何か葛藤や思索が解ければ清々しくって嬉しいです。
ーーー梗概 了 ーーー
Vol.1 @SAIPAN ISLAND
ビーチロード・サイドの、テラスハウスのような、平屋戸建て一軒家。
日本人にとっては『海の家』のようでも、現地ではれっきとしたダイナーなのだ。
あいかわらず、メニューは5つしかない。
〇 ーーーーーーーーーー 〇
[Today's lunch]
VEGETABLES
MEET
SEA FOODS
A LA CARTE
きまぐれらんち
〇 ーーーーーーーーーー 〇
それぞれを、ハングル文字に訳してある。
『きまぐれらんち』一つだけ、日本語文なのだ。
私、これを頼んだことあったかな。。。❔
週替わりでもなく、定番の1プレートでもない。
ほとんどが採れたての食材で、ひらがなの『きまぐれ』の意味と似ていて、大雑把なメニュー。なのに、加えて『きまぐれらんち』なのね❔
あの時私、クスッて笑ったのかな❔
「何これ❔これだけ日本語やん❔」
って、繁華街みたいには全く日本人向けでない、ロコ・ダイナー。
また、ここに来た。
5年ぶりにSEA FOODSをオーダーした。
そして『ワタリガニのスープ煮込み』が運ばれて来た。
これは何かの偶然❔
それとも、SEA FOODSはいつもこれやったのかな❔
今度は独りでやって来た。
今度は帰路の予定は、ない。
ここから始めよう。
全てが始まる。サイパンで。
あの季節の始まりも、このサイパン島ロコビーチ・ロードだった。
ベンさんはあいかわらず、木造のベンチで眠りこけている。奥様のクヒナさんの家庭料理は、あいかわらずに美味しい。他に客は、いない。
あの頃と違うのは、クヒナさんによく似た息子のティオ君が、teenagerに成っていて、クヒナさんと並んでキッチンで調理しているところだった。
その日暮らしのようなのどかな雰囲気は、変わらない。
いや、壁付けの狭そうなキッチンだったはずが、アイランド型キッチンになっていて、カウンターもあるのだ。
「日本でも、アイランド型のキッチンは、人気ですよ!?」
と、つい日本語で話しかけた。
そうだ。クヒナさんは日本語がわからなかった。
旦那様のベンさんは、まだ眠っている。だけど、ティオ君はこちらに顔を上げ、ニッコリうなづいた。
クヒナさんは、息子にうかがう顔をする。ティオが応える。
「Her talking means…..arm…..your favorite song by TATSURO YAMASHITA」
(彼女が言ったのはね、えっと、、、そうだ。ママが大好きな山下達郎の歌の事だ)
「Loveland Island❔」
(ラブランド・アイランド❔)
私は、返事した。
「Sure. That's a genuine feeling, and you have a good job.」
(そうそう、そんな感じ。ティオ君の日本語感覚イケてる!)
「Me❔」
(僕❔)
「Yes. Because the kitchen was born by your family's love」
(そうよ。このキッチンはファミリーの愛で出来てるもの。)
「You know ❔」
(分かるの❔)
「 I knew. and I'm feeling still…..into my mind. But…..」
(知ってたよ。そんな愛情は、未だに私の心の中にあるんだけど、、、)
「Generary Japanese families know」
(もちろん日本人にだって家族愛は分かるわよ。)
私は両手を上に上げて苦笑する。
「No way! I don't know yet.
I tried being married. but…..rm…..we chose to separate each other way.
So, this dinner is still on Loveland Island.」
(まさか! 私まだ分かんない。
私も一応結婚してみたけど、、、結局、それぞれが別々の道を歩くって決めたのよ。だから、このダイナーは未だにラブランド・アイランドだって、分かるの。)
「why❔ he loved you」
(なぜ❔彼は、貴女を愛していたわ。)
「Maybe so.
he loved his fantasy about females. I loved our actuary life.
I feel and I think, I've done to do.
he doesn't feel and he doesn't think.
he doesn't like to try to do something.」
(多分そうね。彼は、ファンタジーの中の女性を愛してたの。
私は、現実の生活を愛していたわ。いっぱい感じていっぱい考えて、決断した。彼はそれを、全然感じ取って無くって考えてもいなかったし、何にも事を起こそうとはしなかったの)
遅まきの結婚生活。彼は二人で居る時間を楽しみ、私は現実の暮らしぶりを居心地良くしたい。
そのすれ違いを、なんて説明すれば良いのか、上手く伝えたいのだが。。。
「HA HA!… I see.
But he looks in a lovers mode.」
(ハッハッハ!、、、わかった、俺。
けど彼はあの時は、とっても恋人モードだったよ。)
ベンさんが急に頭をもたげて眼を覚まし、答えた。
いや。本当はかなり前から目覚めていたらしい。
「彼は、恋人同士でいたいんだよ」
今度は、日本語で応えてくれた。ティオも、日本語で同意する。
「すきすきモード♪」
「そうなの❔付き合って、長いんだけど❔
また独り暮らしに戻ろうかって。お互いに。
だから、こっちに引っ越してきたの、私」
ーーー to be continued.
Vol.2➡ https://note.com/namorada0707/n/n49eacd3e4506
Vol.3➡ https://note.com/namorada0707/n/n017ed645caa8
Vol.4➡ https://note.com/namorada0707/n/n0b0b17845d9d
Vol.5➡ https://note.com/namorada0707/n/n589900b4fe22
Vol.6➡ https://note.com/namorada0707/n/nb99c3e44241c
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?