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歴史小説「Two of Us」第3章J‐27

割引あり

~細川忠興父子とガラシャ珠子夫人の生涯~
第3章 本能寺の変以後から関ヶ原合戦の果てまで
    (改訂版は日本語文のみ)
    The Fatal Share for "Las abandonadas"

J-27 ~ An Invitation from A President ~

 太閤秀吉殿が茶室に入ったのを見届け、百を数えると、真ん中の辻が花四重の姫が、すっくと静かに立ち上がった。

「ではっ」
 他の2名に深く礼をしてから、狭い戸口の前に正座する。
「殿。ただいま参りまする」
 3音階の一番高い声の女性だと、太閤は気づいた。

「よしよし。よう来てくれた。ささっ。中へ」
 辻が花の姫は、膝すりで戸口を少しづつ入っていった。


細川ガラシャ珠子@大阪玉造細川屋敷


「やはり。そなたが珠子殿であったか」
「いかにも。わたくしが珠子でござります」


 多少理屈っぽく聞こえる論調言葉を、keyの高い舌っ足らずな喋り方で告げるミスマッチのバランスが、この方珠子殿の魅力の一つのようだ。
 太閤秀吉も御多分に漏れず、その頭の中が混乱しそうなアンバランスのバランスに、いきなりトロリと溶けてしまいそうな表情である。

 もちろん前もって太閤殿は、義母の細川麝香にも負けぬMUSK♀のごとき香りの艶やかさを、口コミで周知な上でなのだが。
 なにせ太閤は、生母の明智熙子に振られた過去がある。


「他の2名は、忠興殿の側室なのかえ❓」
「いえ、さにあらず。私共の〈サラ・デ・ビジタ〉の女官でござります」「、、、さよかあ。いずれもお美しいよのう。。。」
「お気に召されまして、嬉しゅうござります」
「近こう寄れ、珠子どの」
「はい♪太閤殿🎵」

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