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子どもを伸ばす親の行動

 私は英語教室を運営しながら小学校の英語指導、親子えいごサークルを企画して日々多くの子どもたちとコミュニケーションをしています。そこで見える子どもたちの姿、そして保護者の方から寄せられるお悩みや不安を通じて今子どもたちに必要な環境は何かを考えています。

 毎朝子育て関連や教育関連の記事や本を読むのが日課になっていますが、その中でも今朝見つけた記事に心が大きく動かされたのでこちらにシェアさせていただきます。

子育ては複雑か

 私は常々、子育てはもっとシンプルなのではないかと考えています。
もちろん悩みも不安も迷いも尽きません。身体的な苦労も絶えません。ただ、この情報化社会がより子育てを複雑にしているのではないか、と思うのです。
 溢れかえる情報を整理して自分に必要なものを抽出する力が必要だ、と言われている現在ですが、子育て中の方に届く情報はどこか脅迫めいていてしかも膨大です。あれをすればもっと良くなる、これをさせないなんてありえない、といった具合に。

 実際私が受けるご相談の中にも「今のうちにこれをしておいた方が良いのでは」など、お子さんが出来ないことを出来る様にしたい、というものが多いです。
 でも私はむしろ「子どもが喜んですること」にフォーカスしたいと思っています。出来ないことを見つけて出来る様にする、全てにおいて完璧に近付けることを目標とせずに、お子さんが夢中になれることを見つけるのを見守るのがベストだと思っています。

 そう言うと今度は「得意なもの」をいち早く見つける方法を大人は探し出しますが。しかしこれまた私にとっては逆で「子ども自身が自分を大切にする、自分を喜ばせたり回復させたりする方法を見つけることを邪魔しない」ことが最善であると思っているのです。

 つまり親が全部子どもの世界に介入して先回りして苦手克服や良いところを伸ばすことに専念すべきでない、ということです。子どもたちは危なっかしくて見ていられない、その気持ちはよくわかります。
 かく言う私も3人の子どもを育てました。今程情報はありませんでしたので、自分が思う「善いこと」に触れさせることしか頭にはありませんでしたが、それが十分だったのか不十分だったのか、もっと出来ることがあったかどうかはわかりません。ただ、情報が多過ぎなかったことに今は感謝しています。それ程に、今子育て中の方を急かして悩ませる情報があまりにも多いことに驚いています。これじゃ、親はゆっくり子どもと向き合えないじゃないか、と思います。皮肉なことに「子どものために良い」とされる情報が子育てを邪魔している様に見えるのです。

子ども自身のペースで

 先程「子育てはシンプル」と書きましたが、前述の記事にある様に子ども自身の目がキラリと光る瞬間を共有するだけで、子どもの目の前は拓けていくことをこれまでの経験上学んできました。大好きな存在、失いたくない存在に自分の大切なものを一緒に感じてもらえたらそれ以上に幸せな感情はないのです。自分の大切なものは間違ってないんだ、という自己肯定にも繋がるでしょう。
 その逆は意外と「良かれと思って」してしまっていることではないでしょうか。子ども自身がぼんやりと思考する時間を奪っていませんか、子どもに選ばせず親が選んではいませんか。子どもが興味を示したものを否定していませんか。
... そして子どもがすっかり諦めた頃にこう言ってはいないでしょうか。

「うちの子は何が好きなんだかわからない」

お子さんの好きなもの

 何が好きかわからない、その時間も大切です。子どものタイミングは子どもが決める、それが私の思いです。前述の記事で私が好きな部分はこちら。 

 たとえば幼児が公園で遊んでいて小さなイモムシを見つけたとします。すると子どもの目が一瞬輝きます。その瞬間のその表情を見逃さないでほしいのです。

 さらに子どもがその感動を親に伝えたいとき、必ず一瞬親のほうを見ます。そのときに、子どもの感動に共感しながら、アイコンタクトを返してあげてほしいのです。

 「ママ(パパ)みて!」と声をかけられれば「よくみつけたね」とか「かわいいね」と返事してあげてもいいでしょう。でも感情のこもったアイコンタクトだけでも十分です。あえて言葉にしないほうがいいときもある。 

 そんなときにスマホをのぞき込んで芸能人のインスタに「いいね」なんてしている場合じゃありません。目の前の子どもにリアル「いいね」を出してあげてほしいのです。

 耳(目?)が痛い、と言われる方も多いでしょう。でもそれでご自分を責めないでください。私たちは試行錯誤の中にいるのです。違う方法が見つかったらゆっくりと、ご自分のペースで進みましょう。

 特に教育的な内容のものや仕事に直結するように見えるものでなくても、お子さんがニヤリとする瞬間があることでしょう。そこで一緒に笑ってあげることが大切だと思うのです。
 そこで「そんなことしてても、食べていけない」と否定的な言葉を投げかけてしまうとお子さんが心を閉ざしていく、その気持ちは自分に置き換えたら十分に想像できますね。自分の大好きなものを否定されると、もうその人にその話はしたくなくなる、当然のことです。

 私自身が子育てをしている時、信頼している方にこんな言葉をかけられたことがあり、妙に納得したのを覚えています。

 公園に初めて連れて行ったら、子どもがなかなか自分の側を離れない。他の子どもたちは楽しそうに一緒に遊んでいるのに。親は焦って子どもを無理やり自分から離して子どもたちの輪に入れようとする。

 でもね、最初は目の前で遊ばせててもいいんです。自分のところにすぐ戻ってきてもいいんだよ。そこでしっかり安心感を得て、子どもたちはもう少し遠くに行けるパワーを得るんだから。そうやって行ったり来たりしている間に子どもが行く距離が少しずつ長くなっていきます。それを待ってあげるのが大事なんだよ。

 とても納得しました。その方は学校の不登校アドバイザーの方でしたが、不登校につながる言葉でした。「安心感」それを十分得られなければ子どもたちは前に進めない。否、人は前に進めません。
そしてその「安心感」のバケツの大きさは人それぞれ。他のお子さんよりも時間がかかっても、その時間はお子さんだけのもの。尊重してあげましょう。

チャレンジ精神

 子どもとの公園での関わりにもう一つ、私が付け加えるとしたら以下の言葉です。これは、英語教室で子どもたちを見ていて経験上得たものです。

 公園で遠くから「ママー、パパー」って聞こえるんです。
こんなに高いところにきたよ。今から滑り台下りるよ、見てて!って。

 そこで見てあげるんです。驚いてあげるんです。そうすると子どもたちはもっといろいろチャレンジして驚かせたい、って思うんです。

 子どもたちのモチベーションは「大好きな人の感情を動かしたい」というところに根っこがあります。「驚く」というリアクションは損得勘定を含みませんので、お勧めです。「喜ぶ」や「怒る」ももちろん感情が動いていますが、「喜び」にはしばしばその人の価値判断が加わりますし、「怒り」は負の感情が伴います。子どもたちは時々その「負の感情」さえ欲しがることがあるから、困りものですが。

 「褒め育て」に賛否両論がありますが、私が最近注目しているのは「驚く」ことです。どうぞ心を動かして子どもたちに届けてあげてください。

私には無理

 こうして並べてみると「そんなの無理」と言われることも多々あります。私は英語指導を生業としていますが、私の授業を見て「自分の性格的に、そんなに明るく振る舞うことはできません」と言われる先生もおられます。

 もちろん「これがうまくいったから、私のコピーをしてください」と言うつもりは全くありません。数多ある情報の中の、これもまた一つなのです。
この情報化社会の良いところ。それは方法がたくさんあるということです。  「自分には無理」と思ったら、他の方法を探しましょう。そして、トライしてみてください。ご自身が出来そうなことを選ぶのです。
 そんな風に「自分らしい」ものを迷い、悩みながら選びとっていく大人の姿も子どもたちにとっては立派なモデルとなるのですから。

 ただ一つだけ、忘れないでください。私たち大人に出来ることは多くありません。子どもたちのために何か具体的に手を加えることは、一生出来ることではありませんし、それはご本人の幸せには繋がりません。お子さん自身が自分で選び迷い掴み取っていく道中を見守り、心のサポートをするのです。

 あなたが、お子さんの「安心感」であり続けるのです。

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