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そして誰もゆとらなくなった(読書感想文)

「頭を空っぽにして読めるエッセイ集を」という言葉があとがきにあった。確かに。この3冊のエッセイを読んでいる時、私はただ笑っていた様な気がする。
 私は頭を空っぽにするのがとても苦手。何かを考えているのが通常運転の頭の中。意図的に空っぽにしようと思っても無理。その内に考えていることが交通渋滞みたいに頭の中を占拠してしまうので、文章なり言葉なりで外に出さないと、とてもじゃないけど頭がパンパンになってしまう。

 いつものクセで「頭空っぽにしなくちゃ」とか「いつも考え事をしていたら良くない」と思っていたけれど。でもそれもひっくるめて自分なんだから仕方ないよね。無理に自分をどうこうしなくても、こうして朝井さんのエッセイで頭を空っぽに出来るひとときを得て喜べたんだから、良かったじゃん、と心も軽くなる。

 頭を空っぽに、って簡単じゃない。他人の頭を空っぽにするなんて、もっと簡単じゃないと思うけど。自分がかつて「文章を読むのが楽しい」と感じた経験を、こうしてまた自分を通して分かち合ってくれる朝井さんには心から感謝。私も自分を通してそんなことが出来たらいいな、なんて夢みたいなことを考える時間もまた、愛おしい。

 三部作、ありがとうございました。いっぱい笑いました。

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