推敲(ウソ前編)
いまから書くことは概ねウソなのだが――「遅刻する食パン少女」は、平安時代にもういた。
十字路の出会いがしらに人がぶつかり恋に落ちることに間違いはない。確実である。わたしの父母もそうやって結婚したと聞く。
その際、口に食パンをくわえていた場合、交際できる確率はもちろん成婚率高いことが、昨今の結婚相談所のデータなどから明らかになっている。
注意すべきは、
・くわえるパンは食パンに限ること
・「遅刻、遅刻!」という呪(まじな)いの言葉
この2点だ。
実はこのいわゆる「遅刻する食パン少女」は、過去の少女漫画ではなんと実例がほとんどない(本当!)。
ではなぜ、食パンと恋愛の、まさしくマリアージュが日本漫画の文化になりえたのか?
食パンは恋愛に向いているからだ、とわたしは結論づけている。
それが証拠に、漫画やアニメ『アンパンマン』の登場人物「食パンマン」が、いわゆる「イケメン枠」であることとの関連も指摘されているところではある。
これがカレーパンでは、ぶつかったら中身が飛び散ってしまうことだろう。いち早い染み抜きが頭をよぎり、とても恋愛どころではない。近場の水道のありかを捜している時点で、水に濡れてパンは呪(まじな)いの力を発揮しないのだ。
実はこの「恋愛には食パン」という点においては、平安時代中期に編纂された格式(きゃくしき)である『延喜式』に詳細が載っている。
(明日に続く)
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