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現代アートが溶け込む「直島」。旅×マーケティングの視点から見てみた

こんにちは、なみおかです。

夫の短期出張で岡山に来ており、平日はリモートワーク、週末は瀬戸内海周辺を旅しています。

今回は、岡山県から船で20分のところにある現代アートの島「直島」について、旅日記とマーケティングの視点をからめて記事を書いてみたいと思います!

現代アートと自然が融合する「直島」

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岡山県玉野市の宇野港から南に3kmほどのところにある「直島」。船で約20分、片道大人1人300円で直島の宮浦港に着きます。周辺には小さな島々があり、その直島諸島一帯が香川県直島町となっています。

直島の宮浦港には、芸術家の草間彌生さんの作品「赤かぼちゃ」があります。すごく存在感がありました!船も水玉模様でかわいい~。

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瀬戸内海の穏やかな海に囲まれていて、海の水面が太陽の光でキラキラ輝いていて、気持ちのいい風が吹いていて。

そんな現代アートと自然が融合する「直島」は、昔から今の形があったわけではありません。30年ほど前からゆっくり時間をかけて、やっと今の形がつくられた島なのです。

「直島」の旅×マーケティングトレース

マーケティングトレースワークシート_naoshima

今回は私が体験した旅の経験と共に、マーケティングの視点から「直島」を見てみたいと思います。

このテンプレートは、ブランディングテクノロジーの黒澤さんが公開している「マーケターの筋トレワークシート」になります(一部文言を変更しています)。

30年前は「精錬所のあるはげ山の島」と呼ばれていた

直島に行ったとき、「なぜアートや宿泊施設があるエリアは島の南側なのかな?」と思っていました。宮浦港に着いたフェリーから大型トラックがたくさん出てくるのも疑問でした。

30年前の外部環境を探っていくと、実は、直島の北側は三菱マテリアルの製錬所があって、年間20万トン以上の電気銅を生産していることがわかりました。

製錬所を誘致したことで、もちろん直島の財政は潤ったわけなのですが、高度経済成長の波によって、環境はどんどん破壊され、1970年代には「精錬所のあるはげ山の島」と呼ばれるほど荒れていたようです。

この問題に立ち向かったのが当時の福武書店(現:ベネッセコーポレーション)の代表を務めていた福武 總一郎さんです。

幸せなコミュニティの中に居なければ、本当の意味でに幸せにはなれない

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福武さんは、瀬戸内の島々との関りの中で、東京の「破壊と創造を繰り返す文明」のあり方に疑問を感じていました。

瀬戸内の島々には、日本の原風景がまだ残っている、自然の恵みに感謝する人がいる。そんな今あるものを活かして無いものを創造していく文明が人を幸せにするのではないかと。

福武さんは、「人はいい地域に住むことで幸せになれる」「人生の達人であるお年寄りの笑顔があふれているところ」。それを体現する場所として直島を再生していきます。

1992年にホテルと美術館が融合した「ベネッセハウス」がオープン。その後、アーティストが空間そのものを作品化する「家プロジェクト」が開始。2004年には直島を代表する"自然と人間との関係を考える場所”「地中美術館」が建設されました。

その島に行かないと出会えないアートがある

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「アート×島」の観点から見た日本の業界競合は、瀬戸内海の島々(直島を含む)が最も有名ですが、愛知県佐久島もアートによる島おこしが行われています。世界で言うと、マレーシアにあるペナン島のジョージタウンが、歴史的な街並みとアートが一体化したストリートアートの街として有名です。

その島に行かないと出会えないアート、体験できないアートという部分が大きな価値になっていますね。

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「アートに触れるという価値」の観点から見た価値競合は、美術館やInstagramを挙げました。島へ行くこと自体が時間もお金もかかることなので、その場に行かなくても気軽にアートに触れられる環境は競合になってくるかなと思います。

人口3000人の島に、年間50万人以上の観光客が訪れる

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ターゲティングは、 瀬戸内国際芸術祭の報告資料も参考にしました。女性比率が高く、海外からの観光客も多いです。私が直島に行ったときも、海外の方を数人見かけました(おそらく日本在住の方だと思います)。

人口3000人ほどの小さな島に、以前は年間50万人以上の観光客が直島を訪れていました。行動特性としては体験や経験に価値を置く層が訪れているのかなと思います。

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ポジショニングは、「ツーリズム」と「島・街」という軸で置いてみました。直島はアートツーリズムの分野でとても有名ですが、自転車で島の自然を体感することもできますし、エコツーリズムの要素も少し入っていると思います。しかし、屋久島や白神山地のように数日間かけてがっつり登山するレベルではないので、エコツーリズムにはあえて入れませんでした。

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続いて、4P分析です。プロダクト自体が直島になります。直島は、プロモーションが特徴的で、地域住民の方々が現代アートが好きで、声をかけてくれたり、積極的に案内をしてくれるところです。すごく元気で生き生きしている。プロモーションというと宣伝色が強いですが、ナチュラルに宣伝になっているのがすごいな~と思いました!

【成功要因①】「瀬戸内」プレイスブランド戦略

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直島が世界的に有名な現代アートの島になった成功要因は「瀬戸内」という場所に特化したブランドを築いている点にあると思います。

「瀬戸内」と聞くと、「瀬戸内海の穏やかな海」「アート」「レモン」「サイクリング」などが想起されると思いますが、アートにおいては香川県と岡山県が中心になりプロジェクトを進めています。

直島、豊島、犬島、男木島、女木島などの島々にアート作品が置かれていて、瀬戸内の島々そのものが「アート」を表現しています。

その島にしかない、その島でしか体験できない、草間彌生さんや安藤忠雄さんのアート作品を置くことで、その場所に行く価値が生まれています。

【成功要因②】地域住民参加型のアート作品がある

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こちらの作品は「家プロジェクト」の一つ。石橋邸を千住博さんの作品空間として再建し、自然光だけで鑑賞する「ザ・フォールズ」という作品を展示しています。

この「家プロジェクト」は直島・本村地区において展開するアートプロジェクトで、空き家を改修し、7軒の家をアート作品として公開しています。直島の空き家は築400年のものもあるそうです!

どの家も、地域の方々が受付だったり作品の紹介をしてくれて、直島を盛り上げようという気持ちを感じます。地域の方が日常的に使っていた家がアート作品になっているのも発想がすごいですよね。

そんな地域住民参加型という部分が、「直島に行ってみたい」「直島にまた行きたい」と思わせてくれる要因なのかなと思います。

自分がCMOだったら・・・?

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完成されたアート作品ももちろん価値があるし、何度でも行きたいと思うくらい魅力ある島なのですが、途中経過にも価値があるのではないか?と思っています。

直島でのアート作品が作られる過程を鑑賞できたり、制作に参加ができるようなツアーの企画(オンライン含む)ができたらいいなと思いました!

さいごに・・・

今回は「直島」について、旅日記とマーケティングの視点をからめて記事を書いてみました!

私にとって「直島」は自分に見えないものが実は見えているし、自分に見えているものが実は見えないことを教えてくれた島でした。

感じ方は人それぞれで、誰かの真似をしたり比べる必要はなく、学校で教えられたような「普通」に染まっていく必要はない。自分だけの感覚や生き方に価値があるんだよ。

そんなことを教えてくれた気がしました。

また行きたいな~と思います!!

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最後まで読んでくださり、ありがとうございました。


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